ホスピス型住宅のReHOPE | ホスピス・介護の基礎知識 | 医療・介護制度を知る | 経管栄養とは?3種類の方法とメリット・デメリットを詳しく解説
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この記事の監修者
畠 尚子(はた なおこ)
プロフィール
総合病院で17年間勤務。2009年にがん性疼痛看護認定看護師資格取得。総合病院では緩和ケア病棟で勤務、緩和ケアチーム専従看護師として看護外来や緩和ケア回診の業務と並行し緩和ケアリンクナース会の運営や認定看護師指導にも携わる。その頃から、訪問看護や在宅ホスピスに興味があったが、がん看護以外の経験がなかったため、その後、地域密着型病院の急性期病棟に移り、様々な疾患の看護や地域連携、看護管理について学びを深め、2025年、株式会社シーユーシー・ホスピスに入社
経管栄養(けいかんえいよう)とは、口から食べることが難しい方に、チューブを使って栄養や水分を入れる医療処置のことです。
はじめてこの言葉を目にした方の中には、「ずっとチューブ生活になるの…?」「家で介護するときに、何に気をつけたらいいの?」と、不安を抱えている方も少なくありません。
そこでこの記事では、経管栄養の概要や3つの方法、自宅や施設での生活で気をつけるポイントなどについて詳しく解説します。また、経管栄養を行っている方を受け入れている介護施設も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
経管栄養とは、病気やけが、加齢などの影響で口から安全に食事をとることが難しい方に対して、チューブを通して栄養や水分を注入する医療処置のことです。経管栄養は、たとえば以下のような状態の方が適応となります。
また、経管栄養の主な目的は、以下のとおりです。
なお、経管栄養の適応となるには、胃や腸、食道といった消化管が正常に機能していることが前提になります。消化管機能自体に大きな問題がある場合は、点滴など別の方法で栄養を補給する選択肢が検討されます。
経管栄養には、主に以下の3つの方法があります。
それぞれ、身体への負担や生活のしやすさなど特徴があります。ここからは1つずつ詳しく見ていきましょう。
経鼻経管栄養は、鼻から細いチューブを入れて食道に通し、胃まで栄養剤を届ける方法です。チューブの外側に栄養剤のボトルや袋をつなぎ、一定のスピードで胃の中に流していきます。
経鼻経管栄養は導入が比較的容易で、病状がよくなって口から食べられるようになれば、すぐに中止できる自由度の高さが特徴です。ただし、鼻にチューブを通している違和感や不快感が強く、一般的に4週間以上の長期的な経管栄養が必要な場合には選択されません。
経鼻経管栄養のメリットとしてあげられるのは、主に以下の4つです。
メリットがある一方で、経鼻経管栄養には以下のようなデメリットもあります。
経瘻孔法とは、手術で腹部に小さな穴(瘻孔:ろうこう)を開けて、直接胃や腸にチューブを通して栄養剤を注入する医療処置のことです。代表的な方法として、以下の2種類があげられます。
手術は比較的短時間で終わり、入院期間も長くないことが多いとされています。また、4週間以上経管栄養が必要な場合に、胃ろうなどの経瘻孔法を選択するケースが多いのが特徴です。
なお、胃ろうについて詳しく知りたい方は、別記事「胃ろうとは」もあわせてご覧ください。
経管栄養に経瘻孔法を選択するメリットは、主に以下のとおりです。
メリットがある一方で、経瘻孔法には以下のようなデメリットもあります。
また、腸ろうを選択する場合には、医師によるチューブ交換のため通院が必要なことや、注入時間が長くなるデメリットもあります。さらに、小腸に直接入るため、下痢になりやすいことにも注意が必要です。
間歇的口腔食道経管栄養法とは、嚥下障害のある方が栄養剤を入れるときだけ口からチューブを挿入し、注入が完了したらチューブを抜く方法です。「経口栄養法」と呼ばれることもあり、嚥下訓練につながる特徴があります。
主な対象者は意識がはっきりしている方や発声が可能な方ですが、過去に食道や胃の大きな手術をしている場合は、安全性を慎重に検討する必要があります。なお、経鼻経管栄養との大きな違いは、普段はチューブをつけていない点です。
