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気管カニューレとは?種類や管理方法、必要になる理由をわかりやすく解説

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気管カニューレとは?種類や管理方法、必要になる理由をわかりやすく解説

この記事の監修者

伊藤 友裕

伊藤 友裕(いとう ともひろ)

運営本部 運営支援部 ケア技術向上推進チーム

プロフィール

3学会合同呼吸療法認定士。看護専門学校卒業後、総合病院の救急・集中治療部に配属。COVID-19重症症例の対応や重症管理を通し、人工呼吸療法を4年間学ぶ。「プレホスピタルケアのさらに前段階である、在宅医療を学びたい」との思いから、訪問看護の道へ進む。2024年にシーユーシー・ホスピスに入社し、人工呼吸器エキスパートとして、在宅での呼吸・気道管理の教育を主務としている。

在宅環境で気管カニューレを管理しながら生活する方や、そのご家族は、どのように日々のケアを続けていくか悩むことが多いと思います。

「急に詰まったらどうしよう」「吸引はうまくできるだろうか」といった不安は、必要になる医療処置や緊急時の対応方法を知っておくと軽減しやすくなります。

また、訪問診療の活用によって医師や看護師が定期的に自宅へ来て必要な処置や指導を行ってくれるため、医療機関まで足を運ぶ負担も減らすことが可能です。

この記事では、気管カニューレの特徴や種類、管理方法などについてわかりやすく解説します。在宅介護で管理するポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

気管カニューレとは

気管カニューレは、気道確保のために気管切開を行った患者さんの気管内に直接挿入して留置するチューブを指すものです。鼻や口を通さずに呼吸のルートを確保するため、長期間の呼吸管理が必要な方にとって重要な役割を果たします。

そもそも「カニューレ(cannula)」とは、心臓や血管、気管、消化器、尿路などの体腔内に挿入する中空の管(チューブ)の総称です。体液を排出したり、薬剤を注入したり、呼吸の通り道を確保したりするために使用されます。

素材にはゴム、プラスチック、金属などが用いられ、使用する部位や期間によって最適なものが選ばれます。

気管カニューレが必要となる理由

気管カニューレを使用する主な理由は、「呼吸の補助」と「分泌物の管理」の2点があげられます。それぞれのケースについて、詳しくみていきましょう。

呼吸の補助が必要な場合

病気や怪我の影響で、鼻や口からの自然な呼吸が困難になり、長期間の人工的な気道確保が必要な場合には、気管カニューレが用いられます。

気管に直接短い管を入れる気管カニューレは、体動によるチューブのずれや誤挿入のリスクを軽減できます。これにより窒息のリスクを減らし、より安定した呼吸管理が可能になります。

気管カニューレの留置が必要になる例として、ALSなどの神経筋疾患で痰が上手く出せなくなったときや、何らかの疾患により呼吸をするための筋肉の機能が低下したときなどが挙げられます。

内部リンク:COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?症状と病気の治療法について解説

分泌物の管理が必要な場合

身体機能の低下や嚥下(えんげ)障害などにより、自力で痰(たん)を排出できない場合も、気管カニューレが必要です。

痰などの分泌物が気道にたまると、呼吸を妨げるだけでなく、窒息や重篤な肺炎のリスクが高まるなどの問題が発生します。気管カニューレを留置することで、管の中から直接、吸引処置を行うことができ、肺の清潔を保ちやすくなります。

分泌物の管理が必要な状態の例は、以下のとおりです。

分泌物の管理が必要な状態の例

  • 意識レベルの低下
  • 誤嚥(ごえん)

出典:厚生労働省「喀痰吸引 2.喀痰の吸引」

気管カニューレの種類

ここでは、気管カニューレの種類について解説していきます。主な種類にあげられるのは、以下の3つです。

気管カニューレの種類

  • カフ付き・カフなしカニューレ
  • スピーチカニューレ
  • 単管・複管カニューレ

それぞれの特徴やメリット、デメリットなどについて詳しく解説するので、参考にしてみてください。

カフ付き・カフなしカニューレ

カフとは、チューブ先端にある「風船」のようなパーツです。カフがあるかどうかで、気密性が大きく変わります。

種類 カフ付きカニューレ カフなしカニューレ
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仕組み チューブ先端に膨らむカフがある チューブにカフがついていない
メリット 気道を密閉して人工呼吸器の送気を維持し、唾液などの分泌物の肺への流入(下気道誤嚥)を防げる 気管粘膜への刺激が少なく、チューブの隙間から空気が漏れるため声が出しやすい
デメリット カフが粘膜を圧迫するため、定期的な圧管理が必要で負担がかかる 隙間があるため誤嚥を防げず、人工呼吸器の使用には適さない

