緩和ケア病棟とは？入院費用や期間、ホスピスとの違いなどについて解説

この記事の監修者

松村 広子（まつむら ひろこ）

株式会社シーユーシー・ホスピス　看護クラーク多治見　看護管理者

プロフィール

総合病院にて手術室看護師を10年。その後外科外来、外科病棟に勤務し、がん患者様と多く関わる。手術をしても良くならず、苦しい思いをして過ごしている方の多いことにショックを受け、もっと専門的に学びたいと思い認定看護師教育課程へ進む。
その後緩和ケアチーム、緩和ケア看護外来、緩和ケア病棟、地域連携支援センターを経てそれぞれの緩和ケアを学び、在宅でその人らしく最期まで寄り添う看護を提供したいと考え、2023年　シーユーシー・ホスピスに入社。

緩和ケア病棟とは、緩和ケアを専門的に行うために病院に設置された病棟のことです。主にがんや苦痛の緩和が必要な方が入院する病棟で、医師や看護師などの緩和ケアチームから手厚いサポートが受けられます。

最期の時間を迎えるまでより質の高い生活を送るためにも、緩和ケア病棟への入院は患者さまやそのご家族にとって重要な選択肢です。

この記事では、緩和ケア病棟について入院条件や費用、受けられるケア内容などについて解説していきます。また、利用する流れも詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

緩和ケア病棟とは

緩和ケア病棟とは、厚生労働省の定める基準に基づき病院に設置される、緩和ケアに特化した専門の病棟のことです。緩和ケアを行う専門チームを配置し、看護から介護まで徹底的なサポートを提供しています。

患者さまの残された時間をできるだけ苦痛なく、自分らしく過ごせるようサポートするための病棟であり、身体的治療だけでなく、心のケアや家族との関係を大切にしています。
そのため一般的な病棟に比べて日常生活に近い環境が整備されており、共用のキッチンやレクリエーションができるラウンジなどが併設されていることが多いのも特徴です。

参考：厚生労働省｜緩和ケアの提供体制

緩和ケア病棟とホスピス型住宅の違い

緩和ケア病棟は「ホスピス」と呼ばれることもあります。同じホスピスには「ホスピス型住宅」と呼ばれる介護型の施設もあります。※公的に制度化された施設形態ではないため、運営元によって 「ナーシングホーム」「医療特化型有料老人ホーム」「ホスピス住宅」、「ホスピスホーム」とさまざまな呼称があります。当社では「ホスピス型住宅」と呼んでいます。

緩和ケア病棟との違いについては、以下の表を参考にしてみてください。

※「ホスピス型住宅」はCUCホスピスが運営するReHOPEでの内容を基準に記載しています

参考：ホスピスとは。病院とホスピス型住宅の違い、ケア内容、費用を徹底解説 | ReHOPE（リホープ） 看護と介護でよりそうホスピス型住宅（在宅ホスピス）

緩和ケア病棟の入院条件と基準

緩和ケア病棟の入院条件は、がん末期などの進行性で治癒が困難であると主治医から判断されている患者さまであることです。そして、治療を望まず、最期を迎えるまで安心して生活したいと望んでいる場合は、基本的に緩和ケア病棟への入院が認められます。

緩和ケア病棟で受けられるケア内容

緩和ケア病棟では、主に以下のようなケアが受けられます。

緩和ケア病棟でのケアは、医師や看護師はもちろん専門の緩和ケアチームによって行われることが特徴です。具体的には、以下のような各専門家が患者さまの緩和ケアを担当します。

緩和ケア病棟への入院にかかる費用

緩和ケア病棟への入院には、入院費、食費、差額ベッド代、その他自費のサービス費用がかかります。それぞれの金額の目安は以下のとおりです。

緩和ケア病棟1に入院したケース

なお、入院費と食費は公的医療保険の対象で、厚生労働省によって金額が一律で定められています。入院費は個々の医療保険の負担割合によって異なり、緩和ケア病棟ごとの1日あたりの金額は以下のとおりです。

緩和ケア病棟1

緩和ケア病棟2

参考：日本医師会｜令和6年6月診療報酬改定対応（入院）初版

なお、緩和ケア病棟1と2は、各病棟が満たす施設基準によって異なります。詳しくは、入院を希望する病棟のスタッフにお問い合わせください。

参考：日本ホスピス緩和ケア協会｜緩和ケア病棟入院料の施設基準

緩和ケア病棟の平均入院期間

緩和ケア病棟の平均入院期間は病院によって異なりますが、2週間から1ヶ月ほどのケースが多いです。緩和ケア病棟を退院するのは、一般的に主治医から退院しても問題ないと判断されたときになります。

