ホスピス型住宅のReHOPE | ホスピス・介護の基礎知識 | 病気を知る | 誤嚥性肺炎とは?原因・症状・初期サインと、予防のために知っておきたいこと
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この記事の監修者

竹内 理恵(たけうち りえ)
運営本部 運営支援部 ケア技術向上推進チーム 看護エキスパート
プロフィール
1998年から急性期病院で21年勤務。呼吸療法認定士を取得して主に呼吸器科病棟に従事する。2020年にシーユーシーホスピスに入社後、ReHOPE札幌厚別での勤務を経て現在はケア技術向上推進チームの人工呼吸器エキスパートとして兼務。
「食事中にむせることが増えた」「熱がなかなか下がらず、どこか元気がない」
そのようなご家族の変化に、不安を感じていませんか。高齢の方の肺炎は重症化しやすく、命に関わることもあるため、早期に気づき対応することが大切です。
こうした症状の原因のひとつに誤嚥性肺炎が挙げられます。誤嚥性肺炎とは、食べ物や飲み物、唾液などが誤って気管に入り、細菌とともに肺へ侵入することで起こる肺炎を指します。
本記事では、誤嚥性肺炎の原因や症状、治療方法に加え、再発を防ぐために大切な予防のポイントまで、わかりやすく解説します。
誤嚥性肺炎は、唾液や食べ物、飲み物がそれらに含まれる細菌と一緒に誤って気管支や肺に入ってしまうことで発症する疾患で、肺炎の種類のひとつです。
なお、唾液や食べ物、飲み物などが食道ではなく気管支や肺に入ってしまうことを誤嚥といいます。
出典:日本歯科衛生士会「「誤嚥性肺炎」をご存じでしょうか。」
誤嚥性肺炎は、誤嚥した際に唾液や食べ物などに含まれる細菌が一緒に気管支や肺に入ってしまうことで細菌感染を起こし発症します。通常は誤嚥しても、むせたり咳をしたりすることで異物を排出できますが、誤嚥しても咳が出なかったり、咳で異物がうまく排出できなかったりすると細菌が気管支や肺に入り込んでしまいます。
誤嚥性肺炎は以下のような場合、特にかかりやすいため注意が必要です。
そのため、高齢の方や神経疾患・脳神経疾患をお持ちの方、寝たきりの方などは上記のような状態にひとつまたは複数当てはまる場合が多く、誤嚥性肺炎のリスクが特に高いといえます。
誤嚥性肺炎の典型的な症状には以下のような発熱、せき、濃い色の痰などが挙げられます。
| 咳 |
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| 痰 |
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| 発熱 |
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| 呼吸困難 |
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| その他 |
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高齢の方の場合、咳や発熱などの症状が現れず、食欲不振や活動量の低下、ぼんやりとしている時間が増えるなどの症状のみが見られる場合もあります。
また、これらの症状は風邪などでもみられる場合があるため一概に判断はできませんが、医師へ相談する際などに参考にしてください。
誤嚥性肺炎の初期症状は風邪に似たものが多く、すぐに気づくことが難しい場合もあります。誤嚥性肺炎の初期症状としてよく見られる症状は以下のとおりです。
特に免疫力が落ちていたり飲み込む力が落ちているなど、誤嚥性肺炎のリスクが高い方でこれらの症状がみられる場合は早めに医師に相談するとよいでしょう。
誤嚥性肺炎の主な初期症状は咳や痰、発熱など、風邪の症状に似ているものが多いため、医師や看護師などへの相談が遅れてしまう場合があります。
食事中や水分補給などのタイミングで飲み込みに時間がかかったり、むせたりしている場合は嚥下困難や誤嚥の可能性があります。このように誤嚥のリスクが高い方に誤嚥性肺炎の初期症状がみられる場合は、風邪と個人で判断してしまわずに早めに医師に相談しましょう。
誤嚥性肺炎は必要に応じて適切に治療を受ければ治る疾患です。しかし、重症化したり治療が遅れてしまったりすると、合併症だけでなく最悪の場合死亡してしまう場合もあります。
また適切な治療を受けることはもちろん、体調や体力ど本人の状態によって治療が困難になってしまうこともあるため、まずは日々の予防が大切です。
誤嚥性肺炎は、軽症であれば経過観察になる場合もありますが、基本的には肺炎になった原因菌を取り除くための抗菌薬が使用されます。なお、誤嚥性肺炎の場合、治療の際に一時的に飲食を禁止する場合もありますが、その期間は本人の状態や病院の方針などにより異なります。
誤嚥性肺炎が重症化していて酸素をうまく取り込むことができない場合、人工呼吸器などを使用して、呼吸の補助を行う場合もあります。
これらの治療は基本的な治療方法ではありますが、本人の体調や持病の有無などによって選択できる治療法は異なる場合があります。
誤嚥性肺炎は抗菌剤などの使用で治る場合が多いですが、そもそもの原因を改善しなくては再発を繰り返してしまう可能性があります。そのため、誤嚥性肺炎は日々のケアが大切です。

