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頚髄損傷とは?必要なケアや入居可能な介護施設について解説

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頚髄損傷とは?必要なケアや入居可能な介護施設について解説

この記事の監修者

kitaura masaki

北裏 真己(きたうら まさき)

株式会社シーユーシー・ホスピス 運営支援部 生活リハビリテーション支援チーム

プロフィール

1999年関西大学を卒業後、一般企業に就職したが2004年理学療法士に。総合病院に就職後、理学療法士養成校で教鞭をとり、リハビリテーション病院、DX研究所を経て2023年シーユーシーホスピスへ。訪問看護でのリハビリテーションの仕組みつくりやコンプライアンス体制の強化、根拠に基づくリハビリテーションの教育などを担当している。


頚髄損傷とは、首の頸椎にある神経(頚髄)を損傷することをいいます。頚髄を損傷すると、手足、体幹のしびれや麻痺、自律神経障害などの障害が起こります。

本記事では頚髄損傷の症状やリハビリの内容、利用できる公的支援制度についてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

頚髄損傷とは

頚髄損傷とは、首の頸椎にある神経(頚髄)を損傷することで起こる障害をいいます。

頸髄を損傷すると運動障害や麻痺、呼吸機能などに影響を及ぼし、損傷の程度が大きくなると四肢麻痺(両手両足の麻痺)や呼吸障害などの重篤な症状を引き起こすこともあります。頚髄損傷の主な原因は交通事故や転倒、転落、スポーツ事故などの外傷です。

頚髄損傷の症状

頚髄損傷は、その損傷部位や程度によって、症状の範囲や程度が大きく異なります。

軽傷であれば手足のしびれがある程度ですが、損傷が激しかったり頚髄を断裂してしまったりすると四肢・体幹麻痺になってしまう場合もあります。また、自律神経にも影響を及ぼすため、血圧低下、排尿・排便障害、体温調節障害などが起こり、重度になると人工呼吸器が必要となることもあります。

なお、頚髄はC1〜C8まで8つの箇所に分けられており、損傷箇所が脳に近いほど影響の範囲は大きくなります。

頚髄損傷の症状_CUC

▲頚髄のそれぞれの箇所と、損傷により生じる影響(国立障害者リハビリテーションセンター「頚髄損傷とは」を参考に、当社にて作成)

頚髄損傷で必要となるケア・リハビリテーション

頸椎損傷を負った方は、治療後も継続したケアやリハビリが必要です。実際に行われるケアやリハビリについて解説します。

頚髄損傷で必要となるケア

頚髄損傷を負った方は、麻痺などの合併症が起こる可能性があります。このような場合でも快適に日常生活を送るために日々の日々のケアが重要です。

頚髄損傷を負った方が必要となる可能性があるケアは以下のとおりです。

排泄管理
  • 導尿
  • ストーマ管理
呼吸管理
  • 人工呼吸器管理
  • 痰のからみ
皮膚管理
  • 床ずれ予防
  • しもやけ、火傷対策
食事介助
  • 誤嚥
  • 嚥下訓練
  • 適切な食事
循環器管理
  • むくみ対策
  • 静脈血栓塞栓症の予防

頚髄損傷で必要となるリハビリテーション

リハビリは運動機能の回復や維持、また日常生活や社会への復帰を目的として行います。

リハビリには理学療法・作業療法・言語療法があり、それぞれの目的と内容は以下のとおりです。

目的 内容
理学療法

(PT)

  • 関節の拘縮(*関節の可動域が狭くなる状態)予防
  • 筋力維持・向上
  • 日常生活動作(*日常生活を送るために最低限必要な動作)の向上
  • ストレッチ
  • 日常生活動作練習
  • 歩行訓練 など
作業療法

(OT)

  • 日常生活動作の向上
  • 主観的QOLの尊重
  • 食事訓練
  • 着替え訓練
  • 趣味活動など
言語療法

(ST)

  • 言語力の向上(話す)
  • 嚥下能力(*飲み込む力)の向上
  • 発声練習
  • 嚥下訓練
  • 摂食機能訓練 など

頚髄損傷の方が受けられる介護サービス

頚髄損傷の方が受けられる介護サービスは以下のとおりです。

  • 居宅サービス(訪問型)
  • 居宅サービス(通所・短期入所)
  • 施設サービス

これらについて詳しく解説していきます。

居宅サービス(訪問型)

頚髄損傷の方は、自宅で療養生活を送りながら以下の訪問サービスを受けられます。

  • 訪問介護(ホームヘルパー)
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション

訪問介護では、ホームヘルパーが日常生活の援助を行います。介護の内容は頚髄損傷のレベルや介護度によって異なります。訪問看護では身体機能の維持・合併症の予防・心理的ケアが中心です。

また、訪問リハビリを利用することで、自宅でも専門家によるリハビリを行い身体機能の維持、向上を進めます。

居宅サービスの一つである訪問看護については、こちらの記事で詳しく解説しています。
訪問看護とは?サービスの内容や利用方法について解説

居宅サービス(通所・短期入所)

自宅で療養しながら通える通所・短期入所のタイプの居宅サービスは以下のとおりです。

  • デイサービス
  • 通所リハビリテーション
  • ショートステイ
  • 短期入所療養介護

通所サービスでは日帰りで食事や機能訓練などが行えます。また通所リハビリテーションでは、リハビリだけでなく、ご本人の体の状態や要望に応じた福祉用具の提案を受けられるほか、食事・排泄・入浴など日常生活のサポートも利用できます。