カフ付きは、主に人工呼吸器を使用している方や、唾液などの飲み込みが困難で誤嚥のリスクが高い方に使用されます。

これに対してカフなしは、自発呼吸が安定しており、誤嚥のリスクが低い方、あるいは発声練習などリハビリテーションを優先したい方に適しています。

出典:日本気管食道科学会「 外科的気道確保マニュアル 第2版 4 カニューレの種類

スピーチカニューレ

側孔(そくこう)とは、チューブのカーブ部分に開けられた小さな穴のことです。

種類 スピーチカニューレ スピーチ機能がないタイプ
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仕組み チューブの途中に「側孔」という空気穴が開いている 穴が開いていない標準的なタイプ
メリット 穴から空気が声帯へ流れるため、「スピーチバルブ」等と併用することで発声が可能になる 分泌物が漏れず、吸引カテーテルもスムーズに通るため清潔を保ちやすい
デメリット 穴の部分に肉芽(傷口にできる盛り上がった組織)ができやすく、カテーテルが引っかかる、呼吸困難になるなどのトラブルが起きやすい 空気がすべて管内を通るため、声帯に空気が届かず発声が困難

スピーチカニューレは、スピーチバルブなどを併用して会話を楽しみたいなど、発声によるコミュニケーションを希望する方に選択されます。

一方でスピーチ機能がないカニューレは、まずは確実な気道確保と分泌物の除去を最優先し、肉芽形成などのトラブルを避けたい場合に適しています。

単管・複管カニューレ

カニューレが二重構造になっているかどうかの違いです。特に、在宅介護での管理のしやすさに直結します。

種類 単管カニューレ 複管カニューレ
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仕組み 1本のチューブのみで構成されるシンプルな一重構造 外筒の中に、取り外し可能な「内筒」が入った二重構造
メリット 管が細く抵抗が少ないため、小児や気道が狭い方でも呼吸がしやすい 内筒だけを抜いて洗浄・交換できるため、痰が詰まった際も即座に閉塞を解除でき衛生的かつ安全
デメリット 痰が詰まった際はカニューレごと交換が必要になり、管理の難易度が高い 二重構造のため内径がやや狭くなり、呼吸にわずかな抵抗を感じることがある

単管カニューレは、複管を使用するにはサイズが限られる小児や、気道が極端に狭い方、あるいは構造のシンプルさを重視する場合に選択されます。

一方の複管カニューレは、万が一痰が詰まっても内筒を交換するだけで即座に気道を確保できるため、安全面から在宅医療において選択されることが多くなっています。

気管カニューレを管理する方法

気管カニューレの管理において大切なのは、トラブルを未然に防ぐための日常的なケアです。具体的な管理のポイントとして、以下があげられます。

気管カニューレを管理するためのポイント

  • 清潔管理を行う
  • 痰の吸引を行う
  • 緊急時対応
  • 合併症が起こっていないかの確認

以下で詳しく解説していくので、チェックしてみましょう。

清潔管理を行う

カニューレの周囲は分泌物や湿気により細菌が繁殖しやすいため、定期的な洗浄や消毒が欠かせません。洗浄方法は器具によって異なるため、不明点があれば看護師などの医療者に確認しましょう。また、汚れたガーゼはその都度交換しましょう。

これを怠ると、皮膚炎だけでなく気道感染や肺炎を引き起こすリスクが高まります。在宅の場合はご家族が行うことになりますが、定期的に訪問診療や訪問看護で医師、看護師に診てもらい、清潔な状態が保たれているかどうか確認してください。

痰の吸引を行う

痰がカニューレの中に詰まってしまうと、呼吸困難や肺炎になってしまう危険性が高まってしまいます。呼吸時にゴロゴロと音がする場合や、本人が苦しそうな様子を見せたときには、速やかに吸引を行いましょう。吸引する際は、吸引器を使用することが一般的です。

家族が行う場合は、医師や看護師の指導をしっかり受けてから、そのとおりの方法で行いましょう。

また、合併症を防ぐために、処置は慎重かつ短時間で済ませるようにしましょう。1回の吸引は15秒以内にとどめることが大切です。吸引圧は、高すぎないように調整し、20kPa(150mmHg)程度を目安にしてください。

緊急時対応

もしもの事態に備え、対応手順を家族間で共有しておく必要があります。カニューレが完全に詰まってしまった、誤って抜けてしまった(自己抜去)、出血が見られるなどの場合は命に関わる緊急事態です。

このような緊急事態においてすぐに対応できるよう、緊急連絡先リストの準備や、必要な医療物品の保管場所を明確にしておきましょう。また、必要であれば迷わず119番通報し、救急車が到着するまで喉の穴を塞がないよう注意してください。

また、必要な医療物品の例としては、予備のカニューレや吸引器などがありますが、詳しくは担当の医師や看護師などに確認しましょう。

合併症が起こっていないかの確認

気管カニューレを長期的に使用している方は、カニューレ周囲の皮膚炎や気道損傷、バイタル変動など、さまざまな合併症が起こり得ます。これらの合併症リスクを下げるためにも、定期的なカニューレの交換や適切なケアを行いましょう。

