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訪問看護で介護保険は利用できる?利用の条件や費用イメージを紹介

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訪問看護で介護保険は利用できる?利用の条件や費用イメージを紹介

この記事の監修者

羽田 有美(はだ ゆみ)

株式会社シーユーシー・ホスピス 運営企画部 運営企画T

プロフィール

1999年日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科卒業後、障害者支援施設を経て訪問介護事業所等で管理職として従事。2018年8月よりシーユーシー・ホスピスの前身エムスリーナースサポートにて新入職者向けの養成講座の外部講師として主に介護保険制度・障害者総合支援法に関する講義を担当。現在は運営企画部にて施設運営に関する事業課題や運営課題の設定、業務標準化や業務効率化を推進し、施設運営のサポートを行っている。


訪問看護のサービスを利用する際、介護保険を利用して費用負担を抑えたいと考える方もいるでしょう。結論からお伝えすると訪問看護を介護保険で利用することは可能です。しかし、年齢や要介護度などで一定の条件を満たさなければならないため注意が必要です。

この記事では、訪問看護を介護保険で利用する条件のほか、実際の負担額を計算した料金シミュレーションなどを紹介します。覚えておきたい注意点もご説明しますので、ぜひ参考にしてください。

訪問看護を介護保険で利用する条件

訪問看護を介護保険で利用できます。介護保険を利用すれば、医療費の自己負担は1〜3割になります。

介護保険の対象者と受給条件は以下のとおりです。

対象者 65歳以上の方(第1号被保険者) 40歳以上65歳未満の医療保険加入者

(第2号被保険者)

受給条件 要介護認定または要支援認定を受けている 老化に起因する特定疾病(16種類)により要介護認定・要支援認定を受けている

参考:厚生労働省|介護保険制度について

上記のように、介護保険は年齢が65歳以上の方、また40〜64歳で16特定疾病に当てはまる方が、要支援・要介護認定を受けると利用できます。要支援・要介護度認定は、自身でまたは家族が申請を行って受けるようにしましょう。

また、特定疾病とは加齢に伴って起こりやすく、介護が必要となる病気です。詳しくは次の章で紹介します。

訪問看護における介護保険適用の特定疾病(16種類)

40歳〜64歳の方が訪問看護を介護保険で利用できる条件は、特定疾病による要支援・要介護認定を受けていることです。特定疾病は全部で16種類あり、具体的な病名は以下のとおりです。

【介護保険適用となる16特定疾病の種類】

  1. がん末期
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

参考:厚生労働省|介護保険制度について

要支援・要介護認定の受け方

ご家族が「介護が必要かも」という状態になったら、まず要支援・要介護認定を受けましょう。要支援・要介護認定を受けるには、必要書類を用意して自治体や地域包括センターなどに申請する必要があります。

必要書類や申請方法などについて、おおまかな申請の流れは下記です。

【要支援・要介護認定を受ける流れ】

  1. 介護保険被保険者証を用意し、各市区町村窓口または地域包括支援センターにて申請を行う
    ※40歳〜64歳の方は医療保険証が必要
  2. 市区町村の調査員による認定調査と、主治医意見書作成の依頼を行う
  3. コンピューターによる一次判定と介護認定審査会による二次判定を受ける
  4. 認定通知が届いたら完了

参考:厚生労働省|サービス利用までの流れ

認定が完了するまでの期間は、原則として申請から30日以内となっています。また、認定の有効期限は新規・変更と更新によって異なり、それぞれ以下のとおりです。

【要支援・要介護認定の期限】

  • 新規・変更申請の場合:原則として6カ月
  • 更新申請の場合:原則として12カ月

※更新時に区分変更(要介護→要支援など)がある場合は3カ月〜36カ月の間で設定

要支援・要介護認定の受け方については、詳しい記事がありますので、「要介護認定の受け方は?申請方法や必要書類、注意点について解説」をあわせてご覧ください。

訪問看護を介護保険で利用した場合の基本料金・負担額

介護保険を使って訪問看護を利用した場合、患者さまが負担する費用はどのくらいになるのでしょうか。訪問看護の料金は、訪問看護の利用回数や時間、患者さまの要介護度によって異なりますが、1回あたりのサービス利用料は以下の計算式となります。