短期入所サービスでは、頚髄損傷の方の状態に応じて短い期間入所して食事・排泄・入浴などの介護サービスを受けられます。

施設サービス

自宅での生活が困難な場合に利用できる施設には以下のようなものがあります。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • ホスピス型住宅

医療的ケアが必要な場合には、介護サービスだけでなく看護サービスも合わせて利用できる施設への入居を検討しましょう。

入居施設についてはこちらの記事でも紹介しています。
ホスピスとは?施設の特徴や病院との違い・対象者や費用について解説
サービス付き高齢者向け住宅とは?ホスピスや有料老人ホームとの違いについて解説

頚髄損傷の方が利用できる公的支援制度

頚髄損傷の方は、その障害の程度によって様々な公的支援制度を利用できます。

身体障害者手帳

頚髄損傷を負った方が、四肢の麻痺や排泄機能や呼吸機能などに障害があると認められれば、身体障害者手帳を申請することで手帳が交付されます。

身体障害者手帳が交付されるときには、その障害の程度に応じたサポートを行うために等級が決められます。そのため、障害が重度であればそれだけ手厚いサポートが受けられます。

医療費の助成

上記で紹介した身体障害者手帳を取得すると、医療費のうち一部の自己負担額を除いた金額が助成されます。また、障害が重度であれば、重度障がい者訪問看護利用料の助成も利用が可能です。

これらの医療費の助成は主に身体障害者手帳を所持していたり、その等級が1や2など重度の障害であると認定されていたりと、対象者がそれぞれ決まっています。また、利用するためには申請が必要ですので、利用できる助成金などについては別途確認しましょう。

障害福祉サービス

頚髄損傷を負い、身体障害者手帳の交付を受けた方は、市町村で提供されている障害福祉サービスを利用できます。

提供される福祉サービスは市町村によって異なり、サービス例は以下のとおりです。

  • 居宅介護
  • 重度訪問介護
  • 療養介護
  • 生活介護
  • 短期入所(ショートステイ)
  • 重度障がい者等包括支援
  • 自立訓練
  • 就労移行支援/就労継続支援

その他の制度

ほかにも、頚髄損傷を負った方が利用できる制度には以下のようなものがあります。

補装具費支給制度

車椅子・電動車椅子・歩行器・座位保持などの補装具を、原則1割負担で購入または修理が可能

車椅子の貸し出し

一時的に車椅子が必要な場合に短期間、無料で車椅子を借りられる

住宅改修助成

障害の程度や状況に合わせた改修を行うための費用の助成

ホスピス型住宅ReHOPEで暮らす頚髄損傷のご入居者さまの事例

当社が運営するホスピス型住宅ReHOPEにおいても、頚髄損傷のご入居者さまを受け入れております。ReHOPEスタッフが綴ったご入居者さまの事例をご紹介します。

こだわりがあっても快適に過ごせるようになったAさま

交通事故により頚髄損傷を負ったAさまは、当施設にご入居される前は訪問看護を利用しながら自宅で過ごされていました。しかし、ご家族の介護疲れもあり、病院でのレスパイト入院を経て、ReHOPEへ入居されました。

もともとこだわりが強く、自身のルーチンが崩れることがストレスとなってしまったAさま。スタッフはなかなか良い関係を築けずにいましたが、ご家族や担当のケアマネジャーと話し合いを重ね、傾聴をしていくうちに、Aさまはご自身の気持ちを共有してくださるようになりました。

傾聴を通して、Aさまは「決まった食事以外にも、好きなものを食べたい」といった気持ちをお持ちだとわかりました。その気持ちを尊重し、ご本人が食べたがっていたハンバーガーをプレゼントすることに。「久々に食べた。美味しかった。またお願いします。」とのお言葉もいただきました。今では当施設のスタッフとの会話も楽しんでいただいています。

まとめ

頚髄損傷は、その損傷の度合や場所によって障害の程度や範囲が大きく異なります。程度が軽ければリハビリなどで自立した生活を送ることも可能ですが、重度になれば日常的な介護や医療的ケアが欠かせません。

ReHOPEでは、介護サービスや医療的ケアが受けられるだけでなく、理学療法士や作業療法士によるリハビリも受けられます。頚髄損傷の障害の程度に合わせて利用できる制度を積極的に利用しながら自身にあったサービスを積極的に利用しましょう。

よくある質問

頸髄損傷はどこの障害?

頚髄損傷は首の背骨(頸椎)にある神経に損傷を受けることででる障害をいいます。

詳しくは記事内「頚髄損傷とは」をご覧ください。

頚髄損傷になるとどうなる?

頚髄損傷は損傷した場所やその程度によって症状が異なり、軽傷であれば手足のしびれがあります。重症になると、四肢麻痺・血圧低下・呼吸不全・排泄機能障害などの症状が出ます。

詳しくは記事内「頚髄損傷の症状」をご覧ください。

ReHOPEでは入居見学をいつでも受付中です

全国で40カ所以上のホスピス型住宅を展開しているReHOPEでは、重い疾患や障害があっても誰もが自分らしく、前を向いて生きられるように心をこめてご入居者さまの毎日を支えます。

全国の施設でご入居を受け付けておりますので、見学のお申し込みやお問い合わせなど、お気軽にご相談ください。

より詳しい情報を知りたい方は、ReHOPEのサイトをぜひご覧ください。

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