ホスピス型住宅のReHOPE | ホスピス・介護の基礎知識 | 在宅医療を知る | 要支援と認定されたら「介護予防訪問看護」が受けられる!利用の方法と注意点を解説
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「最近、親の物忘れが増えてきた」「一人暮らしの親が家事を負担に感じている」こんな悩みを抱えていませんか?
介護保険制度では、介護や支援が必要な方の状態に応じて、要支援1・2、要介護1〜5の7段階の認定区分があります。このうち要支援1・2は、日常生活は概ね自立しているものの、将来的な介護を予防するための支援が必要な方を対象としています。
これらのサービスは、心身の状態がこれ以上悪化しないようサポートする内容が中心で、健康チェックやリハビリ、日常生活の支援を通し、要介護状態に至るのを未然に防ぐことを目指しています。中でも「介護予防訪問看護」は、看護師が利用者さまのご自宅を訪問し、必要なケアを提供するサービスとして活用されています。
この記事では、介護予防訪問看護のサービス内容や、支援の受け方についてご紹介します。
この記事の監修者
福井 麻由美(ふくい まゆみ)
株式会社シーユーシー・ホスピス リスク・コンプライアンス室
プロフィール
短期大学にて社会福祉、医療事務の資格を取得後、医療系専門学校卒業。一般企業を経て、訪問看護ステーションにて10年勤務、ステーション事務・レセプト管理を経て本社管理部事務員の管理、事業所の内部監査、申請手続き全般を勤める。
2023年シーユーシー・ホスピスに中途入社後、リスク・コンプライアンス室にて内部監査を行う。
介護予防訪問看護は、要支援1・2の認定を受けた方を対象とした訪問看護サービスです。主治医の指示のもと、看護師が利用者さまのご自宅を訪問し、健康チェックやリハビリテーション、食事や排泄のサポートなどを行います。
介護予防訪問看護の主な目的は、利用者さまの心身の健康を維持し要介護状態になるのを未然に防ぐことです。具体的には、健康チェックやリハビリテーション、日常生活のサポートを通じて、利用者さまが自立した生活を続けるための重要な役割を果たしています。
介護予防訪問看護の対象は、要支援1・2の認定を受けた方です。具体的には、食事や入浴などは自分でできるものの、浴槽をまたげない、時々ふらつくなどで注意が必要な状態の方が対象となります。
介護予防訪問看護では、ケアマネジャーが利用者さまの状態に合わせて、以下のような内容を組み合わせたケアプランを立てます。
看護師や専門スタッフが利用者さまのご自宅を訪問し、血圧や体温、脈拍などのチェックを通じて健康状態を把握します。利用者さまの変化にいち早く気づき、必要な対応を検討することで病気の悪化や重症化を防ぎます。
基本的には看護師が訪問し、身体機能の維持・向上を目的としたリハビリテーションを実施します。さらに、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が在籍している場合は、運動機能の改善や日常生活動作の訓練など、より専門的なリハビリテーションを受けることが可能です。
食事の援助や介助、排泄の介助などを通して、利用者さまの暮らしを支援するのも介護予防訪問看護の特徴です。栄養指導や水分管理なども行い、健康状態の維持・改善を促します。
身体の清潔を保つため、入浴・洗髪・清拭などの介助を行います。身体の清潔を保つのは、感染症予防や皮膚トラブルを防ぐ上で重要です。
認知症の利用者さまに関しては、ご本人やご家族が安心して生活できるよう、症状に合わせたケアを提供します。ご本人では難しくなった服薬管理など、家族の介護負担につながる支援も行います。
スキンケア、適切なマットレスの選定などを通して、床ずれの予防・ケアを受けられます。床ずれは、寝たきりや座りっぱなしの状態が続くことで発生しやすいため、予防と早期発見が重要です。
利用者さまやご家族に対し、病気や介護に関する指導や相談も行います。安全な入浴方法や転倒予防のための動き方、服薬管理の工夫、緊急時の対応など、毎日の暮らしにおける注意点や介護方法を具体的にアドバイスすることで、不安や負担を軽減します。
