ホスピスの基礎知識

ホスピス型住宅の生活は?入居後の暮らしを写真でご紹介

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この記事の監修者

藪 康人(やぶ・やすひと)

株式会社シーユーシー・ホスピス 運営部 部長

プロフィール

2006年慶應義塾大学看護医療学部卒業後、大学病院で約5年間勤務。働くなかで、医療現場の知見を仕組み化するスキルを身につけたいと考え、大学院でMBAを取得。2018年CUCへ中途入社。病院事業部で事業譲渡や病院の立ち上げ、事務長・看護部長としてのマネジメント、医療マネジメント職の人材育成に取り組む。2023年シーユーシー・ホスピス 運営部長就任。

ホスピス型住宅とは、医療体制が整った「自宅のような環境」

ホスピス型住宅とは、ホスピスケアを行う介護施設です。

※公的に制度化された施設形態ではないため、運営元によって「医療特化型有料老人ホーム」「ホスピス住宅」、「ホスピスホーム」とさまざまな呼称があります。当社では「ホスピス型住宅」と呼んでいます。

ホスピス型住宅では、看護師や介護職が常駐し、日中・夜間を問わず急な病状変化にも柔軟に対応しています。病院と比較すると、家族との面会や、趣味・レクリエーションなどの自由度が高いことも特徴です。当社CUCホスピスの運営するReHOPEも、このホスピス型住宅に該当します。

ホスピスとは。病院とホスピス型住宅の違い、ケア内容、費用を徹底解説

ホスピス型住宅での一日の過ごし方

ホスピス型住宅は、ご入居者様にとっての「ご自宅」です。1日の中でお食事の時間は概ね施設によって決まっていますが、それ以外の時間の過ごし方は自由。ケアの回数や時間も、ご本人の必要性を考慮して決定します。

自由時間には、

  • テレビや映画の鑑賞
  • 他の入居者やスタッフとの談笑
  • 本や新聞を読む 
  • 外出(訪問介護や生活支援の範囲でスタッフが同行したり、自費サービスで同行支援をします)
  • 植物の栽培
  • お昼寝

など、好きな方法でくつろぐことが可能です。お部屋は基本的に完全個室なので、周囲に気兼ねせずのびのびと過ごしていただけます。

下記は、当社の運営するホスピス型住宅ReHOPEでの過ごし方の一例です。

時間 活動内容
7:30 朝食・服薬・口腔ケア
9:00 健康観察・医療処置
10:00 自由時間
12:00 昼食
13:00 自由時間
14:00 入浴
16:00 訪問医による診察・医療的ケア
18:00 夕食・口腔ケア
22:00 就寝(健康観察・医療処置)

ホスピスでの暮らし(医療・看護編)

では、ホスピス型住宅に入居される方はどんな生活を送られているのか、当社が運営するReHOPEでの暮らしを実際の施設で撮影した写真とともにご紹介します。

訪問看護

ホスピス型住宅での暮らし_医療ケア

施設内にある訪問看護ステーションに常駐している看護師がお部屋を訪問して看護を行います。1日3回が目安です(ご病状により変動します。また介護保険のプランによって訪問日数や回数が変わります)。

1回あたり30分程度の時間をかけて、ご入居者さまのお話を伺い、健康状態のチェックを実施します。人工呼吸器が正しく作動しているか、点滴がきちんと機能しているかなどを確認し、痛みがある方では痛みの評価を行い、必要な看護を提供します。

夜間の訪問も行っており、ご入居者さまが眠られている場合は、起こすことはせずそのままの状態で健康チェックや日中同様に人工呼吸器の作動状況の確認や安全な入居環境を維持するための環境整備を行います。

ホスピス型住宅での暮らし_看護

ご入居者さまとの日々のコミュニケーションを大切にしています。何気ない日常的な会話を通して、心身の調子に問題がないか、普段と変わった様子はないかをチェックします。

訪問診療

ホスピス型住宅での暮らし_医師の診察

各施設が連携している近隣の訪問診療クリニックから、医師が定期的に診療に訪れます。月2回程度の定期訪問と、容体急変時の訪問があります。

訪問リハビリテーション

ホスピス型住宅での暮らし_リハビリテーション

リハビリテーションが必要なご入居者さまに対しては、医師の診断のもとリハビリ方針を立て、セラピストがお部屋に訪問して施術を行います。

リハビリテーションを通じて、関節の痛みや床ずれといった新たな苦痛を最小限に緩和し、可能な範囲で体を動かすサポートを行います。リンパ浮腫を生じたご入居者さまに対しては、圧迫運動やマッサージを行い、浮腫を少しでも緩和させるためのリハビリを行います。

