ホスピス型住宅のReHOPE | ReHOPEマガジン | ReHOPEについて | 前向きなお看取りは、地域の人々の希望となる【SUPPORTERS INTERVIEW】
投稿日: 更新日:
障がいがある当事者とそのご家族を支えてきた、特定非営利活動法人あたたかい心の理事長・岸田泰彦さん。CUCホスピスの取締役Founder・𠮷田豊美とは20年にわたるつながりと協業の実績があり、“ホスピス型住宅”というモデルを形にする軌跡を見てきました。地域に寄り添い、一人でも多くの方がより良い人生を送れるよう尽力してきた岸田さんの立場から、“ホスピス型住宅”の存在価値や、CUCホスピスがこれから果たすべきことを語っていただきました。
岸田泰彦 さん
特定非営利活動法人あたたかい心
理事長
あたたかい心を2002年に設立。高齢者・障がい者(障がい児)およびその家族をはじめとする方々に『日常生活上の支援活動(介護サービス・育児サービス・外出支援サービスをはじめとするさまざまな生活サポート事業)』を提供することに尽力している。
あたたかい心は、長年、高齢者や障がいがある方お一人お一人が求めることを考え、型にはまらない介護や育児、日常生活のサポートを行ってきました。そんな私たちにとって、𠮷田さんが生み出した“ホスピス型住宅”は、ご本人やご家族が望む暮らしを実現するために欠かせない存在でした。
20年前は、自宅のように慣れ親しんだ場所で、必要な医療・介護ケアを受けることができませんでした。重い病や障がいを抱える方は病院に入院するか介護施設で暮らすかという選択しかなく、特に介護施設は、病や障がいが進行した先にやむをえず退去しなければいけないこともあったのです。
そうした状況に対し、看護師だった𠮷田さんが「あたりまえの日常を支える」「最期まで豊かに生きていただく」という想いで“ホスピス型住宅”をスタートされました。看護師や介護職が訪問する時間に限らず、日常に寄り添い、最期まで支える。
𠮷田さんと障がいや難病を抱える方々のケアを行うなかで、いかに“ホスピス型住宅”が地域に不可欠な存在かを実感しました。
この国はいま、地域医療の持続可能性について大きな問題を抱えています。
2040年頃までは高齢者が増えつづけ、国は膨らむ医療費の適正化を目指しています。病院も病床を減らすべく、医療行為の必要がない方はできるだけ退院していただく方針をとっています。
しかし、核家族や共働き世帯が増えているだけでなく、地域における関わりも希薄化しているため、自宅では介護しきれないケースが増えているのです。この課題を解消するには、病院でも自宅でもない、重度の障がいや病がある方のケアに特化した場所が必要です。
それもただ看取ればいいというわけではありません。この国を背負ってきたご高齢の方には、最期まで自分らしく生きてほしいと誰もが願っているはずです。ご本人も、おいしい食べ物を食べたり、好きな音楽を心ゆくまで聴いたり、豊かな暮らしをおくりたいはずです。
その最たる選択肢が、CUCホスピスのサービス。お一人お一人の要望を叶える場所であり、ご家族のケア疲れをやわらげる場所でもある。悔いのない、前向きな看取りを実現する、地域医療を守る希望だと感じています。
20年前と比較すると、病や障がいと生きる方の選択肢は増えてきたと感じます。しかし、充分とはいえません。
当事者や近親者が本当に求める生き方を実現する手段がいまだ足りていませんし、サービスを提供する従事者の働き方にも改善の余地があります。理想は、誰もが人間らしく、自分らしく生きることのできる社会。そのためには、サービスを提供している人々が声をあげ、実態を周知する必要があります。
なぜかというと、高齢者や障がいをもった方々は強く発信することができないからです。その方たちに対峙しつづけている私たちのような人間が代弁することで、現場の本当の負を社会に伝えられると確信しています。
そして、このような発信活動はひとつの団体で成し遂げられることではありません。立場を超えてつながり、働きかける必要があります。だからこそ、私たちはCUCホスピスに大きな期待を寄せています。特定非営利活動法人という私たちとは異なる立場から、理想とする社会を一緒に実現していきたいです。
私たちは、ステークホルダーのみなさまに経営方針や事業活動の成果・今後の方向性をお伝えするため、『アニュアルレポート2023』を発行しました。
がん末期や難病のご入居者さまへのケアを進化させる取り組みや、施設のスタッフを支える仕組みを紹介し、「ホスピス=死を静かに待つ場所」という一面だけではないことをご理解いただきたく、「前を向いて生きる」ご入居者さまやご家族、明るく寄り添うスタッフの日常を描いています。
※ より詳細なレポート内容はこちらからご覧ください。