INTERVIEW

介護職インタビュー

「自分にはできない」と思っていた介護の仕事。いつの間にか、頼られることが喜びに

ReHOPE柏南増尾

介護職、サービス提供責任者 平松 恵

高校卒業後、サービス業界の会社に勤務。出産を機に退職し、子育てに専念する。子育てが落ち着いたタイミングで仕事に復帰。介護福祉士実務者研修の資格を取得し、以前から興味のあった介護業界へ。デイサービス、特別養護老人ホームで介護職を経験。2020年12月にCUCホスピスに入社。現在はサービス提供責任者として、ReHOPE柏南増尾の介護スタッフをまとめている。

おそるおそる足を踏み入れた介護の世界で出会った
ホスピス型住宅という究極の介護のかたち

これまでのご経歴を教えてください。

以前はサービス業界で働いていたのですが、出産を機に退職。また働こうと思ったのは、子どもが3歳になった時でした。周囲の人たちから「介護業界は働きやすい環境だ」と話に聞いたことが、興味を持ったきっかけです。ただ、「もしかしたら自分には介護の仕事はできないかもしれない」という不安も同時に感じていました。

というのも、私は学生時代に祖母を悪性リンパ腫で亡くしていて、当時の経験がトラウマのようになっていたからです。祖母は、服用していた薬の影響で認知機能が低下してしまい、病院から一時的に自宅に戻ってきた時には、介護する家族にも大きな負担がかかりました。なにより、祖母はもともとしっかりした人だったので、その変化を見て、子どもながらにショックを受けたのです。

そこで、介護職としていきなり働き始めるのではなく、まずは市の職業訓練で介護福祉士実務者研修の資格を取得することにしました。

介護職として働くようになってから、気持ちに変化はありましたか?

資格を取得後、はじめに勤務したデイサービスでご利用者さまと接するうちに「介護の仕事を続けていきたい」と気持ちが変わりました。ご利用者さまのなかには、がんの患者さんもいたので、身近な病気として徐々に向き合えるようになっていったのだと思います。その後、特別養護老人ホームでも介護職として働きました。

なぜCUCホスピスに入社されたのですか?

それまで働いていた特別養護老人ホームでは、症状が悪化すると医療が必要だと判断されて、退所していく方が多かったんからです。退所後の様子経緯は知ることができず、「あの方はどうされたんだろう」とずっと気になっていました。

その頃、たまたま目にしたのが、ReHOPEのスタッフ募集の案内でした。初めてホスピス型住宅のことを知り、最期までそばで見守ることができるのは「介護の究極のかたちなのかもしれない」と興味を持ちました。

ホスピス型住宅には、特別養護老人ホームでは見られないような医療依存度が高い方たちもたくさんいらっしゃいます。ご自宅では介護が難しい方たちを受け入れ、最期まで寄り添うことができる。私もそうした介護を実践していきたいと思うようになり、CUCホスピスに入社しました。

 

だれかに負担が偏らないように、みんなで協力して気持ちよく働ける環境を作る

現在のお仕事内容を教えてください。

施設のサービス提供責任者として、介護スタッフの訪問計画書や、毎日の訪問ルートの作成をしています。スタッフの勤怠管理、採用面接なども担当する業務です。それから地域のケアマネジャーの方たちと連携をとりながら、介護サービスの見直しも行っています。

サービス提供責任者はマネジメントの立場から業務全体を見ていく仕事で、いつかは経験してみたいと思っていました。大変ではありますが、とてもやりがいのある仕事です。

どんな時にやりがいを感じますか? 

毎月のシフト作りは大変です。スタッフそれぞれに生活があり、抱えている事情があります。お子さんの授業参観や旅行など、できるだけスタッフが希望する日には休ませてあげたい。ただ、休みの希望日が重なってしまうこともあり、そんな時には早いもの勝ちの状態にならないように、調整には気を配っています。

「この日は休みたいんだけど」と、スタッフ同士が話し合える雰囲気作りも欠かせません。お互いに譲り合うことで、気持ちよく働ける職場になっているのではないでしょうか。

何でも言い合える関係が築けているのですね。

チームワークはとても良いと思います。ご入居者さまからのコールが重なるなど、忙しい時には「自分がやります!」「ここは私がカバーします!」と自ら動いてくれるスタッフが多いんです。仕事の負担が誰か一人に偏らないように気遣える人間関係も、ここで働く魅力のひとつですね。

 

まずはやってみようの精神で一緒に働きたい

サービス提供責任者として大事にしていることはありますか?

何かを決める時には、必ずスタッフの意見を聞くようにしています。例えば、ご入居者さまの訪問ルートを増やす場合には、自分一人で判断せずに「この時間帯は人が足りている?」と現場の声を聞きます。

介護職は、基本給にプラスして処遇改善加算という手当がつきます。そうした算定をしっかり取りながら、スタッフを配置するのも私の役割です。スタッフが頑張って働いてくれた分は、しっかりとそれに見合った対価が得られるように、訪問計画を立てたいと考えています。

今後、力を入れていきたいことを教えてください。

いい人材を育てることに貢献していきたいですね。現在、他のエリアに新規施設のオープンが予定されており、そこで働くスタッフを当施設で育成しているところです。新規施設の立ち上げがスムーズにいくように、現場で活躍できるサービス提供責任者を育てていきたいと思っています。

どんな人と一緒に働きたいですか?

CUCホスピスの理念に「『できない理由』ではなく『できる方法』を探して実行する。」というものがありますが、それを体現できる人と働きたいですね。ご入居者さまのなかには、嚥下機能が弱っても「最後まで口から食べたい」、移動が難しくなっても「自分でトイレに行きたい」と希望される方もいます。その時に、簡単に「できません」と言うのではなく、どうしたらそのお手伝いができるかを考える。それがご入居者さまの気持ちに寄り添うことだと思います。

最初から諦めずに、「まずはやってみよう」と動く姿勢が大事ですよね。やってみてダメだったら、それは仕方がないですし、ご入居者さまにも納得していただけるはずです。「どうやったらできるか」を考えていけるような人と、ここで一緒に働けたら嬉しいです。