緩和ケアにかかる費用はどれくらい?入院・在宅・施設入居別に詳しく解説|ホスピス・介護の基礎知識|ホスピス型住宅 ReHOPE(リホープ)
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緩和ケアにかかる費用はどれくらい?入院・在宅・施設入居別に詳しく解説

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緩和ケアにかかる費用はどれくらい?入院・在宅・施設入居別に詳しく解説

この記事の監修者

清水 皓平(しみず こうへい)

株式会社シーユーシー・ホスピス 運営企画部 医事チーム リーダー

プロフィール

2013年順天堂大学スポーツ健康科学部卒業後、大学病院で10年間勤務。大学病院では診療録管理室、医事課、病院機能管理室で入院請求業務、カルテ管理、Quality indicator (QI)の指標作成等を経験。2023年シーユーシー・ホスピスに中途入社後、訪問看護や訪問介護の診療報酬請求やオンライン資格確認・オンライン請求の導入を行う。


緩和ケアとは、がんや完治が難しい疾患と診断された方やその家族に対して、身体的・精神的な苦痛や不安を和らげるケアのことです。自宅だけではなく、緩和ケア病棟やホスピス型住宅※で受けることができます。

緩和ケアを受ける上で、どれくらい費用がかかるのか気になる方もいると思います。この記事では、緩和ケアにかかる費用について、緩和ケア病棟で受ける場合・自宅で受ける場合・ホスピス型住宅で受ける場合に分け詳しく解説していきます。

※公的に制度化された施設形態ではないため、運営元によって 「ナーシングホーム」「医療特化型有料老人ホーム」「ホスピス住宅」、「ホスピスホーム」とさまざまな呼称があります。当社では「ホスピス型住宅」と呼んでいます)

緩和ケアを受けられる場所

緩和ケアを検討している場合、どこで受けられるのでしょうか。緩和ケアを受け療養する場所としてあげられるのは、主に以下の3つです。

  • 緩和ケア病棟への入院
  • 在宅緩和ケア
  • ホスピス型住宅への入居

緩和ケア病棟とは、がんやその他の病気である利用者さまや、ご家族が抱えるさまざまな苦痛を緩和するケアを、専門的に受けられる病棟です。在宅緩和ケアは、医師や訪問看護師により自宅にいながら診察や医療処置など、必要な緩和ケアを受ける方法です。

ホスピス型住宅では、病院の緩和ケア病棟と同じく、利用者さまやそのご家族が抱える苦痛を緩和するケアが受けられます。自宅に近い個室で自由度の高い生活ができます。

緩和ケアにかかる費用相場

それぞれの緩和ケアにかかる費用は、どのくらいなのでしょうか。月額費用の相場は、以下のとおりです。

ケア別 月額費用の相場 備考
緩和ケア病棟の場合 約27万8,000円 緩和ケア病棟1にがん末期の方が入院したケース
在宅緩和ケアの場合 約4~5万円 訪問診療を月2回、訪問看護を週3回利用したケース
ホスピス型住宅の場合 約19.7万円 がん末期の方が入居したケース

※上記は、高額医療費等の負担軽減制度を考慮しない金額です。高額療養費制度とは、一定の上限額を超えた医療費が給付される制度のことです。自己負担限度額は年齢や所得状況によって異なります。
参考:厚生労働省|高額療養制度を利用される皆さまへ

緩和ケア病棟に入院した場合の費用

緩和ケア病棟に入院した場合、入院費・食費・差額ベッド代・その他サービス自己負担額がかかります。それぞれの費用の目安は以下のとおりです。

費用 金額(1割負担の場合の月額)
入院費 約15.3万円
食費(1日3食30日と想定) 約4.4万円(490円/食)
差額ベッド代 約0〜249,660円
その他サービス自己負担額 利用状況や病院によって異なる

入院費

緩和ケア病棟に入院して緩和ケアを受けるには、まず入院費がかかります。入院費は「医療費×入院日数×医療保険自己負担率」によって決まります。

一般的な1日あたりの入院費は、医療保険の自己負担が1割の方は5,000円程度、3割の方は15,000円程度が目安となります。たとえば、1割負担の利用者さまが30日間緩和ケア病棟に入院した場合の医療費は、約15.3万円です。

