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要介護認定の受け方は?申請方法や必要書類、注意点について解説

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 要介護認定の受け方は?申請方法や必要書類、注意点について解説

この記事の監修者

増田 浩臣 (ますだ ひろおみ)

株式会社シーユーシー・ホスピス
ReHOPE 鷺沼 施設長兼ケアマネジャー

プロフィール

2006年大学卒業を経て介護業界にて10年勤務。その中で介護現場を約5年経験した後、事業拡大に貢献したいと思い新規施設立ち上げ業務5施設程携わる。その後、ケアマネジャーの業務も経験。2018年にシーユーシー・ホスピスに中途入社後、ケアマネジャー業務の中で特定難病対象の業務にも取り組む。2024年、ReHOPE 鷺沼の施設長兼ケアマネージャーに就任。

介護が必要な方が適切なサポートを受けるための重要なステップとして、要介護認定があります。要介護認定は、その人が日常生活でどのくらい介護を必要としているかの指標です。認定を受けることで介護保険サービスを利用できます。

本記事では、要介護認定の基本的な仕組みや申請手順、押さえておきたいポイントを解説します。

要介護認定とは?

要介護認定とは、介護保険制度において、高齢者の介護が必要な度合いを評価・判定する制度です。介護区分は大きく「要支援」と「要介護」の2種類に分かれており、さらに要支援1・2、要介護1〜5まで、7段階に分かれています。

要介護度は、専門の認定員による訪問審査などを経て決定します。区分の違いによって、利用できる介護サービスや介護施設、それぞれのサービスを利用した際の自己負担額が異なります。

要支援・要介護について、それぞれどのような方が当てはまるのか、以下で詳しく説明します。

要支援

日常生活の基本的な動作(入浴・排せつ・食事など)は概ね自分で行えるものの、一部の動作に支援が必要です。生活機能の低下がみられ、要介護状態となることを予防するための支援が必要な状態で、区分には要支援1と要支援2の2段階があります。

要介護

日常生活の基本的な動作(入浴・排せつ・食事など)の一部またはすべてにおいてひとりで行うことが困難であり、見守りや介助が必要です。認知症による判断力の低下や、身体機能の低下により、日常生活に支障をきたす状態です。区分には状態によって1〜5まで5段階があります。

要介護度は、介護が必要な度合いについて客観的で公平な判定を行うため、コンピュータによる一次判定と、それを原案として保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定の2段階で行なわれます。要支援と要介護の違いについて詳しくは別記事「要支援・要介護とは?どうやって認定される?7つの区分や使えるサービスを解説」をご覧ください。

参考:厚生労働省|要介護認定はどのように行われるか

要介護認定を申請できる人

要介護認定の申請ができるのは、介護が必要だと感じている本人またはそのご家族です。入院など本人が申請できない状態の場合は、家族による申請が可能です。

また、家族による対応ができない場合は、地域包括支援センターなどの職員による代行も可能です。介護サービスを受けられるのは以下に当てはまる方です。

被保険者区分 年齢 要件
第1号保険者 65歳以上
  • 家事などの日常生活に支援が必要な要支援の状態になった場合
  • 認知症、歩行困難、寝たきりなどにより要介護の状態になった場合
第2号保険者 40〜64歳 該当する16種類の特定疾病(心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病)と診断された場合

参考:厚生労働省|特定疾病の選定基準の考え方

要介護認定の申請の流れと必要書類

要介護認定の申請の流れと必要書類

ここでは、要介護認定の申請における以下の流れについて解説します。

  • 市区町村の窓口へ申請
  • 訪問調査で申請者の状態を確認
  • 主治医の意見書の作成
  • 必要な介護のレベルを審査
  • 介護サービス計画の作成
  • サービスの利用開始

1.市区町村の窓口へ必要書類を提出

要介護認定を受ける際は、まず住んでいる市区町村の窓口(または地域包括支援センターで代行している場合もあります)で申請をしましょう。本人ではなく、家族が代理で申請することも可能です。
要介護認定の申請には、以下の書類が必要です。

要支援・要介護認定申請書 役所の窓口やお住まいの自治体のWebサイトから入手可能

例:横浜市の要支援・要介護認定申請書(自治体により様式は異なる)

介護保険被保険者証 65歳以上の第1号被保険者は必須
健康保険被保険者証 40歳から64歳の第2号被保険者は、介護保険被保険者証の代わりに必要
マイナンバー(個人番号)が確認できるもの マイナンバーカード(個人番号カード)、通知カード、個人番号が記載されたの住民票の写しまたは住民票記載事項証明書のいずれか

※通知カードの場合は、通知カードの表面記載事項(氏名、住所、生年月日、性別、個人番号)が住民票の内容と一致している場合のみ可

申請者の身元が確認できるもの 運転免許証・身体障害者手帳・介護支援専門員証などが該当
主治医の情報が確認できるもの 診察券などが該当

ただし、自治体によっては不要な場合もあるため、事前に確認が必要

介護保険被保険者証をお持ちの場合、原則として健康保険被保険者証の提出は必要ありません。ただし、申請者が入院中などで家族が代理申請を行う場合には、以下が追加で必要になります。

