INTERVIEW

看護師インタビュー

異なる地域に飛び込むことで、自分の看護観が広がり、多くの人に貢献できる

看護介護支援チーム

看護師 畑中 久仁子

青森県出身。神奈川県内の看護専門学校を卒業後、大学病院で5年間看護師として勤務する。新生児未熟児センターを経て、がん末期の消化器内科を経験。子育てによる休業を経て、青森県内にある地域医療振興協会の施設に所属。同施設の在宅介護支援センター、診療所、居宅介護支援事業所、介護保険老人施設等で看護師・ケアマネジャーとして地域包括ケアを学ぶ。子育てが落ち着いたことを機に宮城県に移住し、石巻市や東松島市の訪問看護事業所や地域包括支援センターに勤務。2022年10月にCUCホスピスに入社し、看護介護支援チームの一員として静岡県内の施設に配属。

住み慣れた地域から飛び出すことで、大きなチャンスに巡り合える

これまでのご経験を教えて下さい。

新生児期から終末期と「ゆりかごから墓場まで」人の一生に深く関わってきました。住む場所も、神奈川・東京・青森・宮城と柔軟に変えています。

看護師になったばかりのころは、都内の大学病院に勤務。新生児未熟児センター・がん末期の方が多い消化器内科を経験しました。

その後は看護の仕事から離れて、地元の青森県で子育てをしていたのですが、落ち着いたタイミングで地域医療振興協会に所属。在宅介護支援センターや診療所、介護保険老人施設等に従事しました。この時は看護師だけではなく、ケアマネジャーとして地域の方々の在宅支援をしてきました。

16年ほど勤務したころ、子どもたちが社会に出て行ったことで時間ができ、ふと自分の看護師人生を振り返ってみたんです。幸いに私は看護師として、人生の誕生からお看取りまでのさまざまなフェーズの患者さまに向き合ってきたことに気付きました。そのなかで唯一経験を積んでいない領域が訪問看護でした。チャレンジしてみたいな、と考えるようになったんです。

私は東北出身なので、「せっかくならば東北の中で、今一番支援を必要としている地域で働こう」と決めました。そこで、東日本大震災で被害を受け、看護師不足が顕著だった宮城県石巻市に移住。訪問看護ステーションを経て、地域包括支援センターに勤務しました。訪問看護ステーションでは、ご利用者さまのご自宅に足を運び、必要な看護の提供をさせていただいたり、地域包括支援センターでは、地域の健康・介護相談や社会福祉士とともに権利擁護・虐待ケースへの対応、健康づくりのための教室などの企画・開催に携わってきました。

幅広い経験を積まれたのですね。なぜCUCホスピスに転職されたのですか?

地域包括支援センターで勤務をしていた際に、容態が急変した方の対応をする機会がありました。その時に、「まだまだ現場で、目の前の患者さんに向き合いたい」という気持ちがあることに気づいたんです。そこで、もう一度、看護師として働ける場所を求めて、転職活動を始めました。

そんな時に紹介されたのが、CUCホスピスの看護介護支援チームでした。このポジションは、看護職のひとつで、開設間もない施設や人手不足などで困っている施設に入り、サポートをする仕事であり、人材育成にも関われる仕事です。

終末期に特化したホスピスを経験する中で「本当の看護とは何か」「人に寄り添うとは何か」を深められると考えたことが、関心を持ったきっかけです。

実際に応募をし、面接を進める中で、どのような点に魅力を感じましたか?

まずは、企業理念に深く共感しました。
CUCホスピスには、ミッションの「『前を向いて生きる』を支える。」を体現するために必要な行動を定めた、「CUC Hospice Way」があります。それらがすべて、私が日ごろから大切にしている価値観と重なったんです。特に、「『専門性』の前に『人間性』を重視する。」「『上下』ではなく『ひとつのチーム』として手を重ねる」は、これまでさまざまな現場で仕事をする中で意識してきたことでした。

次に、全国各地の施設に行けることに魅力を感じました。看護介護支援チームは、特定の施設で勤務する看護師とは違い、3カ月から半年ほどのスパンで全国各地の施設に異動していきます。大変そうだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私にとっては大きなチャンスだと感じました。

