「もっと人と向き合いたい」 疾患ではなく“その人の生き方”を看るリハビリテーションへ | ホスピス型住宅のCUCホスピス求人採用サイト

INTERVIEW

理学療法士インタビュー

「もっと人と向き合いたい」 疾患ではなく“その人の生き方”を看るリハビリテーションへ

ReHOPE 松戸

理学療法士 桾澤 望

高校卒業後、専門学校で理学療法士の資格を取得。2019年に総合病院へ入職し、急性期から回復期、慢性期、訪問リハまで幅広いフェーズでリハビリテーションに携わる。治験コーディネーター職を経て、2023年10月にCUCホスピスへ転職。現在はReHOPE 松戸において、神経難病のご入居者さまを中心にリハビリテーションを行う。
※2025年7月時点のインタビューです。

生活に寄り添うリハビリの道を選んだ、私の転機

理学療法士を目指したきっかけを教えてください。

高校生の頃は将来の進路に悩んでいて、「手に職をつけたい」「人と関わる仕事がいい」と漠然と考えていました。
当時、家族で続けていたバドミントンが縁で、ケガの治療にリハビリテーションが欠かせないと耳にする機会がありました。親世代の知人で理学療法士として働く方から「こんな仕事もあるよ」と声を掛けてもらったことが、この職業を意識するきっかけになったんです。

人の役に立てるこの分野で専門的な知識と技術を身につけたいという思いが募り、高校卒業後は専門学校で理学療法士の資格を取り、卒業後は総合病院に入職しました。

病院ではどのような仕事をされていましたか?

急性期・回復期・慢性期に加え、退院後の訪問リハビリテーションまでローテーションで担当し、各ステージに応じたリハビリテーションの流れを一通り経験しました。

多様な疾患や状態に対応しながら、幅広い知識と技術を身につけられたことは大きな糧になりました。一方で、退院日ありきで「疾患の回復を最優先とするリハビリテーション計画」が組まれるため、思うように時間をかけられないこともありました。一通りの経験を積んだからこそ、次は「ご本人ともっと向き合える環境で力を発揮したい」と考えるようになり、転職を意識するようになりました。

その後、一度別の職種も経験されたと伺いました。

はい。臨床とは違った角度から医療に関わってみたいという思いもあり、治験コーディネーターとして製薬企業に転職しました。新薬の臨床試験に関わるスケジュール調整や患者さまへの説明などの業務を経験しました。

ただ、製薬企業側との調整や施設・病院への説明など、営業的な側面が強くなる中で、「やはり自分は人の生活に直接関われる現場に戻りたい」と実感しました。結婚・入籍のタイミングも重なり、ライフスタイルも見直す中でReHOPEの求人に出会い、2023年に入社しました。

ご入居者さまの身体機能低下との葛藤。尊厳を守るために考えること

入社後の印象と、現在の仕事内容を教えてください。

現在は、ReHOPE 松戸で神経難病を中心としたご入居者さまを担当し、1日8〜10件程度の訪問リハビリテーションを行っています。姿勢の調整や歩行訓練、関節可動域の維持、福祉用具の調整など、必要に応じたサポートを提供しています。
病院時代との大きな違いは、ご本人の意思を尊重しながらリハビリテーションを組み立てていける点。居室に訪問する際にはまず、ご本人の調子や気分をうかがうことから始めます。その日の状態をしっかり把握することで、無理のないリハビリテーションを心がけています。
たとえば「今日は歩きたくない」という声があれば、無理に促すことはしません。目指すのは「その人らしく過ごす」ためのリハビリテーションです。

最近やりがいを感じたエピソードはありますか。

昨年ご入居者さまが散歩中に拾ったひまわりの種を、今年の春に一緒に施設の庭へ植えました。小さな苗が少しずつ伸びて、もうすぐ花が咲きそうなんです。
毎日のように一緒に庭へ見に行き、「育つのが楽しみですね」と声を掛け合いながら成長を見守っています。リハビリテーションの延長線上で、こうした日常の一コマをともに過ごせることに深いやりがいを感じます。
そうした何気ない時間の中で生まれる雑談を通じてご本人の人柄や価値観に触れられることも、ご入居者さまにとって“その人らしく過ごす”ことを支えるリハビリテーションの一部だと感じています。

反対に、難しいと感じる場面はどんな時でしょうか。

疾患上、身体機能が徐々に低下していく方が多いので、「できること」と「支援が必要なこと」の見極めが難しいと感じます。たとえば「まだ自分でトイレに行きたい」という思いと、安全面のバランスを取る判断がもっとも悩ましいですね。転倒リスクやスタッフの体制を踏まえつつ、ご本人の尊厳を守る方法をチームで何度も話し合います。

正解がひとつではないだけに、折り合いをつけるまでが大変ですが、納得のいく形を一緒に見いだせたときには安堵と達成感があります。

専門性を深めながら、ご入居者さまの拠りどころになりたい

今後、特に力を入れていきたいことはありますか?

最近は、嚥下に関する知識をもっと深めていきたいと思っています。飲み込みに不安がある方も多く、医療職がより専門的に介入できる体制をつくっていけたらと考えています。
また、香りによるリラクゼーションにも関心があり、アロマセラピーなどを学ぶことで、リハビリテーション以外のアプローチでもご入居者さまの気持ちに寄り添えたらと思っています。

最後に、ReHOPEで働く魅力を教えてください。

ReHOPEでは、ご入居者さま一人ひとりの人生や生活を大事にしながら関係を築いていける点に大きなやりがいを感じています。病院での経験も貴重でしたが、ここではより「人」として向き合う時間の積み重ねが、理学療法士としての原点を改めて実感させてくれます。
これからも、ご入居者さまが自分らしく過ごす喜びを感じながら暮らしていただけるように、日々のケアと向き合っていきたいと思います。