違和感がある場合は、迷わずにかかりつけ医に相談することが大切です。

気管カニューレを在宅介護で管理する際のポイント

気管カニューレを使用している際でも、自宅で安全に過ごすために、日々の生活の中で確認すべきポイントを整理しました。在宅介護を行う方は、ぜひチェックしてみてください。

チェック項目 具体的な管理内容
空気量(空気圧) カフ付きの場合、風船が適切な硬さで膨らんでいるか確認します。空気が漏れず、かつ粘膜を傷めない「程よい膨らみ(一般的に20〜30cmH2O)」を維持しましょう。
ガーゼ交換 カニューレと皮膚の間に挟んでいるガーゼは、汚れたら速やかに交換します。常に乾燥した清潔な状態を保ちましょう。
バンドの調整 首の固定バンドを調整します。指1本がスッと入るくらいの余裕を持たせ、キツすぎたり緩すぎたりしないようにしましょう。
皮膚のケア カニューレの周りの皮膚に赤み、腫れ、荒れがないか観察します。汚れを拭き取り、必要に応じて保湿剤などで保護しましょう。
口腔ケア 口の中の細菌が肺に入ると肺炎の原因になります。食事をしていなくても毎日歯磨きや口内の掃除を行い、清潔に保ちます。また、誤嚥を防ぐためにも重要です。
加湿管理 痰が固まって管が詰まるのを防ぐため、「人工鼻(加湿フィルター)」を使います。気道が乾燥しないよう、常に潤いを与えましょう。
カニューレの定期交換 本体の交換は、2週間〜1ヶ月に一度のペースで医師が行います。ご家族は、次回の交換予定日を把握しておくほか、緊急時のためにやり方を教わっておきましょう。
全身の症状チェック 熱はないか、呼吸が苦しそうでないか、痰の色や量が変わっていないか確認します。異変があれば、すぐ医師に相談しましょう。

気管切開の場合は痰吸引が必要

気管切開を行った患者さんは、本来備わっている「咳をして痰を押し出す力」が著しく低下しています。そのため、自力で出せない痰を機械的に吸い出す吸引処置が必要です。

1日に何度も行う必要があるため、ご家族の負担を感じることもあるかもしれませんが、ご本人の「呼吸の苦しさ」を取り除くための大切なケアであることを理解しておきましょう。

なお、自宅で介護する限界がきたら施設という選択肢もあります。面会自由・家族の宿泊可能・ペット面会可能・飲食も原則自由など、自宅に近い形で過ごせる施設もあるので、知っておくと安心です。

まとめ

気管カニューレは、呼吸が困難な方にとって欠かせない医療器具です。その種類や管理方法は多岐にわたりますが、一つひとつのケアにどのような意味があるのかを知ることで、患者さんだけではなく、ご家族の不安は確実に軽減されます。

在宅介護においては、ご家族だけで全てを完璧にこなそうとする必要はありません。訪問診療や訪問看護、介護サービスを有効に活用し、医療の専門家と連携しながら、ご本人に最適な生活環境を整えていきましょう。

また、在宅だけではなく、ホスピス型住宅や介護医療院といった施設への入居も検討してみてください。

よくある質問

気管カニューレの交換は誰がやるの?

カニューレの定期的な交換作業は、専門的な技術を要するため、医師または看護師が行います。在宅療養の場合は、通常2週間から1ヶ月に一度の頻度で、訪問診療の医師が新しいものに交換します。ただし、緊急時の場合はご家族が対応するケースも考えられるため、やり方を教わっておきましょう。

詳しくは、記事内「気管カニューレを在宅介護で管理する際のポイント」をご覧ください。

気管カニューレの種類と使い分けは?

気管カニューレには、「カフ付き・なし」「スピーチカニューレ」「単管・複管」の大きく分けて3種類があります。それぞれ異なる特徴があり、例えば人工呼吸器を使用している方はカフ付きカニューレ、在宅で管理する場合は複管カニューレが選択されます。

詳しくは、記事内「気管カニューレの種類」をご覧ください。

気管カニューレの吸引の注意点は?

気管カニューレを吸引する際は、1回15秒程度のできるだけ短時間で、確実に吸い取ることが重要です。

詳しくは、記事内「痰の吸引を行う」をご覧ください。

ReHOPEでは入居見学をいつでも受付中です!

ReHOPEは、気管カニューレを装着している方も安心して過ごせる場所としておすすめです。

医療・介護の専門スタッフが 24時間体制で呼吸状態の管理や日常ケアを行うため、日常生活のサポートだけでなく、吸引などの医療処置にも対応できます。

ReHOPEは全国各地に施設を展開しており、ご自宅から近くの施設を選ぶことが可能です。入居見学も随時受け付けているため、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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