ホスピス型住宅のReHOPE | ReHOPEマガジン | ホスピスの基礎知識 | ナーシングホームとは?ホスピス・老人ホームとの違いや費用について解説
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この記事の監修者
松尾 ゆき(まつお ゆき)
株式会社シーユーシー・ホスピス リスク・コンプライアンス室
プロフィール
2010年神戸大学大学院人間発達環境学研究科修了(修士)。広告会社での介護関連の業務を経て、2013年より介護事業会社での内部監査を担当。2021年シーユーシー・ホスピスに入社し内部監査部門を立ち上げ、内部監査、行政指導対応、社内向けの制度説明を担う。
ナーシングホームとは、日常的に医療処置や介護を必要としている人が安心して生活できるようにサポートする施設です。自分ひとりでの生活が困難な方や重い障害を患っている方など、誰かの助けを必要としている人のために設けられました。
この記事では、ナーシングホームについて費用や特徴、ケア体制などについて詳しく解説していきます。ホスピスや老人ホームとの違いも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ナーシングホームは、医療処置や看護、介護、看取りなどのトータルサポートを行う施設のことです。ナーシングホームという名前は欧米での呼称であり、日本ではまだ明確な定義づけはなされていません。一般的には、有料老人ホームに類する施設が該当します。
日常生活の介護だけでなく、医療的ケア(胃ろう、吸引、点滴など)を提供できる体制が整っていることが特徴で、看護師が常駐または手厚く配置されていることが一般的です。また、看護師だけではなく日常的な生活のサポートを行う介護スタッフも在籍しているなど、快適に過ごす生活環境が整っています。
ナーシングホームがはじめて誕生したのは、1960代のアメリカや北欧諸国だとされています。1950年代後半から老人ケア問題が世界的な政策課題としてあげられるようになり、1959年にはWHO(世界保健機構)が以下のような勧告を行いました。
「老人の健康を評価するに当たって最も望ましいのは、その疾病の面からではなく、その機能の面から評価することである。従って、老人ケアの総量を測定する指標は、疾病の量ではなく、生活適応の程度である」
この勧告によって、ナーシングホームをはじめとした介護施設が続々と誕生してきたといわれています。
また、当時アメリカでは女性の就業率向上が進み、自宅での家族の介護が難しくなったことも、ナーシングホームのような高齢者へケアを提供するため施設が必要になった背景のひとつです。
日本においては、高齢化問題の課題が大きくなるにつれて、だんだんとナーシングホームが求められるようになりました。
出典:国立社会保障・人口問題研究所|老人福祉施設の今後のあり方
ナーシングホームの入居対象者は、医療ケアを必要とする方や要介護度が高い方が中心です。施設によって対応できるケアの範囲が異なるため、入居前に以下の点を確認することが重要です。
ナーシングホームと近しい役割を持つ施設に、ホスピスというものがあります。ナーシングホームとホスピスの違いについて図と表で解説します。
ナーシングホーム | ホスピス | |
---|---|---|
施設形態 | 介護付き有料老人ホームや介護保険施設(老健など)が多い | 専住宅型有料老人ホームまたは病院(ホスピスケア病棟)が多い |
施設の特徴 | 通常の老人ホームより医療体制が充実している。心理的・終末期ケアを専門的に提供する施設ではない場合が多い。 | 住宅型有料老人ホームや病院などで医療保険による手厚いケアを提供する。終末期ケアに特化している。 |
主な入居対象者 | 要介護認定を受けた高齢者。終末期の方だけでなく、幅広い介護ニーズに対応。 | がん末期、難病など治療が難しい疾患の方 |
主な違いとしては、ホスピスは終末期のケアを目的としていることが多いのに対し、ナーシングホームは終末期だけでなく病状が安定している人へなど幅広い方へのケアも目的としている点があげられます。
ただ、どちらも制度上の位置付けはないため、医療的なケア・管理の必要性の程度の差によって呼称が変わると捉えていただくとイメージしやすいかもしれません。
ナーシングホームとホスピス、それぞれの施設の特徴をふまえて、どちらがご自身やご家族に合っているかを考えることが大切です。
ナーシングホームと混同されることが多いものに老人ホームがあります。高齢者が入所する施設の一般的な呼称として、老人ホームは認識されています。主に民間と公的で二種類あり、それぞれ特徴が異なります。
民間 | 公的 | |
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施設形態 |
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特徴 |
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このうちナーシングホームは、介護付き有料老人ホームや介護保険施設(老健など)が多く、老人ホームの一種として分類されます。
