INTERVIEW

介護職インタビュー

人生の最期の瞬間までそばにいる。ターミナルケアでできること

在宅ホスピス保土ヶ谷

介護職 片岡 希咲

大学を卒業後、2017年4月より社会福祉法人の特別養護老人ホームに入職し、介護職として働く。その後、介護福祉士を取得し、2020年4月にCUCホスピスに中途入社。在宅ホスピス保土ヶ谷にて介護職として働く。2022年6月から介護職兼サービス提供責任者として活躍中。

重くて暗い「ホスピス」のイメージが一変。
もっと寄り添いたいという気持ちで転職を決意

なぜCUCホスピスに転職されたのですか?

前職では、特別養護老人ホームの中のショートステイで勤務していたので、ご入居者さまの多くは日常生活を自分で行える元気な方が多かったんです。ショートステイという施設形態柄、せっかく関係性を築いても、ご病気にかかったり、具合が悪くなると病院に入院されるケースがほとんどでした。

その後、亡くなった連絡を事務的な情報の中で知ることもあり、それが寂しくて。もっと最期までご入居者さまを支えられる環境を探していました。

そんな時、ご自宅で最期を過ごしたい人に寄り添う在宅ホスピスという存在を知って、気になって選考を受けてみたんです。それまで「ホスピス」についてよく知らなくて、お看取り専門ということで、重くて暗いイメージを抱いていました。

でも、いざ見学に行ってみると、働いているスタッフも、ご入居者さまもお互い冗談を言い合ったりして、とても明るい雰囲気で。難病を抱えながらも、普通にお話ができる方が多かったのも印象的でした。ここでなら、個々のご入居者さまに最期まで寄り添うターミナルケアに取り組めそうだと感じて、入社を決めました。

最期の時間をより充実したものに。
人生のしまい支度に関わることができるやりがい

入社後のお仕事内容を教えてください。

ご入居者さまの食事介助や入浴介助、排泄介助などの介助が中心です。お風呂でお体を洗って差し上げたり、着替えをサポートしたり。そのほか、ご入居さまのお部屋のお掃除やベッドシーツの交換、床ずれを防ぐために身体の向きを変えたりなど、日常生活を快適に過ごしていただくための支援を幅広く行います。

また、物理的な介助業務だけでなく、心のケアを行うのも大切な仕事です。がんの末期や難病を抱えているご入居者さまは、痛みや辛さで気持ちが不安定になることもあります。そんな時に、そばに座って手を握ったり、お身体をさすって何気ないお話をしたり。少しでも不安な気持ちが和らぐよう努めています。

お誕生日のご入居者さまがいれば、スタッフでメッセージカードに寄せ書きをしてプレゼントしたり、身体を動かす機会として隙間時間に一緒にラジオ体操をしてみたり、日々を前向きに過ごせるよう働きかけを行っています。

2022年6月からはサービス提供責任者も兼務していまして、新しくご入居される方の訪問計画の作成やご家族からの相談対応なども行っています。

お仕事のやりがいと大変さを教えてください。

ご入居者さまから笑顔で「ありがとう」と言ってもらえると嬉しいですね。その人が最期の時を迎えるまでの時間がより充実したものになるようお手伝いできることにやりがいを感じます。

また、これは大変な瞬間でもあるのですが、ご入居者さまの最期の瞬間に立ち会わせていただく時。亡くなるまでの間、私はそばで手を握ったり、身体をさすったり、できることはわずかですが、ご家族と離れて暮らされていたり、ずっと一人でお住まいだったご入居者さまに対して、最後の瞬間をひとりにさせないでいられることに関しては、良かったと思っても良いのかな、と感じています。

日常的に人の「死」と向き合う中で、自分が本当にしたい介護について考える機会があるので、介護職として成長できる環境だと思います。

より広い視点でご入居者さまに向き合っていきたい

今後、特に注力したいテーマを教えてください。

昨年からサービス提供責任者として、地域のケアマネジャーやご家族と直接やりとりすることが増えました。今までは見えていなかったご入居者さまの行動の背景をより深く知ることで、一人ひとりの生活スタイルに合った介護を提供できるんだと実感しています。

「ここに来てよかった」と思って日々を過ごしていただけるように、もっとご入居者さまやご家族の声をよく聞いて、よい介護を目指していきたいと思います。

また、私たちスタッフが毎日気持ちよく働くこともよい介護を行う上で大切だと思うので、訪問ルートを伝えるときは、ただ決まった内容を伝えるのではなく、背景までしっかり伝えることで納得感を持って動けるようにしていきたいです。

ご入居者さまと介護職をつなぐ役割として、お互いの気持ちを尊重して寄り添いながら、迅速かつ適切に介護サービスを調整できるようになっていけたらと思います。