ご入居者様ご自身の「散歩をしたい」「食事は自分で食べたい」などのご希望を叶えるためにも、生活の中にもリハビリテーションを取り入れ、看護や介護に活かしています。

ホスピスでの暮らし(生活編)

医療・看護以外の生活面も気になるところです。実際に入居者さまはどんな暮らしをされているのでしょうか。ReHOPEの事例を、施設で撮影した写真付きでご紹介します。

食事

ホスピス型住宅での暮らし_うどん

食事は1日に3回ご提供しています。食後にお酒を飲みたい、おやつが食べたい、といったご要望もお受けすることが可能です(お部屋での提供になります)。

ホスピス型住宅での暮らし_食事

ゼリー食、ソフト食、常食など、ご入居者様の嚥下の状態に合わせた調理法で提供します。食事は食堂でとっていただくことが基本ですが、お身体の具合に応じてお部屋でとることも可能です。

入浴

通常浴、ストレッチャーや機械を使用した座浴、臥浴(がよく:横向きや仰向けで寝た状態で行う入浴)を完備しています。重介護の方でも週に2回は入浴介助をしています。午前中に入浴いただくことが多く、お一人当たり40〜60分で行っています。

ホスピス型住宅での暮らし_入浴

身の回りのお世話(掃除・移乗介助など)

ホスピス型住宅での暮らし_生活ケア

介護職・生活支援員が、移乗介助、食事介助、排泄介助、入浴介助など生活に必要なサポート全般、またレクリエーションのお手伝い、ナースコール対応や居室内の清掃なども行います。スタッフが、ご入居者様との対話を通し、日々のコンディションのチェックを行ったり、ご入居者様の不安や緊張を和らげたりします。

お部屋は完全個室になっており、ご自宅のお部屋と同じような環境で過ごせます。

レクリエーション

ホスピス型住宅での暮らし_レクリエーション

リフレッシュやストレス解消、脳や手指のリハビリにつながるレクリエーション活動を行っています。活動を通してご入居者様同士の対話が生まれることもあります。

園芸

「花々を育てたい」「野菜を育てたい」といったご入居者様の声は多く、施設の屋上をご入居者さまとつくる園芸スペースにしている施設もあります。

ホスピス型住宅での暮らし_ガーデニング

植物を育てることは、季節を感じるきっかけになり、心身のリラックスにもつながります。希望されるご入居者さまには、「何を植えたいか・育てたいか」をお聞きし、できる限りご希望に添えるよう尽くします。

お散歩

ホスピス型住宅での暮らし_散歩

介助者の付き添いのもと、近隣の散歩やお買い物なども可能です。

買い物

ホスピス型住宅での暮らし_買い物

施設の外に時々来訪してくれる移動販売車から、パンやお菓子を買うのが人気です。

色々な趣味の活動

ホスピス型住宅での暮らし_趣味を楽しむ

趣味の活動は個室でも、食堂のような憩いの場でも、どちらでも楽しむことができます。作った作品は他のご入居者さまも見られるように展示をすることも。

ギターやピアノなど、ご自宅で使っていた楽器を持ち込まれる方もいらっしゃいます。絵を描きたい、楽器を弾きたい、お買い物をしたい、旅行にでかけたい…挑戦したいことや楽しみがあること、それは生きがいにつながります。その実現に向けてリハビリを支援します。

ホスピス型住宅での暮らし_喫煙

屋外での喫煙も可能です。(酸素ボンベをお持ちの場合は、医師の許可制になります

季節の行事などレクリエーション

ホスピス型住宅での暮らし_夏祭り

こちらは、2023年夏にReHOPE 新栄で開催された夏祭りの写真です。 施設ごとに、季節の行事・イベントを行っています。イベントの設営はスタッフの手作り。ご入居者様にも、一緒に飾り付けなどを楽しんでいただくこともあります。