  • 委任状
  • 印鑑
  • 代理人の身元確認書類

また、40歳から64歳の方が申請を行う際は、健康保険被保険者証の提出が必須です。

必要書類は自治体によって異なることがあるため、事前に確認しておくことが大切です。特に、主治医に関する情報が必要かどうかについては、お住まいの自治体に問い合わせるようにしましょう。

2.訪問調査で申請者の状態を確認

申請が受理されると、認定調査員が申請者の自宅を訪問し、状況を確認する訪問調査が行われます。介護の必要度を判断するための、重要なプロセスです。

訪問調査では、心身の状態や日常生活の様子、家族構成や住環境などについて詳しくヒアリングが行われます。所要時間は、おおよそ1時間程度です。普段の状態を正確に伝えるため、可能な限り家族も同席しましょう。

なお、調査項目には以下が含まれます。

  • 現在受けている介護サービスの状況
  • 身体機能(麻痺の有無や寝返りが可能か、視力聴力など)
  • 生活機能(食事や排せつの状況、衣服の着脱介助など)
  • 認知機能(自分の名前を言えるか、徘徊があるかなど)
  • 精神・行動面(物を盗られたなど被害的、衣類を破くなど)
  • 社会生活への適応能力(薬の内服、金銭管理など)
  • 過去14日間で特別な医療処置を受けたか(透析やカテーテルなど)

厚生労働省の参考資料を事前に確認し、返答や考えをまとめておくことで当日のヒアリングをスムーズに進めることができます。

3.主治医の意見書の作成

市区町村からの依頼で、主治医が意見書を作成します。医師と市区町村の担当者が直接やり取りをするため、本人と家族がしなければならない手続きはありません。

主治医がいない場合は市区町村が指定する医療機関を受診するか、過去に受診歴のある医師に意見書を作成してもらえるか確認しましょう。

4.必要な介護のレベルを審査

訪問調査が終わると、次に申請者の介護がどの程度必要かを審査します。介護レベルの審査は、一次判定と二次判定の2段階で行われます。

一次判定では、訪問調査の結果と主治医の意見書をもとに、全国共通の基準に従ってコンピュータで要介護度が判定されます。

次に、一次判定の結果と主治医の意見書をもとに、介護認定審査会が二次判定を行います。保健や医療、福祉の専門家で構成され、申請者の状況を総合的に判断します。

一次判定・二次判定を経て「介護や日常生活にどの程度支援が必要か」「どのくらいの介護が必要か(要介護度)」が最終的に決定します。

申請してから認定されるまでは通常約30日かかりますが、医師の意見書の作成や調査の状況によっては、さらに日数がかかることもあります。ただし、がん末期などの特定のケースでは、申し出を行うことで調査が優先的に実施され、通常より早く結果が出ることがあります。

なお、介護保険サービスは申請日まで遡って利用することが可能です。そのため、認定結果が出るまでの間にサービスを受けた場合でも、認定後に適用されることがあります。

5.介護サービス計画の作成

要介護認定の結果が出たら、利用者の状態や希望に基づいた「介護サービス計画(ケアプラン)」を作成します。介護サービス計画は、適切な介護サービスを利用するための重要な指針です。「要支援1」または「要支援2」と認定された場合、地域包括支援センターで介護予防サービス計画を作成します。

一方「要介護1」以上と認定された場合は、ケアマネジャーがいる居宅介護支援事業者に計画作成を依頼します。ケアマネジャーは、サービスの利用にとどまらず、さまざまな相談にも対応してくれる存在です。

6.サービスの利用開始

1〜4までの手続きを経て、介護サービス計画にもとづいた、さまざまなサービスが利用できるようになります。要支援と要介護の違いについて詳しくは別記事「要支援・要介護とは?どうやって認定される?7つの区分や使えるサービスを解説」をご覧ください。

マイナンバーを使ってオンライン申請もできる

要介護認定は、マイナンバーを活用することでオンラインで申請できる場合があります(ぴったりサービス)。オンライン申請を行うにはマイナポータルの利用・マイナンバーカードが必須となります。

マイナンバーカードを使用することで、氏名や住所、生年月日や性別といった申請者情報を自動入力でき、また役所に行かなくていいという点でもスムーズな手続きが可能です。オンライン申請をするには以下のものが必要です。

  • 申請者本人の電子証明書付きのマイナンバーカード
  • 利用者証明用電子証明書のパスワード(4桁の数字)
  • 署名用電子証明書のパスワード(6~16ケタの英数字)
  • パソコン・マイナンバーカードの読み取りに対応したICカードリーダー、またはマイナポータルアプリをダウンロードしたスマートフォン