ただし高額療養費制度が適用できるため、自己負担限度額を超える分は還付されます。

食費

緩和ケア病棟など、入院時にかかる食費は1食あたり490円と定められています。そのため、1カ月間に1日3食利用した場合にかかる費用は、約4.4万円です。

ただし、指定難病を患っている方や低所得者に該当する方は、食費が軽減されます。具体的な1食あたりの金額は、以下のとおりです。

分類 対象者 金額
1 2,3,4のいずれにも該当しない方 490円/食
2 3,4に該当しない小児慢性特定疾病児童等または指定特定医療を受ける指定難病患者 280円/食
3 住民税非課税の低所得者に該当する方(低所得者Ⅱ) 過去1年の入院期間が90日以内 230円/食
過去1年の入院期間が90日以上 180円/食
4 住民税非課税かつ以下のいずれかを満たす方(低所得者Ⅰ)

・収入が年金のみであり年収80万円未満の単独世帯

・夫婦2世帯で合計年収130万円未満

110円/食

参考:厚生労働省|「健康保険及び国民健康保険の食事療養標準負担額及び生活療養標準負担額及び後期高齢者医療の食事療養標準負担額及び生活療養標準負担額の一部を改正する告示」の公布について

差額ベッド代

差額ベッド代とは、設備が充実している部屋や個室を利用する際にかかる追加費用のことで、保険適用外です。金額は病院によって異なり、差額ベッド代がかからないところから10万円ほどかかるところまで、幅広くなっています。

なお、差額ベッド代は特に必要としない場合であれば、基本的に費用はかかりません。病院によっては差額ベッド代がかかる病床を設けていないケースもあるため、事前に病床の費用を確認しておくと安心です。

その他サービス自己負担額

病院によっては、患者衣レンタルや洗濯サービスなどを提供しています。必要に応じて利用できますが、これらは病院が独自に提供しているサービスであり、医療保険や介護保険が適用されません。利用するには病院ごとに定められた金額の支払いが必要になります。

緩和ケア病棟については、下記の記事でより詳しく説明しています。

緩和ケア病棟とは?入院費用や期間、ホスピスとの違いなどについて解説

在宅で緩和ケアを受ける場合の費用

緩和ケアは、訪問診療などを利用することで自宅でも受けられます。自宅で受ける緩和ケアのことを在宅緩和ケアといい、主にかかる費用は以下です。

  • 訪問診療利用料の自己負担額
  • 訪問看護利用料の自己負担額
  • 訪問介護利用料の自己負担額
  • 通院診療利用料の自己負担額
  • その他設備導入等の費用

在宅緩和ケアでは主に訪問診療や訪問看護サービスを利用して、医師や看護師からのケアを受けますが、それぞれ医療保険、介護保険が適用できます。以下で具体的な負担額の目安などについて解説しますので、参考にしてください。

訪問診療利用料の自己負担額

訪問診療とは、通院や入院が困難な方や、できるだけ自宅で過ごしたい利用者さまの自宅に医師が訪問し、診察や治療などを行う医療サービスのことです。

在宅緩和ケアで訪問診療を利用する場合、細かく分けると以下の費用が必要です。

かかる費用 内容
診療料 病院や診療所から訪問診療を受けるにあたって、診療料がかかります。診療料には、医療保険が適用されます。

医療保険の負担割合を超える分の医療費は、自費で支払う必要があります。ただし高額療養費制度が適用できるため、自己負担限度額を超える分は還付されます。

薬の処方代 在宅緩和ケアにおける薬は、院外処方となり処方箋をもとに薬局で受け取るか、配達してもらう必要があります。薬には保険適用された分の自己負担のほか、薬の説明や管理指導料などの費用がかかります。なお、処方箋の有効期限は発行日を含めて4日間です。

訪問診療にかかる費用には医療保険が適用されるため、支払い金額は実際の金額における1割〜3割となります。具体的な負担割合は、以下の表を参考にしてください。

年齢 所得状況 負担割合
70歳未満 全所得額共通 3割
70歳〜74歳 年収約370万円以上 3割
住民非課税〜年収約370万円未満 2割
75歳以上 年収約370万円以上 3割
年収約200万円以上〜約370万円未満 2割※
住民非課税〜年収約370万円未満 1割

参考:厚生労働省|医療費の一部負担(自己負担)割合について
※厚生労働省|後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)
なお、上記の負担割合は訪問診療に関わらずすべての医療行為に適用される医療保険の内容となっています。

訪問看護利用料の自己負担額

訪問看護とは、看護師や理学療法士などの専門スタッフが利用者さまの自宅に訪問し、バイタルサインのチェック、注射などの一部の医療的処置など看護を行うサービスのことです。訪問看護では、利用料に介護保険または医療保険が適用されます。