間歇的口腔食道経管栄養法を選ぶ主なメリットは、以下のとおりです。
メリットがある一方で、間歇的口腔食道経管栄養法には以下のようなデメリットもあります。
ここでは、経管栄養の方とそのご家族などが自宅で経管栄養を管理する際に、特に注意しておきたいポイントを一部ご紹介します。
ただし、経管栄養導入時には病院や訪問看護師からの指導があるので、自己判断ではなく指示に従うことが前提です。何かトラブルや不安があるときは、迷わずかかりつけ医や訪問看護師に連絡しましょう。
チューブ管理に関して注意しておくべきなのは、以下の2点です。
以下ではそれぞれ詳しく解説していきます。
経鼻経管栄養や間歇的口腔食道経管栄養法の場合、チューブが正しい位置に入っているかどうかの確認がとても重要です。誤って気管に入れてしまうと、窒息や誤嚥性肺炎といった重大な事故につながりかねません。
日常生活で経管栄養を管理する場合は、必ず医師・看護師から教わった方法で確認してから栄養剤を注入しましょう。
経瘻孔法の場合、チューブが完全に抜けてしまうと、数時間でお腹の穴がふさがってしまうことがあります。万が一抜けてしまったら、すぐにかかりつけ医や病院に連絡しましょう。
あらかじめ再挿入の方法を指導されていてご家族が対応できる場合は、無理のない範囲で教わった通りに対応してください。少しでも不安があれば、無理に行わず医療機関に相談しましょう。
そのほかにも、着替えや体位交換、車いすやベッドへの移乗の際にチューブが引っ張られやすいので、腹巻きなどで保護したりチューブをまとめて固定したりするなどの工夫も必要です。
健康状態を観察することも、日常生活で気をつけておきたいポイントにあげられます。とくに、「便の状態」は毎日チェックしておきましょう。その理由について、以下で詳しく解説します。
経管栄養で使う栄養剤は、通常の食事に比べて下痢になりやすいとされています。下痢が続くと、栄養や水分が十分に吸収されないことや、体力低下や皮膚トラブルにつながります。
経管栄養によって下痢になる原因は、主に以下のとおりです。
一方で、水分不足が起こると便秘になることもあります。そのため、毎日便の回数や状態を丁寧に観察し、変化が続く場合は主治医や訪問看護師に相談しましょう。
また、清潔・感染予防を徹底することも欠かせません。具体的に行っておきたいことは、以下の2つです。
それぞれについて以下で詳しく解説します。
経鼻経管栄養の場合は、固定したチューブの周囲の皮膚がただれるなど、皮膚トラブルが起こりやすくなります。胃ろう・腸ろうの場合でも、チューブの周囲の皮膚が炎症を起こしてしまう可能性があります。
そこで、周辺の皮膚を清潔に保つため、以下を毎日行うことが重要です。
なお、赤みや痛み、におい、分泌物の増加など、皮膚にいつもと違うサインが見られる場合は、早めに医師や訪問看護師に相談しましょう。
経管栄養になると口から食べる機会が減るため、唾液の分泌が減って口の中が乾燥し、汚れがたまりやすくなります。その結果、誤嚥性肺炎のリスクが高まることや口内炎の発生、嚥下機能が低下するなどのトラブルにつながるおそれがあります。
そのため、以下のような口腔ケアを日常的に継続していくことが重要です。
また、口腔ケアは、衛生面だけではなく間接的な嚥下訓練にもなります。医師や歯科医師、看護師の指導のもと、無理のない範囲で継続していきましょう。
経管栄養を行っている方は、厚生労働省が定める医療的ケアが必要な状態(別表第8)にあてはまることが多く、訪問看護を手厚く利用できる場合があります。具体的なサービスの内容の例は、以下のとおりです。
ご家族だけで経管栄養を管理する方も多いですが、チューブの挿入は訓練が必要なので、訪問看護を利用することで介護者の負担は軽減されます。なお、訪問看護の利用の可否や回数は、主治医や訪問看護ステーションと相談しましょう。訪問看護について詳しく知りたい方は、別記事「訪問看護とは?サービスの内容や利用方法について解説」をご覧ください。
