慢性心不全とは?症状・原因から治療法、余命までをわかりやすく解説|ホスピス・介護の基礎知識|ホスピス型住宅 ReHOPE(リホープ)
病気を知る

慢性心不全とは?症状・原因から治療法、余命までをわかりやすく解説

投稿日: 更新日:

慢性心不全とは?症状・原因から治療法、余命までをわかりやすく解説

この記事の監修者

赤羽 朝香(あかはね あさか)

赤羽 朝香(あかはね あさか)

運営支援部 ケア技術向上推進チーム 緩和ケアエキスパート

プロフィール

2002年北海道医療大学看護福祉学部、看護学科を卒業後、聖路加国際病院で外科、内科を経験し、2004年緩和ケア病棟へ異動となる。2014年に緩和ケア認定看護師の資格を取得し、緩和ケア病棟、緩和ケアチーム、緩和ケア外来で、治療期から終末期にかけて症状緩和が必要な患者様のQOL向上に貢献した。2025年病院退職を機に、以前から興味のあった在宅看護を中心に活動するシーユーシー・ホスピスに途中入社。より生活に寄り添ったその方らしい最期を迎えるための症状緩和を日々模索しながら、自施設だけでなく他施設訪問も行いながら北関東エリアを中心に活動している。

「最近、階段や坂道を登ると息切れがする」「足の甲を指で押すと跡がはっきり残る」など、これまでになかった体調の変化に不安を感じていませんか。こうした症状が続くと、「もしかして大きな病気ではないか」と心配になる方も多いでしょう。

動悸・息切れやむくみといった症状が長期間続く場合、「慢性心不全」の可能性があります。慢性心不全は特定の病名ではなく、心筋梗塞などの病気や高血圧が原因で心臓の働きが徐々に低下していく状態を指します。進行が遅いため、初期に症状を自覚しにくい点が特徴です。

しかし、慢性心不全は早期から適切な治療、生活習慣の見直しをすることで、症状の進行を抑えて生活の質を保つことが可能です。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

本記事では慢性心不全の原因や悪化する要因、日常生活で気をつけるポイントなどをまとめて紹介しています。ぜひ参考にしてください。

慢性心不全とはどのような病気か

慢性心不全とは病名ではなく、なんらかの病気が原因で心臓の機能が低下している「心不全」の状態が、長期間にわたって続いていることを指します。

心不全とは

心不全とは病名ではなく、心臓がその本来の働きを十分に保てなくなっている状態を指す言葉です。

心臓は収縮と拡張を繰り返して、全身に血液を送り出すポンプの機能があります。しかし、心筋梗塞や弁膜症、高血圧などの病気は心臓に負担がかかるため、ポンプの機能は次第に弱っていきます。このように、心臓の機能が低下し、全身に血液を送ることができない状態を心不全といいます。

心不全になると、十分な血液や栄養を臓器に送ることができず、息切れやむくみなどの症状を引き起こします。

慢性心不全とは

慢性心不全とは、前述した心不全の症状が長期間にわたって徐々に進行していく状態を指す言葉です。これに対し、急速に心臓の機能が悪化し、呼吸困難や胸部の痛み、意識障害などを発症する状態を急性心不全といいます。このように、慢性心不全と急性心不全は心不全の症状が進行する速さで分けられます。

出典:一般社団法人 日本循環器学会「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン

慢性心不全の主な原因と悪化させるもの

慢性心不全は、血管や心臓の病気だけではなく、食生活や普段の習慣が原因となって症状が悪化・進行します。ここでは、慢性心不全の原因となる代表的な病気と悪化させる要因を解説します。

はじめに、慢性心不全の原因となる病気は以下のとおりです。

病名 概要
虚血性心疾患 血管が狭くなったり詰まることで血液が送り出せなくなる病気(狭心症や心筋梗塞などが含まれる)
弁膜症 心臓の弁の働きが弱くなり、血流が悪くなったり逆流したりする病気
心筋症 心臓の筋肉が厚くなったり薄くなることで心臓の働きを維持できなくなる病気
不整脈 心臓が規則正しいリズムで動かないことで負担がかかり、十分な量の血液を送ることができなくなる
先天性心疾患 生まれつきの心臓の病気
心筋炎 ウイルスや細菌が原因で心臓の筋肉が炎症を起こし、ポンプ機能が低下する病気
高血圧 血液が血管を押す圧力が正常より高い状態で、これが続くと血管の壁が厚く硬くなり心臓に負担をかける
肺高血圧症 肺に血液を送る血管(肺動脈)の血圧が異常に高くなる病気で、その働きを担う心臓の右側に負担がかかる
脂質異常症 血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が多い状態で、動脈硬化(血管が硬く壊れやすくなる)になりやすく進行すると心不全を発症
糖尿病 血糖値が高い状態が続く病気で、動脈硬化を引き起こしやすい