食事の際に姿勢が崩れてしまっていると誤嚥のリスクが上がってしまうため、できる限り正しい姿勢で食事を摂れるようにしましょう。
椅子に座って食事が摂れる場合の正しい姿勢のポイントは以下のとおりです。
また、食べ物の逆流を防ぐために食後2時間は横にならないようにしましょう。
嚥下機能が低下している場合、むせにくく飲み込みやすいように食事内容そのものを工夫することも大切です。
水やお茶などの飲み物やぱさぱさしたものはとろみをつけ野菜などは柔らかく煮るなど、食べやすいように工夫することで、より安心して食事ができます。
寝たきりの方や高齢者の方は、唾液の量が減ったり、歯磨きや義歯の手入れなどの口腔ケアをひとりで十分に行うことが難しくなったりします。その結果として、口腔内の細菌が増えてしまうと誤嚥性肺炎のリスクが高くなってしまうため、以下のような日々の口腔ケアはできる限り丁寧に行いましょう。

嚥下機能が低下している場合、リハビリやトレーニングを行うことで改善がみられる場合があります。誤嚥性肺炎の治療の一環としてリハビリや指導を受けられる場合もありますが、自身でできるトレーニングもありますので是非日常に取り入れてみましょう。
嚥下機能の向上を期待できる口の体操としておすすめなものは以下のとおりです。
| 発音練習 | 「パ・タ・カ・ラ」と舌をよく動かす音を口を大きく動かして発音する |
| 口の運動 | 口を大きく開けたり閉じたりをゆっくり行う(それぞれ10秒ずつが目安) |
| 舌の運動 | 舌を前後左右に動かす |
| 頬の運動 | 頬を膨らませたり、すぼめたりする |
| 呼吸 | 大きく深呼吸する |
言語聴覚士や医師の指導を受けることでより専門的で効果的なトレーニングやリハビリが受けられる場合もあるため、必要に応じてかかりつけ医などに相談するとよいでしょう。
誤嚥性肺炎は、唾液や食べ物、飲み物がそれらに含まれる細菌とともに誤って気管支や肺に入ってしまうことで起きる肺炎です。
早期に治療を開始することで多くの場合は回復が見込めますが、原因となる誤嚥や不十分な口腔ケアが改善されなければ、再発のリスクは続きます。
食べやすい食事形態への調整や姿勢の工夫、口腔ケアの徹底などは重要ですが、これらを在宅で家族だけが担うのは大きな負担となることも少なくありません。また、難病や末期がんなどを併発している場合は、誤嚥性肺炎のリスク管理に加えて医療的な判断や迅速な対応が求められます。
そのような場合には、医師・看護師・リハビリ専門職などが連携し、専門的なケアを提供できる環境が安心につながります。
食べやすい食事の工夫はもちろん、専門家のサポートを受けながらトレーニングやケアを行うことで、誤嚥性肺炎の予防と再発防止を目指していきましょう。
誤嚥性肺炎は、抗菌薬の投与などを行うことで治療が可能です。
詳しくは記事内「誤嚥性肺炎の治療」をご覧ください。
誤嚥性肺炎は、本人の状態によって悪化したり合併症などのリスクはありますが、適切な治療を行うことで回復できる疾患です。
回復後の健やかな状態を維持するため、日々の予防を心がけましょう。
詳しくは記事内「誤嚥性肺炎の治療と予防方法」をご覧ください。
ReHOPEでは、がん末期や難病を抱え、誤嚥や肺炎などのリスクに不安を感じている方でも安心して暮らせるホスピス型住宅です。
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