緩和ケア病棟の退院後は自宅や介護施設での療養を行い、再び専門的な緩和ケアが必要となれば、再度主治医や病院のスタッフなどに相談しましょう。

緩和ケア病棟に入院するまでの流れ

緩和ケア病棟に入院するまでの流れや手順は、以下のとおりです。

1. 入院について相談する
2. 緩和ケア病棟に申し込む
3. 診察・面談を行う
4. 入院判定を受ける
5. 緩和ケア病棟に入院する

1.入院について相談する

緩和ケア病棟への入院を希望する場合は、まず担当医師やケアマネジャー、地域包括センター、がん相談支援センター（全国のがん診療連携拠点病院などに設置されているがんに関する相談窓口）に相談しましょう。診察の中で担当医師から入院を提案されることもあります。

2.申し込み・病院側の調整

緩和ケアへの入院の意志が決まったら、緩和ケア病棟への申し込みを行います。申し込み後は、希望する緩和ケア病棟に空きがあるかどうか、病院側で受け入れの調整が行われます。

3. 診察と面談を行う

次に、実際に入院を希望する病院を訪れて、診察・面談を行います。面談では、患者さま本人の身体状況や緩和ケア病棟の利用希望があるかなど、緩和ケア病棟の入院基準を満たしているか確認されます。

また、希望する入院時期があれば、スムーズに入院できるよう伝えておきましょう。

4.入院判定を受ける

面談が終わると、病院内では会議が開かれて入院希望の患者さまの重症度などを考慮し、入院の可否や順番を決定します。

なお、入院できることになったとしても、病棟のベッドに空きがない場合すぐに入院できない可能性もあります。

5.緩和ケア病棟に入院する

緩和ケア病棟への入院が認められたら、受け入れ可能の通知とあわせて入院日の連絡が来ます。担当者の方と話をして、まずは入院日を決定しましょう。また、必要な持ち物や準備などもあわせて確認し、当日までに余裕を持って準備してください。

入院日当日になったら、いよいよ緩和ケア病棟での生活がはじまります。ご家族と一緒に事前に決めた時間に病院に向かいましょう。

もし緩和ケア病棟に入院ができなかったら

緩和ケア病棟に入院したくても、病床の空きがない、あるいは条件が合わないなどで受け入れが難しい場合があります。

そのようなときは、ホスピス型住宅という選択肢があります。ホスピス型住宅は、自宅のような落ち着いた環境で、訪問介護や看護のサポートを受けながら、自分らしい暮らしを続けられる介護施設型のホスピスです。医療と生活支援が一体となったサービスを提供しており、緩和ケアにも対応しています。

ReHOPEでは緩和ケアに関するご相談を受け付けています

ReHOPEとは、全国各地に展開しているホスピス型住宅です。常駐スタッフが日常生活のサポートから医療ケアまで、一人ひとりに寄り添ったケアを行うことはもちろん、地域の医療機関や多職種と連携して行う心身のケアなど、総合的なサービスを提供しています。

緩和ケアを受けるためにご入居を考えている方には見学案内も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

よくある質問

緩和ケア病棟の入院期間はどれくらいですか？

緩和ケア病棟の入院期間は、一般的に2週間から1ヶ月ほどとされています。ただし、具体的な期間は病院や患者さまの状況などによって異なるため、面談の際にどれくらいの期間入院できるか聞いてみるようにしましょう。詳しくは記事内「緩和ケア病棟の平均入院期間」をご覧ください。

緩和ケア病棟に入院する条件はなんですか？

緩和ケア病棟に入院する条件は、一般的にがん末期で主治医から治すための治療が困難だと判断された方です。ただし、緩和ケアが必要と言われたタイミングから緩和ケアへの入院はできるため、主治医の判断に準ずるものといえます。詳しくは記事内「緩和ケア病棟の入院条件と基準」をご覧ください。

緩和ケア病棟の入院費用はいくらですか？

緩和ケア病棟の入院費用は病院によって異なりますが、目安として月額27.8万円（入院費1割負担、緩和ケア病棟1に入院したときの場合）ほどかかります。この中には、入院費、食費、差額ベッド代、自費のサービス費用が含まれています。詳しくは記事内「緩和ケア病棟への入院にかかる費用」をご覧ください。

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