ホスピス型住宅のReHOPE | ホスピス・介護の基礎知識 | 医療・介護制度を知る | 疼痛コントロールとは?痛みのしくみや疼痛管理の方法までまとめて解説
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この記事の監修者

松村 広子(まつむら ひろこ)
運営支援部 ケア技術向上推進チーム 緩和ケアエキスパート
プロフィール
総合病院にて手術室看護師を10年。その後外科外来、外科病棟に勤務し、がん患者様と多く関わる。手術をしても良くならず、苦しい思いをして過ごしている方の多いことにショックを受け、もっと専門的に学びたいと思い認定看護師教育課程へ進む。その後緩和ケアチーム、緩和ケア看護外来、緩和ケア病棟、地域連携支援センターを経てそれぞれの緩和ケアを学び、在宅でその人らしく最期まで寄り添う看護を提供したいと考え、2023年 シーユーシー・ホスピスに入社。
医学用語で痛みは「疼痛(とうつう)」といいます。少しの痛みであれば我慢してしまいがちですが、少しの痛みでも継続的に続くのであれば精神的苦痛やQOLを下げることになってしまうため、疼痛管理は非常に重要です。
また、痛みは人それぞれ感じ方が異なるので、痛みに対しての種類や症状、原因を適切に特定し、対処していく必要があります。
本記事では疼痛コントロールの方法や、痛みの種類や強さをどのようにして特定していくのかなど解説します。最後に施設による疼痛コントロールの違いも解説しているので、治療やホスピスケアなどで疼痛コントロールが必要な方は是非参考にしてください。
疼痛コントロールとは、痛みの種類や性質、患者の状態などに応じて疼痛の緩和・管理を行うことです。痛みには、刺すような鋭い痛みからじわじわと鈍い痛み、急に痛むものや持続的なものなど、様々な種類の痛みが存在します。
痛みに対する症状は人によって異なるため、疼痛の原因を適切に判断した上で、一人ひとりに合ったケアが必要です。
上述したように、疼痛の原因は様々です。
病気や怪我の治療中に疼痛があれば、痛みそのものが原因で呼吸や心拍、血圧などに影響してしまう場合があります。たとえば、手術後に疼痛コントロールを行うことで早くベッドから起き上がれるようになったり、リハビリの開始時期が早められたりすることで入院期間の短縮にも繋がる可能性があります。
また、がん末期などであれば緩和ケアのひとつとして行われます。痛みで眠れない時や痛みによる肉体的、精神的な苦痛の緩和などを行うことで、QOLの向上が期待できます。
疼痛の種類は大きく3つに分けられます。
皮膚や骨、筋肉などの組織に、物理的な刺激による損傷が起きた際に発生する疼痛です。たとえば、筋膜や骨格筋の炎症に伴う痛みや褥瘡の痛みなどが該当します。
食道や胃、肝臓、腎臓などの臓器に炎症が起きた際に発生する疼痛です。消化管閉塞に伴う腹痛や肝臓がんに伴う腹部の重苦しさなど、深く絞られるような痛みが特徴です。
末梢神経や脊髄神経などの神経が圧迫、損傷されることによって発生する疼痛です。たとえば、腰椎や頸椎などに骨転移することで手先や足先にビリビリとしびれる痛みが生じるなど、継続的なしびれや刺すような痛みを感じる場合が多くあります。
疼痛はさまざまな疾患や怪我でみられますが、特にがん患者さんにおいては、複数の要因が重なって痛みが生じることも少なくありません。
がん患者が経験する痛みは主に3つに分けられます。
がんが骨に転移した際の痛み、すい臓がんなどによる内臓の痛み
放射線治療や化学療法、外科療法によって生じる痛み
もともとの疾患など、がんやがん治療に直接的に関係のない痛み
がんによる疼痛コントロールは治療中から終末期のケアまで継続して行われます。
がん末期の症状やケアについては別記事「がん末期(末期癌)と診断されたら?症状や必要なケア、退院後の選択肢について解説」をご覧ください。
疼痛コントロールを行う前に、どの程度の痛みがあり、どのようなケアが必要かを判断するための診断を行います。疼痛の評価は患者本人の申告と医療者による包括的な評価で行います。疼痛の原因と疼痛そのものをそれぞれ評価し、疼痛コントロールの方法を決めていきます。
疼痛の原因の評価
身体的な所見や画像検査、血液検査などから痛みの原因を見つけ、痛みの治療方法を決定します。また、この評価は痛みの原因に対する治療や、対策が必要かの判断にも有効です。
疼痛そのものの評価
疼痛そのものの評価
日常生活にどのくらいの支障をきたしているかなどを患者本人からヒアリングし、患者の状態を見た医療者による総合的な判断で評価されます。
患者への痛みに対するヒアリング事項として一番弱いときの痛み、一番強いときの痛み、1日を平均した痛みはどのくらいか、また、安静時と体動時に痛みの違いはあるかなどを聞かれることがあります。体の痛みがあった際は、どの程度でどんな時に発生した痛みだったのか記録しておくと良いでしょう。
疼痛コントロールは、薬剤による鎮痛や現在使用している治療薬の調整をする方法と、マッサージやコミュニケーションをとるなどの薬以外のケアによる方法の2種類で行われます。
薬剤の選択は、副作用や相性だけでなく、「その時点での痛みの強さ」も合わせて判断することが基本になっています。