また、経管栄養の管理をご自身で行うことに不安がある方は、看護師が24時間常駐するホスピス型住宅などの介護施設を利用するのも選択肢のひとつです。
経管栄養の管理は、医師や看護師だけでなく、特定の研修(喀痰吸引等の研修など)を修了した介護職員も行えます。そのため近年では、経鼻経管栄養や胃ろうなどの方を受け入れ可能とする介護施設も増えてきました。
受け入れ可能な代表的な施設としてあげられるのは、主に以下のとおりです。
| 施設名 | 主な特徴 |
| 介護医療院 | ・医療ニーズが高い方向けの施設で、経管栄養も対象となる
・看護師や医師、薬剤師などが常駐している |
| 介護老人保健施設 | ・入院していた高齢者の方が在宅復帰を目指すための施設
・理学療法士や作業療法士が常駐し、リハビリをサポートする |
| 特別養護老人ホーム | ・要介護度3以上の高齢者が対象となる公的介護施設
・介護職員が24時間体制で日々の生活をサポートする |
| 住宅型有料老人ホーム(ホスピス型住宅) | ・生活支援のサービスが基本
・看護師が常駐していて手厚い医療ケアを受けられる |
| サービス付き高齢者向け住宅 | ・バリアフリーの高齢者賃貸住宅
・自立度が高い方向けの一般型と、介護度が高い介護型の施設に分けられる |
特に、夜間のたん吸引が必要な方や医療依存度が高い方は、24時間看護師が常駐している施設に入居できると安心です。
ただし、認知症が進行していてチューブを自分で引き抜いてしまう可能性が高い方については、安全面から受け入れを断られるケースもあります。実際の受け入れ体制は施設ごとに異なるため、事前に見学・相談を行い、医療依存度や自己抜去のリスクについて共有することが大切です。
なお、ReHOPEでも経管栄養の方の受け入れを行っています。全国各地で24時間365日の専門ケアを提供しているので、ぜひお気軽にご相談ください。
老人ホームなど、各施設の特徴について詳しく知りたいという方は、別記事「老人ホームの種類と特徴を比較!費用・介護度別の選び方」をご覧ください。
出典:介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度について|厚生労働省
経管栄養は、病気や加齢などにより口から食事を摂ることが難しい方にチューブで栄養や水分を入れる方法で、経鼻経管栄養や経瘻孔法、間歇的口腔食道経管栄養法の3種類があります。
それぞれ病状や実施期間、生活スタイルによって向き不向きが違うため、医師や看護師など医療チームと話し合って選ぶことが重要です。経管栄養は、はじめは不安になりやすい治療ですが、「なぜ必要か」「どんな選択肢があるか」を知り、主治医やケアマネジャーなどに相談しながら検討してみてください。
経管栄養には、主に以下の3つの方法があります。
それぞれ、体への負担や生活のしやすさ、適している期間が異なります。詳しくは、記事内「経管栄養の種類とメリット・デメリット」をご覧ください。
「経管栄養」は栄養をチューブで入れる方法全体の総称で、「胃ろう」はその中の1つの方法(お腹から胃にチューブを通す方法)です。詳しくは、記事内「経瘻孔法(けいろうこうほう)」をご覧ください。
経管栄養の主な注意点としては、チューブの位置や抜けに十分注意すること、便の状態や体調変化を毎日観察することがあげられます。また、皮膚・口腔を清潔に保ち、感染症や誤嚥性肺炎を防ぐことも大切です。詳しくは、記事内「経管栄養の方の日常生活で気をつけるポイント」をご覧ください。
ReHOPE(リホープ)は、当社が運営するがん末期や難病の方々を対象にしたホスピス型住宅です。医療・介護の専門スタッフが、24時間365日体制で安心できるケアを提供し、ご入居者さまが自分らしい生活を送れるようサポートしています。
ReHOPEの強みは、常駐スタッフによる日常生活支援から医療的ケアまで、ご入居者さまのニーズに合わせたきめ細やかなサポートを提供することです。さらに、地域の医療機関や多職種との連携により、心と身体の両面を支える総合的なケアを実現しています。
また、経管栄養の方のご入居・見学にも対応しています。詳しくはReHOPE公式ホームページ内の「ご提供可能な看護介護サービス」をご確認ください。