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療養型病院とは?ホスピス・緩和ケア病棟との違いや入院にかかる費用について解説

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療養型病院とは?ホスピス・緩和ケア病棟との違いや入院にかかる費用について解説

この記事の監修者

藪 康人(やぶ・やすひと)

藪 康人(やぶ・やすひと)

株式会社シーユーシー・ホスピス 執行役員 運営本部 本部長

プロフィール

2006年慶應義塾大学看護医療学部卒業後、大学病院で約5年間勤務。働くなかで、医療現場の知見を仕組み化するスキルを身につけたいと考え、大学院でMBAを取得。2018年CUCへ中途入社。病院事業部で事業譲渡や病院の立ち上げ、事務長・看護部長としてのマネジメント、医療マネジメント職の人材育成に取り組む。2024年シーユーシー・ホスピス 執行役員 運営本部 本部長就任。


療養型病院とは、慢性的な病を抱えている患者が、長期的なケアを受けられる療養病床を主な病床とする病院の通称です。一般的な病院に比べて平均入院期間が長く、医療処置や看護、介護、リハビリテーションなどの医療ケアを受けられます。

この記事では、療養型病院の入院条件やホスピス型住宅・緩和ケア病棟との違いについて紹介していきます。また、入院費用も詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

※従来の療養型病院には「医療療養病棟」と「介護療養病床」の2種類がありましたが、2024年3月に介護療養病床が廃止されました。そのため、本記事では「療養型病院」という用語は「医療療養病棟」のみを指すこととします。

療養型病院とは

療養型病院とは、長期的な療養を必要とする患者が入院する、主な病床が療養病床である病院の通称です。一般的に、病気やケガで入院する場合は約15日、重病や精神疾患などの場合では1カ月ほどが退院までの目安期間となります。しかし療養型病院の場合は、平均的に退院まで4カ月ほどと、長い期間の入院になります。

療養型病院では、長期的な医療ケアやリハビリテーションなどのサービスを提供しており、これが一般的な病院との違いとなっています。長期入院における生活の質を考え、談話室・食堂・浴室などの設備が充実しています。

参考:内閣府ホームページ|療養病床の概要

療養型病院の入院条件

療養型病院には、誰でも入院できるのでしょうか。療養型病院の入院対象者は、主に病院での療養が継続的に必要な方のうち、医療必要度の高い患者です。

医療必要度の高さは医療区分やADL区分(日常生活自立度)によって判断され、療養型病院は医療区分が2〜3に当てはまる方が多くします。

一方で、医療区分1に当てはまる方の場合は、老人保健施設などに入居するのが一般的です。なお、医療区分は抱えている病気や必要な処置によって分けられる仕組みで、医師・医療チームが判断します。

具体的な医療区分については、後述する「医療区分とADL区分」をご確認ください。

療養型病院とホスピス型住宅の違い

療養型病院と併せて検討される選択肢に、ホスピス型住宅があります。ホスピス型住宅とは、がんや難病の進行によって治療が困難になった方に、身体の痛みや精神的な不安をやわらげるホスピスケア(緩和ケア)を提供する施設です。

療養型病院とホスピス型住宅の違いについては、以下表を参考にしてください。

療養型病院 ホスピス型住宅
特徴 24時間体制の医療が提供され、長期間の入院ができる療養病床を主とした病院 住宅(生活の場)としての機能を重視

がん末期や難病に必要な医療的ケアを受けながら、「自分らしい生活」に重点を置いた住宅型施設

滞在期間 maru
病院の中では長く、平均4カ月ほどの滞在が可能
maru
入居期間の定めがない
医療設備 maru
医療設備が充実している
sankaku
病院のような医療設備はなし。人工呼吸器など普段使用している医療機器を持ち込むことは可能
医師の常駐 maru
常駐している。患者48名に対して1名の医師を配置
sankaku
訪問診療で月2回の往診が目安。緊急時は24時間往診対応可能
居室 maru
談話室や食堂などがあり、一般病棟よりは生活の場に近い。複数人で過ごす相部屋が多い。差額ベッド代を支払えば個室も可能
maru
個室が基本。家具や私物の持ち込みOK
家族や友人との面会 sankaku
病院の方針によってさまざま
maru
原則、面会制限は設けず予約による夜間の面会も可能
外出や外泊の自由度 sankaku
外出や外泊の制限は厳しめ
maru
家族の付き添いや医師との相談のもと、外出や外泊がしやすい

療養型病院とホスピス型住宅では、違いとしてその医療体制があげられます。療養型病院では24時間体制で必要なときにいつでも医療ケアが受けられますが、ホスピス型住宅での医師の診療は、訪問診療を利用した月に2回程度のケアが目安となっています。