かつては、非オピオイド鎮痛薬(アセトアミノフェン・抗炎症薬など)から段階的に強い薬へと切り替える手法が一般的でしたが、現在は考え方が柔軟になっています。
痛みが軽度であれば非オピオイド鎮痛薬を使用しますが、痛みが強い場合には、我慢せずに最初からオピオイド鎮痛薬(医療用麻薬など)を選択し、速やかな苦痛緩和を目指すことも多くなってきました。
また、痛みの種類によっては、鎮痛補助薬(抗うつ薬・抗けいれん薬など)を併用し、多角的なアプローチで痛みをコントロールします。
疼痛の原因ががんなどの治療薬による副作用である場合は、薬の種類を変更や調整を行うことで痛みの軽減や副作用の調整が可能です。
たとえば、抗がん剤治療薬による副作用の一つとして血管痛があります。血液とpHが違う薬剤を点滴によって投薬することで血管に痛みや炎症を起こしてしまったり、治療薬自体の刺激性により血管内壁が傷ついてしまうことにより、人によっては耐え難い痛みになると言われています。
血管痛が起こりやすい治療薬かあらかじめ確認しておくことで、違和感にすぐに気づけるため、円滑に使用する薬剤の調整や副作用の対策を考慮してもらうことができます。
前述の鎮痛剤や治療薬の変更以外の方法として、身体的ケアや精神的ケアも疼痛コントロールのひとつです。
疼痛の軽減や緊張緩和の目的でマッサージを行うことでリラクゼーション効果が期待できます。また、精神面でもがんの進行を不安に思ったり、治療の孤独感などから来るストレスや精神的苦痛を和らげるためにコミュニケーションやタッチングを行うことで、患者の心に寄り添うケアが可能です。
がん末期などで継続的な疼痛コントロールが必要な場合、療養や治療を行う場所によってどのようなケアを受けられるかが異なります。
病院では、がんやその他疾患の治療中、術後などの疼痛コントロールが受けられます。
緩和ケア病棟では、医師や看護師を含めた複数の専門家によるチームが構成されているため、症状の変化や治療の経過に応じた細やかな疼痛コントロールを受けることが可能です。
しかし、入院期間には制限があるので、退院後の療養先や疼痛ケアをどう行っていくかを考えておく必要があります。
また、疼痛の原因によってはペインクリニックなどでの治療を行う場合もあります。
在宅療養は自身でコントロールできる薬剤や訪問看護、訪問診療などを活用することで継続して疼痛コントロールを受けることが可能です。訪問看護では疼痛の評価が随時行われますので、その結果を医師に報告することで必要に応じた疼痛コントロールが受けられます。
一方、医療者が常にそばにいる環境ではないため、使用できる薬剤が限られる場合があります。
訪問看護の費用については別記事「訪問看護の費用はどのくらい?医療保険と介護保険の適用条件を解説」をご覧ください。
医療ケアにも対応できるホスピス型住宅であれば薬剤による疼痛コントロールを受けることが可能です。使用している薬剤の種類によっては医師しか処置できないものもありますので、入居前にホスピス型住宅での対応可否を確認したり、疼痛コントロールの選択肢をかかりつけ医に相談したりしましょう。
ホスピスケアや緩和ケアを提供しているホスピス型住宅では、前述の薬剤以外の方法での疼痛コントロールも適切な知識をもったスタッフから受けられます。
ReHOPEでは麻薬管理や神経ブロック、鎮痛補助薬の使用による薬による疼痛コントロールのほか、作業療法士によるリハビリテーションやリラクゼーションなども組み合わせながら疼痛コントロールを行っています。
ホスピスと緩和ケア病棟の違いについては別記事「ホスピスと緩和ケア病棟の違いとは?それぞれの特徴を解説」をご覧ください。
がん末期の方など、最期までできる限り自分らしく過ごすためには疼痛コントロールは不可欠です。QOLを維持できるよう医師や看護師と相談しながら適切に処置を行いましょう。
今後どのようなケアが受けられるのか、どこで疼痛コントロールを行っていくか考えている方へ、本記事を参考のひとつにしていただけると幸いです。
疼痛コントロールとは、痛みの種類や性質、患者の状態などに応じて疼痛の緩和・管理を行うことです。詳しくは記事内「疼痛コントロールとは」をご覧ください。
疼痛コントロールの方法は、主に薬剤による鎮痛・治療薬の調整・薬以外の3つの方法があります。詳しくは記事内「疼痛コントロールの方法」をご覧ください。
疼痛は患者さま本人の申告、および医療者の診断を総合して判断されます。痛みの原因と痛みそのものをそれぞれ把握した上で、どのような疼痛コントロールを行うのかを選択します。
詳しくは記事内「疼痛の評価方法」をご覧ください。
ReHOPEは、看護師や介護士、作業療法士からの手厚い医療やケアを24時間365日受けられるホスピス型住宅です。医療・介護の専門スタッフが24時間365日体制で常駐しており、「自宅のような環境」でご入居者さまが自分らしい生活を送れるようサポートしています。
また、質の高いケアを届けるために、認定看護師による専門講座を開いたり、入社時に専門知識の研修を行うなど、徹底したスタッフ教育を行っています。
常駐スタッフによる日常生活のサポートや医療的ケアまで、ご入居者さまのニーズに合わせたきめ細やかなサポートができることが特徴で、地域の医療機関や多職種との連携により、心と身体の両面に対する総合的なケアを実現しています。