ホスピス型住宅での暮らし_夏祭り_お酒

普段は基本的にお部屋で楽しんでいただくお酒も、イベント時は特別に皆さんで同じ会場で楽しみます。

ご入居者様のエピソード 〜2023年春・ReHOPE伊勢原にて〜

ホスピス型住宅での暮らし_結婚式

こちらは、2023年春にReHOPE伊勢原で撮影された写真です。がん末期のご入居者さまで、秋に娘さまの結婚式を控えていました。「挙式当日の状態は予測できないから、いまこの瞬間の笑顔を写真におさめたい」と施設で結婚式の衣装で撮影を行いました。

ホスピス型住宅での暮らし_結婚式

この体験がご入居者さまにとって大きな希望となったのか、結婚式の本番にも出席することができました。

ReHOPEで過ごす時間がその方らしく、悔いないものとなるように。心から望むことを引き出し、チーム一丸となって叶えていきます。

ReHOPEが大切にしていること

「自分らしく生きる・暮らす」
そんな当たり前を叶えるため、全力でサポートしています。

ReHOPEの使命は「『前を向いて生きる』を支える。」です。難病に罹患する方々、例えばALSやパーキンソン病などの疾患を持つ方など、受け入れの難易度が高い病気の方にもご入居いただいています。意思疎通が難しい方の日常を支える看護や介護を提供するためには、高度なコミュニケーションスキルが必要とされるため、スタッフはお一人お一人の顔をしっかり見ながら気持ちを汲み取り、僅かな反応も見逃さないなどの工夫をしています。

「『前を向いて生きる』を支える。」を実現するためには、スタッフが「やってあげる」ことばかりが良いとは限りません。散歩がしたい、お酒が飲みたい、そういった意欲の積み重ねこそが、人間が「生きること」なのです。生活の中にもリハビリの考え方を取り入れ、「維持する・できることを増やす」を大切にしています。重い病にあっても、自宅と同じような環境で、自分らしく生きる・暮らす。人として当たり前の毎日をひとりでも多くの人に提供できるよう、これからも努力を続けていきます。

藪 康人(やぶ・やすひと)
株式会社シーユーシー・ホスピス
運営部 部長

ReHOPEご入居後の生活についてよくあるご質問

Q.療養型病院や緩和ケア病棟との違いを教えて下さい

原則、ご入居者様が自由に生活いただけるところに大きな違いがあります。ただし、室内での火気の使用など、ご遠慮いただいている事項はございます。

Q.死期が近くないと入居は難しいのですか?

ご本人の状態や状況を鑑みたうえで、お受け入れをしている場合もございます。ご相談ください。

Q.丁寧なケアを受けられる分、費用が高いのではないですか?」

幅広い経済状況の方にご入居いただいています。施設見学にお越しいただければ、費用の概算はお伝えしますのでお問い合わせください。なお、加入中の医療保険等の情報をいただければ、より詳細な見積もりも可能です。 また、経済状況によっては、制度の利用などの申請支援にも対応しております。

Q.自分の机や椅子を持ち込んでもいいですか?

ご自宅のようにリラックスできることを第一に考えていますので、ご自宅にあるものを自由に持ち込んでいただけます。

Q.家族は面会できますか?

ご自由に面会していただけます。特に面会時間の規定はありません。

Q.ペットと面会はできますか?

ケージに入れた状態で面会していただくことが可能です。

Q.消灯時間はありますか?

起床や消灯時間に規定はありません。ご自宅で過ごす時のように、ご自身のペースで暮らしていただけます。

Q.タバコやお酒などの嗜好品は許されていますか?

喫煙スペースがありますので、そちらで喫煙が可能です。飲酒もお部屋でしていただくことが可能です。

Q.旅行や、遠出などの外出はできますか?

病気の症状などに合わせて、医師とスタッフにご相談ください。できるだけご本人の希望に沿うようお手伝いをさせていただきます。

Q.いま利用している通所・通院を、引き続き利用することはできますか?

可能です。医師、スタッフにご相談ください。定期通院にはご家族の付き添いが必要です。

その他のよくあるご質問はこちらに詳しくご紹介しています。

ReHOPEでは全国の施設でご入居者さまを募集しています

私たちCUCホスピスは、全国で30カ所以上のホスピス型住宅を展開しています。
重い疾患や障害があっても誰もが自分らしく、前を向いて生きられる。そのような毎日を支えます。

全国の施設でご入居を受け付けておりますので、見学のお申し込みやお問い合わせなど、お気軽にご相談ください。
より詳しい情報を知りたい方は、ReHOPEのサイトをご覧ください。

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