なお、ホスピス型住宅でも緊急時の場合などでは、必要に応じて24時間の往診が利用可能です。療養型病院は医療を重視している一方、ホスピス型住宅は生活の場としての側面が強く、「自分らしい生活」を重視していることも違いのひとつです。

またホスピス型住宅では、積極的な治療は行わず、終末期の残された時間をよりよく過ごすための苦痛緩和や日常的な介護などのサポートを行いますが、療養型病院は回復が見込まれる場合の治療やリハビリを提供する点も特徴です。そのため、療養型病院はホスピス型住宅とは異なり、終末期に特化しているわけではありません。なお、療養型病院でも看取りに至るケースもあります。

参考:ホスピスとは。病院とホスピス型住宅の違い、ケア内容、費用を徹底解説

療養型病院と緩和ケア病棟の違い

緩和ケア病棟も、療養型病院と併せて検討される選択肢の一つです。緩和ケア病棟とは、緩和ケアを専門的に行うために病院に設置された病棟です。

緩和ケア病棟は、24時間体制の医療により、主にがんや難病患者などが抱える心身の苦痛・不安などに特化した対応を行います。よって、誰でもが入院できる病棟ではありません。

療養型病院と緩和ケア病棟の主な違いは、以下表のとおりです。

療養型病院 緩和ケア病棟
特徴 主に慢性的な病で長期的な治療・リハビリが必要な場合に長期入院できる 治療に伴う痛みや苦痛を取り除く、専門的な医療を受けられる
滞在期間 maru
病院の中では長く、平均4カ月ほどの滞在が可能
sankaku
一般的に2週間から1カ月程度
医療設備 maru
医療設備が充実している
maru
医療設備が充実している
医師の常駐 maru
常駐している
maru
常駐している。緩和ケアを担当する常勤の医師が1名以上配置されている
看護師の配置人数 maru
患者4名に対して1名の看護師
maru
患者4名に対して1名の看護師
居室 maru
談話室や食堂などがあり、一般病棟よりは生活の場に近い。複数人で過ごす相部屋が多い。差額ベッド代を支払えば個室も可能
sankaku
複数人で過ごす相部屋が多い※病院によっては個室の選択も可能
家族や友人との面会 sankaku
病院の方針によってさまざま
sankaku
病院の方針によってさまざま
外出や外泊の自由度 sankaku
外出や外泊の制限は厳しめ
sankaku
外出や外泊の制限は厳しめ

参考:緩和ケア病棟とは?入院費用や期間、ホスピスとの違いなどについて解説

療養型病院への入院にかかる費用の内訳

療養型病院にかかる入院費用は、ほかの病棟や一般的な病院と比較して異なるのでしょうか。療養型病院に入院する際にかかる費用は、主に以下の4つです。

  • 入院医療費
  • 食費
  • 居住費
  • その他自己負担費用

このほか、該当する医療区分によっても発生する費用は異なるため注意が必要です。なお、療養型病院への入院には医療保険が適用できます。

以下でそれぞれの詳細を見ていきましょう。

医療区分とADL区分

医療区分とは、医療の必要性を評価するために、疾患や状態、医療処置などを厚生労働省が3段階に分類したものです。区分の数字が大きい方が、より医療の必要度が高くなることを示しています。

なお、令和6年の診療報酬改訂により、これまでは医療区分が疾患、処置で共通だったところ、「疾患・状態」と「処置」で分かれることになりました。

疾患・状態に係る医療区分 処置などに係る医療区分
医療区分3
  • スモン
  • 医師および看護師により、常時監視・管理を実施している状態
  • 中心静脈栄養
  • 24時間持続点滴
  • 人工呼吸器の使用
  • ドレーン法または胸腔、腹腔の洗浄
  • 発熱を伴う場合の気管切開または気管内挿管・酸素療法
  • 感染症による隔離室での管理
医療区分2
  • 筋ジストロフィー症
  • 多発性硬化症
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • パーキンソン病関連疾患
  • スモンを除くその他の指定難病
  • 脊髄損傷・慢性閉塞性肺疾患
  • 疼痛コントロールが必要な悪性腫瘍
  • 中心静脈栄養
  • 肺炎に対する治療
  • 尿路感染症に対する治療
  • 傷病等によるリハビリテーション
  • 発熱を伴う場合の脱水に対する治療
  • 発熱を伴う場合の頻回の嘔吐に対する治療
  • 褥瘡に対する治療
  • 末梢循環障害による下肢末端の開放創に対する治療
  • せん妄に対する治療
  • うつ症状に対する治療
  • 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流または血漿交換療法
  • 発熱または嘔吐を伴う場合の経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養
  • 1日8回以上の喀痰(かくたん)吸引
  • 発熱を伴う場合の気管切開または気管内挿管が行われている状態
  • 頻回の血糖検査
  • 創傷、皮膚潰瘍または下腿もしくは足部の蜂巣炎、膿などの感染症に対する治療
  • 酸素療法・消化管等の体内からの出血が反復継続している状態
  • 他者に対する暴行が毎日認められる状態
医療区分1 医療区分2・3に該当しない方