(基本料金+加算)×地域区分

基本料金とは、訪問看護の所要時間に応じて定められた単位数のことです。たとえば20分未満の場合は314単位、30分未満の場合は471単位というように、時間に応じて設定されています(1単位=10円~11.40円)。

加算とは、特定の状況や追加メニューに対して発生する料金のことです。たとえば、緊急時の訪問や特別な医療処置が必要な場合、深夜・早朝の訪問、複数名での訪問が必要な場合などに加算されます。

地域区分とは、その地域の人件費などを考慮して設定された単価の上乗せ割合のことです。都市部ほど高く設定されており、1級地から7級地まで、物価などに応じて段階的に設定されています。

【地域区分別単価】

1級地 2級地 3級地 4級地 5級地 6級地 7級地 その他
上乗せ割合 20% 16% 15% 12% 10% 6% 3% 0%
1単位の単価 11.40円 11.12円 11.05円 10.84円 10.70円 10.42円 10.21円 10円

お住まいの地域が区分のどれに該当するかは、厚生労働省の「地域区分」をご覧ください。

要介護認定を受けている方の基本料金

具体的な料金は、サービスを提供する事業者やお住まいの地域区分によっても異なるため、以下の表はあくまでも目安として参考にしてください。介護保険の費用負担は、65歳以上の方は基本的に1割負担です。ただし現役並みの所得がある高齢者は自己負担割合2〜3割となります。

サービス利用時間 単位数 10割負担の場合 1割負担の場合 2割負担の場合 3割負担の場合
20分未満 314単位 約3,580円 約357円 約715円 約1,073円
30分未満 471単位 約5,369円 約536円 約1,073円 約1,610円
30分以上1時間未満 823単位 約9,382円 約938円 約1,876円 約2,814円
1時間以上1時間30分未満 1,128単位 約12,859円 約1,285円 約2,571円 約3,857円

※利用者負担料の地域区分は東京23区(1級地)を例とし、1単位 = 11.40円で計算
※端数切捨て
※訪問看護ステーションの場合

要支援認定を受けている方の基本料金

サービス利用時間 単位数 10割負担の場合 1割負担の場合 2割負担の場合 3割負担の場合
20分未満 303単位 約3,454円 約345円 約690円 約1,036円
30分未満 451単位 約5,141円 約514円 約1,028円 約1,542円
30分以上1時間未満 794単位 約9,052円 約905円 約1,810円 約2,715円
1時間以上1時間30分未満 1,090単位 約12,426円 約1,242円 約2,485円 約3,727円

※利用者負担料の地域区分は東京23区(1級地)を例とし、1単位 = 11.40円で計算
※端数切捨て
※訪問看護ステーションの場合
出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」訪問看護基本報酬

なお、患者さまに必要な訪問看護の内容や回数などは、ケアマネジャーがケアプランを立て決めていくのが一般的です。

関連記事:訪問看護は介護保険と医療保険どっち?適用条件や費用について解説

介護保険を適用して訪問看護を受けた場合の料金シミュレーション

では、介護保険を適用して訪問看護を受ける場合にかかる料金のイメージを見ていきましょう。今回は以下2種類の利用時にかかる費用を紹介するので、ぜひ参考にしてください。なお、自己負担割合は1割、地域区分は1級地とします。

パターン①

介護区分 要介護1
状態 基本的な生活は1人でも可能だが、買い出しなどは難しい
サービス利用時間 週1回、30分以上1時間未満の訪問看護を利用した場合
自己負担額 1回あたり938円(※823単位×11.40円の1割)×週1回×月4回=月額3,752円

