ホスピス型住宅のReHOPE | ホスピス・介護の基礎知識 | 在宅医療を知る | 訪問看護のリハビリはどんな内容?家族ができるサポートとは?
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この記事の監修者
西尾 尚大(にしお なおひろ)
株式会社シーユーシー・ホスピス 運営部 運営支援室 生活リハビリ支援チーム所属
プロフィール
2012年行岡リハビリテーション専門学校卒業後、病院で11年間勤務。病院では整形外科、脳外科、神経内科領域の患者様を中心に現場を経験し、うち4年間は病院併設のデイケアで勤務。2023年シーユーシー・ホスピスに入社後、ReHOPE吹田やReHOPE御殿山でセラピストとして勤務。2024年7月からは生活リハビリ支援チーム主任になる。
訪問看護とは、看護スタッフが利用者さまの自宅を訪問し、医師の指示のもと健康管理や医療処置を行うサービスです。看護師だけでなく、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーション(以下リハビリ)も受けられるため、たとえば家族が退院したばかりで、日常生活に戻るために練習が必要な方など、利用を検討している方も多いでしょう。
しかし、具体的な内容がわからず不安な方もいるかもしれません。今回は、訪問看護のリハビリで受けられるサービスについて詳しく解説します。
また、訪問看護におけるリハビリと病院のリハビリの違いや、同居する家族ができるサポートの内容、リハビリを依頼する事業所の選び方も解説します。
訪問看護におけるリハビリは、病気や怪我などの治療を終え自宅での日常生活を取り戻す、また足腰が弱った場合に要介護状態にならないよう予防するなど、さまざまな機能回復・維持を目的としています。
訪問看護によるリハビリの費用は、医療保険または介護保険が適用される仕組みになっています。どの保険が適用されるかは、利用者さまの年齢、病気の種類や進行度などによって決まります。
訪問看護の費用についての詳細は別記事「訪問看護の費用はどれくらい?医療保険と介護保険の適用条件を解説」をあわせてご確認ください。
自宅で受けるリハビリとは、どのように行うのでしょうか?
訪問看護で行われるリハビリケアの中心は、利用者さまが自宅で安全かつ快適に生活できるような練習です。
たとえば、整形外科疾患などで自分で体を動かすことが難しい方に対し、関節が硬くなることや変形を予防するための関節可動域訓練を行います。
また食事に不自由がある方に対し、手や指を使った練習や、食べ物を口元に運ぶ動作の練習を行います。
歩行に困難がある方には、部屋からトイレ、外出時の歩行ができるよう、歩行練習や杖・歩行器の導入と使い方の指導を行います。または、歩行以外の移動方法を考え、ご提案する場合もあります。
リハビリにおける主な専門職として、国家資格である理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)があります。それぞれ以下のような役割を担っています。
理学療法士(PT) | 立ち上がりや歩行などの基本的な動作、障害の悪化予防のために運動療法(関節を動かす、車いすへの移動の練習など)や物理療法(温熱、超音波や電流などを使用し痛みの緩和や血流を良くする)を用いて支援する |
作業療法士(OT) | 細かいものをつかむ練習、家事の動作の練習や、統合失調症・うつ病などの方にはコミュニケーションを通して自信を取り戻すなど身体機能と認知機能の両面から支援する |
言語聴覚士(ST) | ことばを話すことや発声・発音が難しい方や、嚥下障害のある方に対して、ことばを思い出す練習、口や舌を動かす練習をし、コミュニケーション能力の改善や安全な摂食・嚥下機能の改善を支援する |
リハビリが必要となった場合、日常生活でどんなことに気を付ければいいのか、暮らしやすい家にするにはどうしたらいいか悩むこともあるでしょう。訪問看護のリハビリでは、日常生活に直結する具体的なアドバイスを受けられるのが特徴です。
たとえば利用者さまの身体の状態や病歴をもとに、食事や運動、入浴や手足浴、爪切りなどの衛生面に関する指導を受けることができます。家事動作の練習、福祉用具の選定、住宅改修に関するアドバイスなど、日常を支える具体的な支援も受けられます。
定期的な健康チェックも、訪問看護リハビリに含まれる重要な要素です。血圧や脈拍、呼吸数といったバイタルサインの測定に加え、食欲や睡眠状態の確認を通じて、健康状態をきめ細かく把握します。
また、定期的なチェックを通じて病状の変化を早期に発見し、迅速な医療処置を受けられるメリットもあります。
訪問看護リハビリは利用者さま本人だけでなく、家族へのサポートも対象です。
看護師や理学療法士などのリハビリ専門家は、福祉用具の使い方や効果的なリラクセーション方法など、家族からの相談に応じたアドバイスを提供します。
さらに、介助方法に関する指導や介護に関する悩み相談など、家庭内での介護を支える包括的なサポートも受けられます。
ここでは、実際にリハビリを利用する利用者さまの例をいくつかみていきましょう。