介護保険適用の場合

介護保険制度は、40歳以上の人が加入する公的な保険制度で、介護が必要になった際にサービスを利用できます。65歳以上の人は、要介護認定(介護の必要性を判断するための認定制度)を受ければいつでもサービスを利用できます。

40歳から64歳の人は、特定の疾病(加齢に伴って生ずる心身の変化に起因するとされる疾病で、がんや筋萎縮性側索硬化症などの16種類がある)が原因で介護が必要と認定された場合に、サービスを利用可能です。

介護保険サービスを利用するには、要介護(要支援)の認定を受ける必要があります。サービスの利用料は原則として1割負担ですが、一定以上の所得がある場合は、2〜3割です。なお、1ヶ月あたりに利用できる自己負担限度額は要介護度別に定められています。以下の表を参考にしてください。

自己負担分(1割) 自己負担分(2割) 自己負担分(3割)
要支援1 ¥5,032 ¥10,064 ¥15,096
要支援2 ¥10,531 ¥21,062 ¥31,593
要介護1 ¥16,765 ¥33,530 ¥50,295
要介護2 ¥19,705 ¥39,410 ¥59,115
要介護3 ¥27,048 ¥54,096 ¥81,144
要介護4 ¥30,938 ¥61,876 ¥92,814
要介護5 ¥36,217 ¥72,434 ¥108,651

※1単位10円の場合
※出典:厚生労働省|介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報 公表システム

介護保険サービスは、上記の限度額内の利用であれば、負担は1割〜3割におさまります。もし限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分は全額自己負担となります。

医療保険適用の場合

医療保険は、病気やケガをした際に医療費の自己負担を軽減するための公的な保険制度です。主に被用者健康保険(会社員などが加入)と国民健康保険(自営業者などが加入)があります。加入している保険の種類によって保険料や給付内容が異なりますが、医療費の自己負担割合は同じです。75歳以上の方は後期高齢者医療制度に加入することになります。

自己負担割合は、年齢や所得に応じて1〜3割となります。

訪問介護利用料の自己負担額

訪問介護とは、介護福祉士やホームヘルパーが訪問し食事や入浴の身体介護、家事などの生活援助、通院の際の送迎サービスを行います。緩和ケアの場合は、医療的処置に加えて移動や食事に介護が必要な時、併用することができます。

介護保険サービスは、上の表に示したように、1ヶ月あたりに利用できる自己負担限度額が要介護度によって異なります。

通院診療利用料の自己負担額

通院診療とは、基本的な生活は自宅で行い、必要に応じて緩和ケア外来に通院して緩和ケアを受ける方法のことです。

通院診療にかかる費用は、主に以下のとおりです。

かかる費用 内容
診療料 医師の診療を受けるにあたって、診療料がかかります。通院診療の場合でも、訪問診療と同様に医療保険が適用されます。

通院診療にて医療保険の負担割合を超えた分は自費での支払いが必要ですが、高額療養費制度によって払い戻しが受けられます。

薬の処方代 院内で処方される薬の処方代がかかります。

その他設備導入等の費用

在宅で緩和ケアを行うには、重い疾患をかかえる利用者さまが快適に過ごせるよう環境を整えなければいけません。

具体的には、起きたり姿勢を変えたりしやすいような電動ベッドの導入や、トイレやお風呂のリフォームなどがあげられます。以下のような特定福祉用具では、介護保険を活用した費用負担の軽減も可能です。

  • 腰掛便座
  • 入浴補助用具
  • 固定用スロープ
  • 歩行器 など

また、家の構造を大幅に変える場合は多くの費用が必要になるため、補助金を活用するのもおすすめです。補助金は各自治体によって実施有無や補助金額が異なるので、ホームページや電話等で確認しましょう。

参考:厚生労働省|特定福祉用具販売

ホスピス型住宅に入居する場合の費用

ホスピス型住宅は、ホスピスケア(緩和ケア)の提供に特化した施設のことです。医師や看護師が常駐しており、多くの施設では個室で生活できるため、自宅のように安心して暮らすことができます。

ホスピス型住宅を利用する際にかかる費用と目安の金額は、以下のとおりです。

費用 金額(月額)
入居費 0円(施設によって異なる)
家賃・管理費 約106,000円
保険サービスの自己負担額 約41,000円
生活費 約5万円

上記は当社が運営するReHOPEの一部施設の費用を参考にした金額です。

入居費

ホスピス型住宅に入居する場合は、施設によって初期費用として入居費がかかることがあります。入居一時金と呼ばれることもあり、施設によって無料から数百万円代まで金額が大きく異なります。事前の見学で見積もりをもらった上で入居を検討しましょう。