必要な場合は、医師の指示に基づき、以下のような医療行為も行うことができます。
通院が難しい場合でも、自宅で必要な医療処置を受けられるのが介護予防訪問看護のメリットです。
人工呼吸器や在宅酸素、カテーテルなどの医療機器の管理や、使用方法の指導もサービス対象です。ご自宅でも医療機器を安全かつ適切に使用できるようサポートします。
介護予防訪問看護を利用すべき場面は、疾患や症状によって異なります。
たとえば糖尿病で、食事制限がうまくいかない、運動習慣が身につかない場合、看護師に訪問してもらい、具体的な食事メニューの提案や無理なく続けられる運動の指導を受け、実践をサポートしてもらうことができます。
またリウマチの症状が辛い場合、関節の痛みや腫れを和らげるための運動方法や生活の工夫を提案してもらうこともできます。服薬管理のサポートや、関節に負担をかけない動作の指導も可能です。看護師や専門スタッフが定期訪問し状態を確認することで、症状の悪化を防げます。
介護予防訪問看護は、要支援1・2と認定された方を対象に、日常生活動作の維持・向上、要介護状態への悪化防止のためのサービスを提供します。
要介護向けの訪問看護は、要介護1〜5と認定された方を対象に、医療処置や医療機器の管理、日常生活の介助などを行います。具体的な例は、以下のとおりです。
項目 | 要介護向けの訪問看護 | 介護予防訪問看護 |
対象者 | 要介護1以上の方 | 要支援1・2の方 |
目的 | 医療的なケアを提供し、病気や障害の症状の悪化を防ぐ | 介護が必要になるのを予防し、生活機能の維持・向上を目指す |
提供内容 | 医療ケア(点滴、薬の管理、褥瘡ケア、リハビリなど) | 生活機能の維持、リハビリ、健康チェック、生活習慣改善指導 |
医療行為 | 点滴、薬の投与、褥瘡ケア、胃ろう管理など | 点滴、薬の投与、褥瘡ケア、胃ろう管理など |
サービスの重点 | 医療的な支援(病気や障がいのケア) | 予防的リハビリや生活機能の維持 |
上記の比較から、要介護向けの訪問看護と比べて介護予防訪問看護は自立の支援や悪化の防止に特化した、先を見据えたサービスといえるでしょう。
訪問看護のサービス利用回数に制限はありません。この点は、介護予防訪問看護も同じです。医療保険の訪問看護には原則週3回までという回数制限がありますが、介護保険制度では回数制限なく訪問看護を利用することができます。
ただし、介護保険には利用できるサービスの量(支給限度額)が設定されており、支給限度額を超過すると、超過分は全額自己負担となります。支給限度額は要介護度によって異なるので、ケアマネジャーや訪問看護ステーションと相談しながら適切に組み立てることが重要です。
介護予防訪問看護は、要支援に該当する方の症状が悪化しないようサポートするための制度です。健康チェックやリハビリなどさまざまなサービスが受けられますが、要介護との違いや、介護保険の支給限度額を超過すると自己負担となることなども、理解しておく必要があります。
実際に介護予防訪問看護を受ける際は、サービス内容や注意点を踏まえたうえで、利用する事業者を決める必要があります。「もしかして介護が必要かも」と感じたら、まずはお住まいの自治体や地域包括支援センターに電話してみましょう。どのようなサービスが利用できるのか、何から始めればいいのか、具体的に教えてくれます。
要支援1・2の認定を受けた方が、介護予防訪問看護の対象となります。
詳しくは記事内「介護予防訪問看護の対象者」をご覧ください。
介護予防訪問看護で受けられるサービスは、以下のとおりです。
詳しくは記事内「介護予防訪問看護のサービス内容」をご覧ください。
介護予防訪問看護と通常の訪問看護は、目的や対象、報酬・加算の単位が異なります。
詳しくは記事内「通常の訪問看護と介護予防訪問看護の違い」をご覧ください。
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