パターン②

介護区分 要支援1
状態 基本的な生活は1人でも可能だが、入浴は難しい
サービス利用時間 週2回、30分未満の訪問看護を利用した場合
自己負担額 1回あたり514円(※451単位×11.40円の1割)×週2回×月4回=月額4,112円

介護保険で訪問看護を利用する際の注意点

訪問看護で介護保険を利用する際、覚えておいてほしい注意点があります。

  • 必要に応じて加算メニューがある
  • 訪問時間は限られている
  • 要介護度によって支給限度が異なる

必要に応じて別費用がかかる

以下のようなケースでは、基本料金に加えて別の費用がかかります。

  • 緊急時の訪問
  • 早朝・夜間や深夜の訪問
  • 複数名での訪問
  • 90分を超える長時間の訪問
  • お看取り時のケアの提供(ターミナルケア)など

これらは「緊急時訪問看護加算」「特別管理加算」とよばれ、介護保険にも適用されます。加算の内容によって費用が変わるため事前に確認が必要です。

訪問時間は限られている

訪問看護において介護保険を利用する場合、利用回数の制限はありません。ただし、1日に2回以上の訪問看護を利用する場合は、間を2時間以上空けなければならない「2時間ルール」が存在します。これは、サービス事業者の不正な過剰請求を防ぐ目的で設定されているものですので、覚えておきましょう。

要介護度によって支給限度額が異なる

介護保険を利用する際は、毎月利用できる介護サービスの総額に制限があることを覚えておきましょう。支給限度額は患者さまの要介護度によって異なり、それぞれの限度額は以下のとおりです。

要介護度 支給限度額(10割) 自己負担(1割の場合)
要支援1 50,320円 5,032円
要支援2 105,310円 10,531円
要介護1 167,650円 16,765円
要介護2 197,050円 19,705円
要介護3 270,480円 27,048円
要介護4 309,380円 30,938円
要介護5 362,170円 36,217円

出典:厚生労働省|サービスにかかる利用料

上記の支給限度額を超える分は全額自己負担となるためご注意ください。

訪問看護を医療保険利用することも可能

要支援・要介護認定には当たらない、あるいは年齢的に介護保険の対象にはならない方も、医師が必要と判断すれば医療保険で訪問看護を利用ができます。利用条件は、「病気や怪我の治療が必要で、主治医が訪問看護の指示書を作成した」という前提のもとで、以下に当てはまる方です。

【医療保険の利用条件】

  1. 40歳未満の方
  2. 40〜64歳で、16特定疾病以外の病気やけがで訪問看護が必要な方
  3. 65歳以上で要介護・要支援認定を受けていない方
  4. がん末期や難病など、医療依存度の高い疾病(別表7)の方

※別表7とは:厚生労働省が定める、医療依存度の高い疾病。末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症など20種類ある。年齢や要介護認定の有無にかかわらず医療保険が利用可能

参考:厚生労働省|訪問看護のしくみ

医療保険はすべての国民が加入している保険制度で、年齢や所得によって負担割合は異なりますが、自己負担額を1割〜3割に抑えられます。

なお、医療保険での訪問看護について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。

関連記事:訪問看護の費用はどのくらい?医療保険と介護保険の適用条件を解説

よくある質問

訪問看護は介護保険の対象ですか?

訪問看護は、65歳以上または40歳〜64歳以上で特定疾病を抱えている方で、要支援・要介護認定を受けている場合は介護保険の対象となります。それ以外の方は医療保険を検討してください。

詳しくは記事内「訪問看護を介護保険で利用する条件」「訪問看護を医療保険利用することも可能」をご覧ください。

介護保険を適用して訪問看護を受けられるのは週何回まで?

介護保険を適用して訪問看護サービスを受ける場合は、週何回までといった利用制限はありません。ただし、1日に2回以上の訪問看護を利用する場合は、間を2時間以上空けなければならない「2時間ルール」が存在します。

詳しくは記事内「訪問時間は限られている」をご覧ください。

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