また、オンライン申請時には書類を添付しますが、自治体により添付書類が異なるためホームページで確認しましょう。例として、以下のような書類があります。

  • 要支援・要介護認定申請書
  • お住まいの自治体のWebサイトから入手可能
  • 介護保険被保険者証
  • 65歳以上の第1号被保険者
  • 医療保険の被保険者証
  • 40歳から64歳の第2号被保険者は、介護保険被保険者証の代わりに必要
  • 主治医の情報が確認できるもの
  • 診察券など
    ※委任状(本人以外が申請する場合)
  • 対象者の家族、または指定居宅介護支援事業者、介護保険施設、地域包括支援センターなどに申請を代行してもらう際は、本人の委任状が必要
    ※申請者のマイナンバーカード(本人以外が申請する場合)
  • 代理人のマイナンバーカード

一部の自治体では、介護保険被保険者証の原本を郵送または窓口で提出する必要があることもあります。

マイナンバーカードを利用したオンライン申請はすべての自治体で利用可能というわけではありません。申請を検討する際には、住んでいる自治体のWebサイトや窓口で確認を行いましょう。オンライン申請が難しい場合は、窓口で申請しましょう。

申請時には、マイナンバーカードに加えて本人確認書類や代理権を証明する書類が求められる場合もあるため、事前に必要書類を確認しておくことが重要です。

出典:マイナポータル|地方公共団体の手続に申請する – お住いの市区町村へ申請 –
出典:「介護ワンストップサービス」のご案内~スマホ(パソコン)で申請できます~

要介護認定に関する注意点

ここでは、要介護認定に関する2つの注意点について解説します。

有効期間がある

要介護認定には有効期間が設定されており、更新を忘れないよう注意が必要です。新規申請の場合、有効期間は原則として6カ月、更新の場合は12カ月とされています。

有効期間を過ぎると認定が失効し、介護保険サービスを利用できなくなります。そのため、継続して利用する場合は必ず更新手続きを行わなければなりません。

更新手続きを忘れると、介護サービスの利用料が全額自己負担となる可能性があります。また、有効期限が切れた場合は新たに申請を行う必要があり、その間は介護保険サービスを利用できない期間が発生する可能性もあります。

なお、自治体が必要と認めた場合には、有効期間が延長されることがあります。更新時に2次判定で前回と同じ介護レベルであった場合、最長で48カ月(4年)の有効期間が認められます。

ただし、更新は自動では行われないため、有効期限が切れる前に必ず手続きを行ってください。通常、有効期限の1~2カ月前に市区町村から案内が届くため、通知を受け取ったら速やかに対応しましょう。

区分変更申請が必要になる場合がある

転倒による怪我が原因で移動に援助が必要になった、認定を受けた介護度よりも実際はより多くの介護が必要であると感じているなど、介護度の変更を変更したいと感じた場合には、区分変更申請を検討する必要があります。

現在の認定が「要介護」または「要支援」であっても、心身の状態が悪化し、より多くの介護が必要と感じた場合は次回の更新を待たずに区分変更申請を行いましょう。

区分変更を行うことでより適切な介護サービスを受けられるようになり、サービス利用の範囲や量が増える場合があります。ただし、介護度が上がるとサービス利用料が高くなる点にも注意が必要です。

区分変更申請の流れは、新規申請と同じです。市区町村の窓口に「区分変更申請書」を提出し、再度認定調査を受けます。また、申請には主治医の意見書が求められる場合があります。結果が出るまでには、約30日程度かかることが一般的です。

現在の要介護度が実際の状態と異なると感じた場合は、担当のケアマネジャーに相談し、区分変更の手続きについてアドバイスを受けると良いでしょう。

まとめ

要介護認定は、必要な介護サービスを受けるための重要な手続きです。自力で家事ができない、認知症が進行し家族だけの対応が困難など、介護の必要性を感じたら市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談してみましょう。

要介護認定の申請をするときは、申請方法や必要書類をあらかじめ確認しておくことで手続きが円滑に進みます。また、訪問調査ではどんなことをヒアリングするのかも事前に確認しておくことも大切です。

よくある質問

要介護認定の申請方法は?

要介護認定の申請は、以下の流れで行います。

  • 市区町村の窓口へ申請
  • 訪問調査で申請者の状態を確認
  • 主治医の意見書の作成
  • 必要な介護のレベルを審査
  • 介護サービス計画の作成
  • サービスの利用開始

詳しくは記事内「要介護認定の申請の流れと必要書類」をご覧ください。

要介護認定の申請に必要な書類は?

要介護認定の申請には、要支援・要介護認定申請書や介護保険被保険者証、マイナンバーや申請者の身元が確認できる書類が必要です。40歳から64歳の第2号被保険者は、介護保険被保険者証の代わりに健康保険被保険者証を用意しなければなりません。詳しくは記事内「要介護認定の申請の流れと必要書類」をご覧ください。

要介護認定を受けるうえでの注意点は?

要介護認定を受けるうえでは、有効期間があることに加え、区分変更申請が必要になる場合があることを覚えておきましょう。
詳しくは記事内「要介護認定に関する注意点」をご覧ください。

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