また、次のような生活習慣は心不全を引き起こしたり、悪化に繋がる可能性があり注意が必要です。

要因 説明
過度な塩分・水分摂取 塩分と水分を摂りすぎることで身体が水分をため込んでしまい、より多くの血液を送り出すため心臓に負担がかかってしまう
喫煙 煙草に含まれるニコチンは血管の収縮・血圧の上昇を引き起こす作用があり、心臓に負担がかかる
過度な飲酒 血圧が高くなりやすく、不整脈や動悸を引き起こしやすい

出典:一般社団法人 日本循環器学会 2025年改訂版「心不全診療ガイドライン

慢性心不全の症状

慢性心不全は、心臓の働きが徐々に低下していき、十分な血液が全身に行き渡らなくなることで症状が現れます。そのため、初期は症状が目立ちにくく気づかれにくい傾向があります。よくみられる具体的な症状は以下のとおりです。

慢性心不全の具体的な症状

  • 階段や坂での息切れ
  • 動悸
  • 不整脈
  • 押すと跡がくっきり残るほどのむくみ
  • 1週間で2kg以上の体重の増加
  • 横になると咳が出やすい
  • 疲れやすい

心臓の血液を送り出す機能が弱くなると、全身の血液や酸素が不足します。その結果、より多くの血液を送ろうと心臓が通常よりも多く拍動するため、動悸や息切れの症状が現れます。さらに、血流が滞ることで余分な水分が体内に溜まり、むくみが生じます。この動悸・息切れ・むくみは慢性心不全の代表的な症状です。

慢性心不全の「急性増悪」とは

慢性心不全における急性増悪(きゅうせいぞうあく)とは、それまでゆっくり進行していた症状が短期間で急激に強くなる状態です。たとえば急な呼吸困難や冷や汗、意識障害などの症状がみられます。

急性増悪の原因は、肺炎などの感染症や塩分過多、高血圧など治療薬の服薬忘れなどがあげられます。風邪がきっかけになり急激に悪化するケースもあるため、風邪症状がある場合は早めに病院を受診することが大切です。

慢性心不全の治療法と生活上の注意点

慢性心不全の場合、症状の進行を遅くしたり急激な悪化を防ぐために、薬物治療や生活習慣の見直しを行います。

まず、薬物治療では利尿薬や血圧を下げる薬が使われます。利尿薬は身体に溜まった水分を尿に出す作用があり、むくみや息切れの改善が期待されます。また、血圧を下げる薬は血管を広げたり心臓が血液を送り出しやすくする作用があるため、心臓の負担を減らすことができます。

次に、慢性心不全の治療で最も重要なのが生活習慣の見直しです。高齢者の方や認知症の方など、自己管理が難しい方の場合は家族のサポートが必要になるでしょう。日常生活で特に気をつけたいポイントは以下のとおりです。

慢性心不全の生活上の注意点

  • 塩分・水分摂取量の調整
  • 体重管理
  • 適度な運動
  • 感染予防
  • 治療薬の継続

出典:一般社団法人 日本循環器学会「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン

それぞれなぜ注意する必要があるのか、また、どのように取り組むのかを詳しく解説します。

塩分・水分摂取量の調整

塩分は身体に水分をため込む作用があり、血液量が増加します。その結果、余分な水分が血管の外に染み出し、むくみや高血圧を引き起こします。そのため、1日あたりの塩分摂取量を主治医が指示した量に調整することが重要です。また、水も過剰に摂取すると同様のリスクがあるため、適切な水分量を主治医に確認しましょう。

体重管理

毎日同じ時間、同じ服装で測定することで体重の変化にすぐに気づくことができます。2~3日で2㎏以上増えた場合、急激に体内の水分量が増加している状態である可能性が高いため、すみやかに医師に相談しましょう。

適度な運動

ストレッチやウォーキングは、血液循環やむくみの解消に効果があり、心臓の負担を軽減する効果があります。ただし、過剰な運動は症状悪化に繋がるため、必ず医師の指導のもと行いましょう。

感染予防

風邪やインフルエンザ、肺炎に罹ると、低酸素や発熱によって心拍の上昇などが起こります。その結果、心臓に負担がかかり、急性増悪を引き起こしやすくなるため注意が必要です。こまめな手洗い・うがいや予防接種で対策しましょう。

治療薬の継続

処方された薬を飲み忘れたり、自己判断で中止してしまうと、心不全の症状が急速に悪化する可能性があります。医師の指示通りに毎日欠かさず服用することが大切です。自己管理が難しいと感じる場合は、家族にサポートを頼んだり、薬剤師に相談しましょう。