出典:厚生労働省|令和6年診療報酬改訂の概要
参考:竹丘病院|医療区分について

ADL区分とは、日常生活を送る上で最低限必要な動作を、患者自身でどの程度まで行えるかを判断する指標のことです。ADL区分には3段階の評価基準があり、数値が高いほど重度が高いことを示しています。

ADL区分において評価を行う動作の種類4つと評価点数は、以下のとおりです。

  • ベッド上の可動性(起き上がりや寝返りができるかどうか)
  • 移乗(ベッドやイスなどからの立ち座りができるかどうか)
  • 食事(食事をどのように行うか)
  • トイレの使用(トイレをどのように行うか、おむつなどは使用するか)

病院によって異なりますが、ADL区分の評価は看護師やリハビリスタッフ、介護士などが判断します。

出典:厚生労働省|令和6年診療報酬改訂の概要

入院医療費

療養型病院の入院医療費は、医療区分やADL区分によって異なる仕組みです。令和6年に診療報酬の改訂が行われたことにより、1日あたりの入院料は30通りへと変化しました。自身の入院料については、医師や看護師などが医療区分・ADL区分を評価した後に決まります。

なお、入院医療費には医療保険が適用されるため、実際の自己負担額は1割〜3割です。医療保険の自己負担割合は自身の年齢や所得状況によって変わりますので、事前に確認しておきましょう。

出典:厚生労働省|令和6年診療報酬改訂の概要

食費

療養型病院に入院している際の食費は、個人の病状や所得によって金額が定められています。入院中にかかる1食あたりの費用は収入や抱えている病気によって異なりますが、一般的には1食につき490円です。

出典:全国健康保険協会|入院時生活療養費

そのため、1カ月入院したと想定して1日3食30日利用した場合の費用は、約4万4,000円となります。

居住費

居住費とは、65歳以上の方が療養型病院に入院する際にかかる費用です。以下表のように、難病患者以外の方は1日あたり370円の費用がかかります。

区分 1日あたりの居住費
一般 370円
難病患者 0円
住民税非課税の方 370円
年金収入80万円以下の方 370円

出典:全国健康保険協会|入院時生活療養費

なお、居住費は65歳以上の方にかかる費用であり、65歳未満の方が療養型病院に入院する際にはかかりません。1カ月療養型病院に入院したとして、毎月かかる居住費は目安として約1万1,000円です。

その他自己負担費用

療養型病院では、病院によってさまざまなサービスを提供しています。中には保険対象外で自己負担が必要なサービスもあり、たとえば以下のとおりです。

  • おむつ代
  • 個室利用料
  • テレビ利用料 など

金額は病院によって異なるため、保険適用外のサービスを利用したいと考えている方は、事前にスタッフなどに確認しましょう。

まとめ

療養型病院は、慢性的な病気により長期の医療・看護を必要とする患者のために設けられた、療養病床を主な病床とする病院の通称です。主に医療区分2〜3と診断された患者が入院対象となる傾向があり、平均的に4カ月ほどの期間入院しています。

また、療養型病院のほか、ホスピス型住宅や緩和ケア病棟という選択肢もあるでしょう。症状や病気の進行度、求める生活や医療ケアによって納得できる施設を選んでください。

よくある質問

療養型病院とはなんですか?

療養型病院とは、療養病床を主な病床として設置している病院の通称です。病状自体は安定しているものの長期的な医療ケアを必要としている患者にとって、おすすめの選択肢だといえます。

詳しくは記事内「療養型病院とは」をご覧ください。

療養型病院とホスピス型住宅の違いはなんですか?

療養型病院とホスピス型住宅は、病院と施設という点で設備や環境、利用ルールなどが違います。療養型病院は24時間体制の医療が提供され長期間入院できることが特徴で、ホスピス型住宅は「自分らしい生活」を送るための生活の場としての機能が強い点が主な違いです。

詳しくは記事内「療養型病院とホスピス型住宅の違い」をご覧ください。

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