ホスピス型住宅のReHOPE | ホスピス・介護の基礎知識 | 医療・介護制度を知る | 訪問看護の費用はどのくらい?医療保険と介護保険の適用条件を解説
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この記事の監修者
清水 皓平(しみず こうへい)
株式会社シーユーシー・ホスピス 運営企画部 医事チーム リーダー
プロフィール
2013年順天堂大学スポーツ健康科学部卒業後、大学病院で10年間勤務。大学病院では診療録管理室、医事課、病院機能管理室で入院請求業務、カルテ管理、Quality indicator (QI)の指標作成等を経験。2023年シーユーシー・ホスピスに中途入社後、訪問看護や訪問介護の診療報酬請求やオンライン資格確認・オンライン請求の導入を行う。
訪問看護は、看護師が利用者さまの自宅を訪問し、健康状態の見守りや必要な医療処置を行ったり、医療機器の取り扱いをサポートしたりするサービスです。初めて利用を検討するにあたり、どのくらい費用がかかるのか心配な方も多いでしょう。
今回は、訪問看護の費用について詳しくご説明します。介護保険・医療保険のどちらが適用になるか、自費で支払う必要があるサービスは何かなど、費用に関する情報を細かく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
訪問看護は、看護師が利用者さまの自宅を訪問し、健康管理や医療処置、医療機器の管理などを行うサービスです。病気からの回復を目指す方だけでなく、終末期を自宅で過ごしたいと考える方にも支援を提供しています。
訪問看護のサービス内容は幅広く、具体的には以下のようなサポートがあります。
訪問看護の目的は、利用者さまが住み慣れた家で安心して過ごせるよう、個人の生活環境やライフスタイルにできるだけ配慮した看護を提供することです。
訪問看護についての詳細は別記事「訪問看護とは?サービスの内容や利用方法について解説」をあわせてご確認ください。
ここでは、訪問看護にかかる費用の詳細について解説します。
訪問看護にかかる費用は、適用される保険の種類によって大きく異なります。介護保険が適用される場合は訪問時間に応じて費用が変動し、訪問が短時間であれば費用は低く、長時間になるほど高くなります。
医療保険が適用される場合は、訪問回数や訪問人数によって費用が変わります。たとえば、週3回までの訪問と週4回以上の訪問では1回当たりの料金が異なり、また看護師が複数人で訪問する場合も料金が変更になります。
訪問看護では医療スタッフが利用者さまの自宅まで移動するため、交通費が発生します。訪問看護の交通費は基本的に保険適用外のため、利用者さまが実費で支払う必要があります。
訪問看護の交通費は、訪問看護ステーションなど、看護師が出発する場所から利用者さまのご自宅までの距離に応じて算定されます。
※訪問看護の交通費算定方法や、そもそも有料・無料についても、市区町村や訪問看護ステーションによって異なる場合があります。
訪問看護では、訪問時間帯によって追加費用が発生することがあります。たとえば早朝(午前6時から8時)、夜間(午後6時から10時)、深夜(午後10時から翌朝6時)の時間帯に訪問する場合は時間外加算が適用されます。
サービス内容によっても追加費用が発生します。初回の訪問時や退院直後の療養指導、気管カニューレの管理や点滴の管理など特定の医療処置が必要な場合、緊急で訪問が必要になった場合にも追加費用がかかります。
また終末期医療の一環であるターミナルケアや、亡くなった方に施すエンゼルケアを行う場合にも追加費用がかかります。
これらの追加費用は介護保険・医療保険それぞれの制度で定められており、適用される保険の種類やお住まいの地域によって金額が異なります。詳しい料金については、利用を始める際にしっかり確認しましょう。
訪問看護は、医療保険が適用になる場合と、介護保険が適用になる場合があります。以下のフローチャートを参考にしてください。
介護保険制度は、40歳以上の人が加入する公的な保険制度で、介護が必要になった際にサービスを利用できます。65歳以上の人は要介護認定を受ければ、原因を問わずサービスを利用できます。要介護認定とは、どの程度の介護が必要かを判断するための審査制度です。
40歳から64歳の人は、特定の疾病(がんや筋萎縮性側索硬化症などの16種類の疾病)が原因で要支援・要介護と認定された場合に限り、介護保険による訪問看護を利用可能です。
介護保険のサービス利用料は原則1割負担ですが、所得に応じて2〜3割負担となる場合もあります。
出典:厚生労働省|特定疾病の選定基準の考え方
参照:厚生労働省|介護保険とは
医療保険は、病気や怪我をした際に医療費の自己負担を軽減する公的な保険制度です。主に被用者保険(会社員・公務員などが加入)と国民健康保険(自営業者などが加入)がありますが、医療費の負担割合は基本的に同じ基準になっています。
医療保険の適用で訪問看護を受けられる方は下記です。