なお、ReHOPEでは原則入居費をいただいておりませんが、入居時に当月の日割り家賃・管理費、翌月の家賃・管理費をご請求しています。初期費用を抑えてホスピス型住宅に入居できるため、施設選びの際はぜひご検討ください。

ホスピス型住宅ReHOPEについて詳しくはこちら

家賃・管理費

ホスピス型住宅を利用するには、毎月の家賃・管理費の支払いが必要です。予算に合わせて施設を選ぶようにしましょう。

家賃・管理費にかかる金額は、施設によって数万円で収まるところもあれば、30万円ほどかかるケースもあります。なおReHOPEの場合は、月額10万円前後の施設が多くなっています。

保険サービスの自己負担額

ホスピス型住宅で介護や医療サービスを受ける場合は、医療保険や介護保険が適用されます。保険の適用により支払うのは1割〜3割で、利用者さまの要介護度や所得状況によって割合が異なる仕組みです。

ホスピス型住宅における介護保険サービスは、在宅緩和ケアで適用される利用限度額と同様であるため、介護度別の限度額については、前述した「介護保険適用の場合」をご覧ください。

生活費

ホスピス型住宅では、食費や日用品費など毎月の生活費も必要となります。必要な金額は施設や利用者さまの暮らし方によって異なります。

緩和ケアにかかる費用を安く抑えるポイント

緩和ケアにかかる費用には、医療保険や高額療養費制度が適用されます。緩和ケアで提供される医療や看護、介護サービスは、基本的に保険適用の対象です。ただし、前述したように利用者さまが自身で支払う費用は、年齢や所得状況、要介護度などによって異なるため、事前にケアマネジャーや地域包括支援センターなどに、自身の負担する割合を確認しておきましょう。

70歳未満の方は限度額適用認定証の交付で出費を抑えられる

70歳未満の方が高額療養費制度を利用したい場合は、事前に「限度額適用認定証」を取得することで、医療機関での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。

限度額適用認定証は、事前に加入している医療保険の保険者(市区町村や健康保険組合など)に申請すると取得できます。医療機関の窓口で提示すると、その場での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。事前に取得しておくことで、高額な医療費の一時的な支払いを避けられる便利な制度です。

参考:全国健康保険協会|高額な診療が見込まれるとき(マイナ保険証または限度額適用認定証)

まとめ

緩和ケアにかかる費用は、緩和ケア病棟への入院、自宅で受ける緩和ケアでの訪問診療や訪問介護の利用、ホスピス型住宅への入居のそれぞれで異なります。目安となる月額費用は、緩和ケア病棟で27.8万円/月、在宅緩和ケアで約4〜5万円、ホスピス型住宅(ReHOPEの場合)で約19.7万円/月です。

また、緩和ケアを受ける際に利用した医療、介護サービスでは、医療保険や介護保険が適用されます。医療費が高額になった場合に活用できる高額療養費制度もあるため、制度を活用しできるだけ費用負担を抑えて緩和ケアを受けましょう。

よくある質問

緩和ケアの自己負担限度額はいくらですか?

緩和ケアを受ける際は、医療保険が適用できます。医療保険の高額療養費制度が適用でき、自己負担限度額を超える金額は払い戻しされる仕組みです。また介護保険を利用する場合も、要介護度によって自己負担限度額が決まっています。

緩和ケアは1日にいくらかかりますか?

緩和ケアにかかる1日あたりの費用は、病院、在宅、ホスピス型住宅など、ケアを受ける場所によって異なります。また、施設や利用するサービス、利用者さまの所得状況などによっても金額は異なるため、事前に見積もりをもらうなどして費用を確認しましょう。

詳しくは記事内「緩和ケアにかかる費用相場」をご覧ください。

ReHOPEでは緩和ケアの費用についてご相談を受け付けています

ReHOPEは、看護師や介護士からの手厚い医療やケアを24時間365日受けられる、ホスピスケアに特化したホスピス型住宅です。全国各地に施設を展開しています。常駐スタッフが日常生活のサポートから細かい健康チェックまで、一人ひとりに寄り添い希望を叶えるケアを行うことはもちろん、地域の医療機関や多職種と連携して行う心身のケアなど、総合的なサービスを提供しています。

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