状態 | 介護度が重く寝たきり状態、床ずれがある |
リハビリの目的 |
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具体的なリハビリ内容 |
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状態 | 食べ物を飲み込む際にむせやすい、飲み込みにくい |
リハビリの目的 | 安全に食事を摂れるように、飲み込みの機能を改善すること |
具体的なリハビリ内容 |
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訪問看護によるリハビリと病院でのリハビリには、目的や実施環境において違いがあります。
病院で行われるリハビリは、歩行や立ち上がり、車いすへの移動の仕方など「身体機能の回復」を主な目的とし、院内の設備や専門施設を活用して実施されます。
一方、訪問看護のリハビリで行われるのは、食事、排泄、家事など日常生活で困難を感じる動作の練習や、家族への指導を含む支援、つまり「生活の自立」を主目的としています。
病院にはリハビリ施設が整備されており、24時間介護・看護可能な環境でリハビリを受けられますが、退院後もリハビリを続ける方法として訪問看護が選ばれることがあります。また、リハビリテーションの専門病院や通所リハビリセンター(デイケア)に通うという選択肢もあり、ニーズに応じた柔軟な支援が可能です。
訪問看護リハビリの主な目的は、日常生活の自立を支援することです。家族がサポートすることでより効果を発揮できます。
日常生活の中で利用者さまの体調や様子に変化があれば、訪問看護師やリハビリの専門職に伝えましょう。家族が持つ利用者さまに関する詳細な情報は、効果的なリハビリ計画を立てるうえで大きな助けとなります。
また、リハビリの内容を理解し、自宅での自主的なトレーニングの見守りや介助、トイレやお風呂、廊下に手すりをつけるなど生活環境を整えることも、家族ができるサポートのひとつです。
訪問看護は訪問看護ステーションなどの事業所が提供します。では、実際に訪問看護でのリハビリを受ける際、どのような視点で事業所を選べば良いのでしょうか。ここでは、事業所を選ぶときのポイントをいくつかまとめています。
訪問リハビリに携わる専門スタッフの構成は、事業所ごとに異なります。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった専門職がそれぞれ在籍していますが、施設によってどの専門職が在籍しているかは問い合わせが必要です。利用者さまの症状や身体・精神機能によって、専門職のいる事業所を選ぶと良いでしょう。
認知症の方にリハビリを提供できるかは、事業所によって異なります。認知症の方はコミュニケーションが難しい場合やリハビリへの協力が得にくいケースもあるため、対応経験が豊富なスタッフが在籍している事業所を選ぶと安心です。
訪問看護の営業日は、事業所によって異なります。自宅に訪問してもらうことから、利用者さまや家族の在宅時に合わせて訪問できる事業所が好ましいです。事業所の営業日や提供可能な時間帯が希望に合っているかを事前に確認しましょう。
特に、土日や祝日でも営業しているのか、家族が在宅する曜日や時間帯にサービスが利用可能かどうかも、重要な確認ポイントです。
緊急時の対応体制も、事業所選びの重要な基準です。緊急時にどのような対応が行われるのか、具体的な連絡体制や対応手順を事前に確認しておきましょう。
たとえば、24時間対応可能な連絡体制があるか、医師や病院との連携がスムーズに行えるかなどが挙げられます。
訪問看護のリハビリを利用することで、住み慣れた環境で自立した生活を営むことができます。医師や看護師、ケアマネジャーなどと連携し、必要なリハビリを継続できるよう、事前に理解を深めておきましょう。
関節可動域訓練や歩行訓練、食事をする上で必要な動作の訓練などが行われます。
詳しくは記事内「訪問看護のリハビリではどんなことをする?」をご覧ください。
無理のない範囲で、自主トレーニングを促したり、自宅に手すりをつけるなどして安全な生活環境を整えたりしましょう。
詳しくは記事内「訪問看護のリハビリで家族がサポートできること」をご覧ください。
ReHOPEでは、全国の施設で入居者を受け入れております。
ReHOPEは、がん末期や神経難病をお持ちの方のためのホスピス型住宅として、専門的な医療ケアと介護支援を提供する施設です。24時間365日の体制でサポートを行い、安心してご自身らしい生活を送れる環境を整えています。
点滴や呼吸器管理などの医療的処置、食事や排泄の介助などの介護だけでなく、利用者さまの「生きる希望」を支えるリハビリも提供しています。「旅行に行きたい(そのために歩行練習をしたい)」「妻に絵をプレゼントしたい(そのために指先の運動リハビリをしたい)」などのご要望を実現してきた実績があります。
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