私は、これまで、東京・神奈川・青森・宮城とさまざまな地域で暮らしてきました。全く知らない地域に飛び込み、地域の文化を理解し、人との関係を一から築くことで、自分の世界が大きく変わることを実感しています。勇気を出して住み慣れた地域を飛び出してみると色々なチャンスに巡り合えるんです。迷いはありませんでした。

「ご入居者さまが喜んでくれたね。」
良いケアを作るための、スタッフとの意見交換が楽しみ

現在のお仕事内容を教えて下さい。

入社後は、静岡県の施設に勤務しています。施設のメンバーとともにシフトに入りながら、良い施設を作るために、一緒に知恵を出し合っています。

今、私がいる施設はオープンから1年半ほどで、まだまだ成長の余地があります。これまでの経験を生かしながら、訪問時間の有効な使い方や温かみのある居室づくりなどの意見を出したり、スタッフとの対話を通してモチベーションアップに努めたりしています。

CUCホスピスで働く上で、やりがいを感じるときは?

病気の治療ではなく、「ご入居者さまの残された時間をどう生かしていくか」という視点でケアにあたれる点に非常にやりがいを感じます。それを実現するために、施設のスタッフと「こうしたらいいんじゃない?」「これをしてみたら、ご入居者さまが喜んでくれたよね」などと、意見を出し合っている瞬間もとても楽しいですね。

ご入居者さまの命に向き合う中で、私自身も人生の終着駅にたどり着くその日まで「自分には何ができるのか」を考えるようになりました。一度きりの人生、自分のためだけでなく人のために尽くしたいという気持ちが日に日に強まっています。

「残された時間を最大限に使い、人のために尽くす。人材育成にかかわる。」という意味では、看護介護支援チームのポジションはとてもぴったりだと感じます。全国各地を飛び回ることで、より多くの施設に関わることができる。全国で関わったスタッフが成長し、良い施設が増えていけば、日本全体に貢献できていると思えるのではないかなと考えています。

逆に、大変だったことはありますか?

実は、あまり大変だと感じることがないんです(笑)。ただ、病院のように「治療が優先」で「病気を治すもの」と捉える方には、入社後にギャップを感じるかもしれません。

ホスピス型住宅は病院とは異なり、ご入居さまの限りある時間を支えていく看護が必要とされます。病院では、食事が摂れないと点滴が当たり前に行われますが、ご入居者さまにとって苦痛であれば、あえてそれをしないこともあります。苦痛の軽減と生命力の消耗を最小限にする援助ができるように看護師がどうケアしていくのかを考えるんです。

ただ、考えを変えることは難しいですよね。だからこそ、施設のスタッフとの対話がとても大切です。仲間との対話を重ねることで、自分自身の看護観も広がり、ホスピスでの看護の在り方を身に付けられるのだと思います。

入社時には研修もありますので、ホスピスケアの基礎を学べますし、同時期に入社した仲間との意見交換ができます。この研修のおかげで、ホスピス型住宅の理解を深めたうえで仕事を始められました。

スタッフと語り合い、笑い合いながら施設の基礎固めをしていきたい

今後、特に注力したいテーマを教えてください。

施設のみんなと語り合いながら、ケアや人材育成の基礎固めをして、ご入居者さまから信頼される施設づくりをしていきたいです。

その先には、地域との連携を強めたいと考えています。例えば、地域のボランティア団体とつながり、イベントを通してホスピスへの理解を深めてもらったり、私たちが講師として地域の健康教室に登壇して難病ケアについて解説をしたりしながら、地域のさまざまな人たちとwin-winな関係を築いていけたらうれしいです。決して「隔離された施設」にはしたくないんです。

どんな方が、看護介護支援チームの一員として活躍できると思いますか?

視野が広く、柔軟な方はこのポジションに向いていると思います。看護介護支援チームは、全国各地を周り、さまざまな施設のご入居者さまやご家族さま、スタッフと関係を築いていく必要があります。地域ごとの特色が違う中で、自分の考えややり方に固執をしていると、なかなかうまくいきません。あきらかに道理から外れていないのであれば、「そういう考えもあるよね」とフラットに受け止めることが大切だと思います。

また、人の成長に喜びを感じられる方も適任だと思います。看護介護支援チームは、より良い施設を一緒に創る役割。みんなと一緒に仕事をして、語り合って、笑いあっていきたい方であれば、きっと充実感がありますよ。