グループホームとは、認知症や障がいのある方に対応した共同生活型の介護のことです。入居対象となるのは主に認知症を患っている方で、認知症患者のための介護サービスに特化している特徴があります。
提供されているサービスは介護サービスや日々の生活・健康の管理であるため、認知症患者専門の老人ホームのようなイメージです。
そのため、ナーシングホームとグループホームでは、医療体制や入居対象者などが異なります。
ナーシングホームにかかる費用は、入居するナーシングホームの料金設定のほか、介護サービス費の部分は要介護度、提供するサービスの回数状態などによって金額が異なります。
主な費用相場には幅があり、月額10万円ほどで利用できるところから45万円ほどかかるところまでさまざまです。
これらの金額の違いは、それぞれの家賃・管理費や食費、入居一時金などが異なることで生まれています。主な費用内訳については、以下を参考にしてください。
ナーシングホームにかかる費用の内訳は、月額費用とその他の費用に分けられます。
費用 | 目安金額 |
---|---|
家賃(居住費) | 0〜20万円/月 |
管理費 | 2〜13万円/月 |
食費 | 2〜13万円/月 |
水道光熱費 | 0〜1万円/月 |
介護サービス | 0〜10万円/月 |
費用 | 目安金額 |
---|---|
入居一時金(初期費用) | 0〜1,000万円 |
医療費 | 実費で発生します |
生活費・消耗品費等 | 必要に応じて実費負担となる場合があります |
なお、上記の金額は目安であり、施設や個人の状況などによって異なります。詳しい費用については、入居の検討をしているナーシングホームに問い合わせしましょう。
ナーシングホームでは、医療・介護といった2つのケア体制が両立しています。それぞれケア体制によって行えるケアの種類や、対応できる病などは以下のとおりです。
ナーシングホームで提供される主な医療処置をご紹介します(提供される処置内容は施設により異なります)。また、受け入れられる疾患の種類もあわせて参考にしてみてください。
医療処置 |
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疾患 |
|
ナーシングホームでは、食事や排せつ、入浴など、生活に必要な対応を行う介護体制が整っています。また、心身の機能改善や減退防止を目的とした、機能訓練を行うナーシングホームがあることも特徴です。
なお、これらのサポートは必ずすべて受けなければならないものではなく、患者さまや家族が希望するものだけを選んで受けられます。
ナーシングホームの大きな特徴や、利用するメリットには主に以下のようなものがあります。
ナーシングホームは、寝たきりの方や重度の介護者の方であっても、受け入れてもらえる可能性が高い施設です。特別養護老人ホームやサービス付き高齢者住宅などと比較して入居しやすい施設といえるため、ほかの施設で断られてしまった場合などは、一度ナーシングホームに相談してみるとよいでしょう。
ナーシングホームでは看護師や介護スタッフが在籍しており、医療依存度が高い方へのサポートも充実していることが特徴です。
ナーシングホームには、一般的な介護施設で受け入れ不可とされるケースが多い、うつ病などの精神疾患患者を受け入れているところもあります。そのため、グループホームなどの介護施設に入居できなかった方も、一度ナーシングホームへの入居を検討してみることがおすすめです。
また、がん末期を患っている方やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの重病を患っている方を受け入れているナーシングホームもあります。
ナーシングホームには、生活のサポートから最期の看取りまでを行う体制が整っています。基本的に、一度入居したら転居せずに最期まで利用できるため、手間やストレスがかかりません。
施設によっては、入居期間が定められていて一定期間が経過したら自宅療養を勧めたり、入居者数の状況によって別の関連施設に引っ越しする指示をしたりするところもあります。自身の馴染みのある環境で長く生活できるのは、介護や医療処置を必要としている方にとって、大きなメリットだといえるでしょう。
ナーシングホームとは、自宅での生活が困難な高齢者や医療依存度が高い方に対して、24時間365日の医療・生活サポートを提供している施設です。看護師や介護スタッフが在籍しており、自身での生活が困難な方でも安心して過ごせます。詳しくは記事内「ナーシングホームとは」をご覧ください。
ナーシングホームの日本における定義はなく、ナーシングホームとしての施設基準はありません。そのため、日本では「介護付き有料老人ホーム」「老人保健施設」「住宅型有料老人ホーム」等の基準に従って運営されています。詳しくは記事内「ナーシングホームが必要になった背景」をご覧ください。
ReHOPEは、訪問介護・介護事業所を併設し、24時間365日の手厚いケアが受けられるホスピス型住宅です。ナーシングホームが提供するサポートのほか、がん末期と診断されたときから看取りまでに必要なケアまで、幅広く提供しています。
全国に53ヶ所の施設を展開しており、いつでも気軽に相談・見学ができるため、介護が必要な方やご家族の方はぜひお問い合わせください。