なお自己負担割合は、年齢や所得に応じて1〜3割となります。
実際に訪問看護を利用した場合、介護保険と医療保険それぞれ、どの程度の費用がかかるのでしょうか?介護保険が適用されるAさんと医療保険が適用されるBさんの例で、確認してみましょう。
なお、ここで紹介する料金シミュレーションはあくまでもひとつの例です。お住まいの地域によって費用が変わるため、詳しく知りたい方はお近くの地域包括支援センターや担当のケアマネジャーにご相談ください。
脳卒中で入院した70歳のAさんは、退院後に週3回の訪問看護を受けています。
Aさんは介護保険が適用され、1カ月に支払う費用は以下のようになります。
月額の自己負担額 (1割負担の場合) |
10,368円 ※1単位=10円 |
以下、内訳 | |
デイサービス(週1回) | 3,916円 (979単位×地域単価10円)×4回×0.1(1割負担) |
看護師による訪問看護
(30分以上60分未満を週1回) |
3,292円
823単位×4回×0.1(1割負担) |
理学療法士による訪問看護
(60分を週1回) |
3,180円
795単位×4回×0.1(1割負担) |
55歳のBさんは末期がんで訪問看護を週3回受けています。
Bさんは医療保険が適用され、1カ月に支払う費用は以下のようになります。
月額の自己負担額(1割の場合) | 13,984円 |
以下、内訳 | |
看護師による訪問看護
(週3日まで) |
5,500円
5,500円×10回×0.1(1割負担) |
管理療養費
(初日7,440円、以降3,000円) |
4,040円
(初日7,440円+(3,000円×11回))×0.1(1割負担) |
理学療法士による訪問看護
(週2日) |
44,400円
5,550円x8 回×0.1(1割負担) |
訪問看護は介護保険や医療保険だけでなく、自費(利用者さま自身で医療費を全額支払う)で利用することも可能です。その場合、公的な保険制度とは異なり利用できる年齢や疾患などの制限がないため、より柔軟にサービスを選べるのが特徴です。
たとえば長時間のケアや外出の付き添い、さらには旅行時のサポートなど、多岐にわたるサービスを受けられます。自費の訪問看護については、下記のような注意点があります。
原則として、同じ内容のサービスを保険と自費で併用することはできません。ただし、保険適用外のサービスや、保険適用の限度額を超えた分は自費で利用可能です。
施設の種類によって、追加の訪問看護を利用できない場合があります。特に介護保険施設では、施設サービスに訪問看護が含まれているため、原則として外部の訪問看護は利用できません。
自費の場合は保険適用時より高額になることが一般的です。料金設定は事業所によって異なり、交通費なども全額自己負担となります。
訪問看護のサービス利用を検討する際は、まず費用に関する基本的な情報を理解しておくことが大切です。介護保険と医療保険のどちらが適用されるかは、利用者さまの年齢や病状によって決まります。
たとえば、65歳以上の方は原則として介護保険が適用され、40歳未満の方は医療保険が適用されます。保険適用の場合は自己負担額のみの支払いですが、自費利用の場合は全額自己負担となります。
まずは状況に合わせて、どちらの保険が適用されるのかを確認することで、実際の費用負担がイメージしやすくなります。詳しい内容は、市区町村の役所を通して地域包括支援センターに確認しましょう。
訪問看護費や交通費に加え、時間外のサービス利用などに加算があります。
詳しくは記事内「訪問看護にかかる費用はどんなものがある?」をご覧ください。
原則として、介護保険は65歳以上の方、または要介護認定を受けた40〜64歳の方が対象です。医療保険は40歳未満の方や急性期治療が必要な方に適用されます。
詳しくは記事内「訪問看護では介護保険と医療保険どちらが適用?」をご覧ください。
ReHOPEでは、全国の施設で入居者を募集しています。
ReHOPEは、がん末期や神経難病の方に特化したホスピス型住宅として、専門的な医療・介護ケアを提供している施設です。24時間365日体制のサポートにより、安心して自分らしい生活を続けられる環境を整えています。
常駐スタッフが日常生活の支援から医療ケアまでを丁寧に行い、利用者さま一人ひとりに寄り添った対応を心掛けています。また、地域の医療機関や多職種と連携し、心身のケアを総合的に提供しているのも特徴です。
なお、ReHOPEの訪問看護は「施設型訪問看護」という形で受けることができます。
ReHOPEはがん末期や神経難病など、医療依存度が高い方のケアに特化したホスピス型住宅ですが、施設内に訪問看護事業所を併設しています。交通費や休日訪問にかかる費用、医療機器の使用料が発生しない点が特徴です。
また、医療保険や介護保険だけでなく、障害福祉サービスも併用できる柔軟性を備えています。 入居を検討されている方には施設見学のご案内もしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。