慢性心不全の予後と余命について

慢性心不全は徐々に症状が進行し悪化していく病気です。診断を受けて、余命はどれくらいなのか、どれくらい悪化するのかなど不安に感じる方も多いでしょう。

「予後」とは、慢性心不全になったあとの経過や将来の見通しを指す言葉です。慢性心不全の予後は重症度、原因となる病気、年齢などさまざまな要因によって変わりますが、ひとつの目安として4つのステージに分けて考えることができます。

慢性心不全の予後

  • ステージA:高血圧や糖尿病など、心不全のリスクはあるものの症状はない
  • ステージB:弁膜症や心筋梗塞など心疾患の既往はあるものの心不全の症状は軽度
  • ステージC:心疾患の既往があり、安静時も心不全の症状がある
  • ステージD:薬物治療の効果がなく、最も重症な心不全の状態

ACC/AHAの心不全ステージ判定基準を用いた研究成果(Ammar氏ら、2007年)では、それぞれの5年生存率(治療を始めて5年後に生存している人の割合)は、ステージAは97%、ステージBは96%、ステージCは75%、ステージDは20%という結果が出ています。

慢性心不全は、一度発症すると完治することは難しい病気ですが、適切な治療と生活習慣の見直しでステージA・Bの状態を維持することが大切です。

出典:一般社団法人 日本循環器学会「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン

まとめ

慢性心不全は、心臓の機能が徐々に低下していく病気です。初期の自覚症状が少ないためすぐに気づくことは難しいですが、良好な予後を過ごすために早期発見・治療は重要です。いつもと違う動悸・息切れ・むくみが続く場合は、医療機関を受診しましょう。

また、生活習慣を見直すことで慢性心不全を予防することができます。塩分の摂りすぎや多量の飲酒は避けて、適度な運動を心がけましょう。慢性心不全は完治の難しい病気ですが、全ての人が余命が短いというわけではありません。こうした生活管理や服薬によって進行を遅らせて、安定した日常生活を送ることが可能です。

一方で、病状が進行すると、在宅での食事管理や、点滴治療、酸素療法など、日常的な医療的ケアが必要になることがあります。慢性心不全は入退院を繰り返しやすい疾患であり、特にステージDでは、継続的かつ専門的な医療管理が不可欠となります。

しかし、「入退院の繰り返しは心身の負担が大きいが、自宅療養には不安がある」「一般的な介護施設では、心不全の医療管理が難しいと言われた」このような悩みを抱える方やご家族も少なくありません。

そのような場合、自宅や病院以外にも医療体制が整った住環境を検討することで、療養生活を継続できるでしょう。ReHOPEは、重度の疾患をお持ちの方や、人生の最終段階を見据えたケアが必要な方のための、医療連携型・ホスピス住宅です。医療依存度が高い状態でも、安心してその人らしい生活を送れるよう自宅に近い環境を提供しています。

よくある質問

慢性心不全とは?

慢性心不全とは、心臓や血管の病気によって心臓の機能が徐々に低下していっている状態のことを指します。血液を十分に送り出せないため、動悸・息切れ・むくみなどの症状が現れます。詳しくは記事内「慢性心不全とはどのような病気か」をご覧ください。

慢性心不全の急性増悪とは?

慢性心不全の急性増悪とは、それまでゆっくり進行していた症状が急激に悪化する状態を指します。詳しくは記事内「慢性心不全の「急性増悪」とは」をご覧ください。

慢性心不全の日常生活で気をつけることは何ですか?

慢性心不全の方が日常生活で気をつけることは以下のようなものがあります。

  • 塩分・水分を摂りすぎない
  • こまめに体重をチェックする
  • 適度に運動する
  • 感染予防を徹底する
  • 治療薬の服用を忘れない

詳しくは記事内「慢性心不全の治療法と生活上の注意点」をご覧ください。

ReHOPEでは全国の施設で入居・見学を受け付けています

ReHOPEは、自宅に近い環境でその人らしい生活が続けられるように支援するホスピス型住宅です。訪問看護・訪問介護事業所を併設しており、医療・介護の専門スタッフが24時間365日体制で対応可能です。心不全の悪化兆候(むくみや体重増加など)をプロの目で早期に発見・対応します。また、頻繁な吸引や酸素管理、点滴などの医療処置が必要な方でも入居可能です。

ReHOPEの強みは、常駐スタッフによる日常生活支援から医療的ケアまで、ご入居者さまのニーズに合わせたきめ細やかなサポートを提供することです。ご入居さま一人ひとりにあったリハビリテーションも行い、むくみがある方には圧迫運動やマッサージを行います。ReHOPEでの暮らしや受けられるサポートについて、ホームページで紹介しています。ぜひご覧ください。

ReHOPEでは全国の施設で入居者様の募集を行っています。見学相談を随時受け付けておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

ご不明点や費用詳細等、
お気軽にお問い合わせください。

見学希望・資料請求をする 夜間・休日は各施設ページより
お電話ください。