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ホスピスの基礎知識

指定難病とはどんな病気?指定難病の定義や利用できる施設について解説

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この記事の監修者

梁川 めぐみ(やながわ めぐみ)

株式会社シーユーシー・ホスピス

プロフィール

ReHOPE伊勢原 看護管理者
都内の大学病院(呼吸器内科・放射線科・内視鏡室)や企業での産業看護師の経験を積んだ後、慢性期病院で難病患者と出会う。難病看護学会認定難病看護師として10年間、神経難病患者と家族の生き方に寄り添う看護を長年実践。
緩和ケア病棟の経験を経て、ReHOPEでは神経難病とがんの終末期看護ができることを知り2024年4月にReHOPEへ入職。

指定難病(難病)とは?

指定難病の定義
指定難病とは、難病の中でも「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」に定められた医療費助成の対象となる疾病のことです。

指定難病は、難病法において難病を満たす4つの要件と、指定難病を満たす2つの要件に当てはまる疾病と定義づけられています。

難病を満たす4つの要件

    • 発病の原因が解明されておらず
    • 治療方法が確立していない
    • 希少な疾患※であって
    • 長期の療養を必要とするもの

指定難病を満たす2つの要件

    • 患者数が日本国内で一定の人数※に達しないこと
    • 客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること

※人口のおおむね千分の一(0.1%)程度に相当する数と厚生労働省令において規定

出典:厚生労働省「指定難病の要件について」
出典:厚生労働省「指定難病」

なお、指定難病の要件を満たしていて認定されるかどうかは、厚生科学審議会の意見をもとに厚生労働大臣の判断で決定される仕組みです。2025年3月現在では348種類の疾病が指定難病とされていますが、選定は引き続き行われる予定なので、今は指定難病でない病気も今後認定される可能性があります。

出典:難病情報センター「2015年から始まった新たな難病対策」

難病と聞くと通学・通勤への不安や、寝たきりの生活を想像する人も多いですが、実際は通院や治療、日々の自己管理により、通常通りの生活を送っている人がたくさんいます。

また、指定難病に罹患したことで、経済面での負担が増えすぎないよう国が治療法の研究や対策を進めており、日常生活を続けられるように支援の体制も整えられています。詳しくは後ほど解説しています。

特定疾患と指定難病の違い

指定難病と似たものに特定疾患というものがあります。

特定疾患とは、1972年に制定された「特定疾患治療研究事業」の対象疾患を指し、主に医療費助成と研究のための疾病が指定されていたことが特徴です。

一方の指定難病は、2015年に施行された「難病法」に基づいて定められた疾病を指し、一定の基準(患者数・診断基準・医療費助成の必要性等)を満たす348種類の疾病が対象となります。

なお、現在では特定疾患は指定難病に統合されており、より厳格な基準で指定難病の医療費助成が行われています。

指定難病の対象となる疾患

指定難病の対象となる疾病の数は、国が定める「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」によって追加される仕組みです。研究が進むことでその数は随時変動しており、病名が変更になることもあります。

制度が開始した際の指定難病の数は110疾病でしたが、2025年3月時点で対象となっている指定難病の数は、348疾病です。

指定難病として代表的な疾病

  • 潰瘍性大腸炎、クローン病(消化器系疾患)
  • 全身性エリテマトーデス、全身性強皮症(自己免疫疾患)
  • パーキンソン病、重症筋無力症(神経・筋疾患)
  • 多系統萎縮症(MSA)
  • ALS(筋萎縮性側索硬化症)

また、ひとことで指定難病と言っても、疾病の種類によって治療法が異なり、個人によって進行度も変化するためその症状も異なります。

指定難病の種類や各疾患の概要について詳しくは、「難病情報センターのホームページ」をご確認ください。

なお、代表的な指定難病としてあげられる疾病の詳細については、以下の記事をあわせてご確認ください。

【関連記事】
多系統萎縮症(MSA)の方の症状別ケアと利用できる介護施設、支援制度
パーキンソン病の方にケアを提供する介護施設とは?安心の介護施設選び
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方向けの介護施設とは?入居基準やケア内容、選び方のコツをご紹介

指定難病の方が利用できる公的支援制度

ご家族やご自身が指定難病に罹患された際、長期的に続く治療によって経済的な負担は大きくなってしまうでしょう。しかし、指定難病と診断された方を支援するため、日本では充実した公的支援制度が整えられています。

指定難病の方が利用できる主な公的支援制度としてあげられるのは、以下のとおりです。

  • 医療費助成制度
  • 生活支援制度
  • 就労支援制度

また、今回紹介する国の一律での助成以外にも、居住地を管轄する自治体が独自に助成している支援制度などもあります。詳しくは各自治体や病院、難病情報センターなどの機関へ相談するようにしましょう。

医療費助成制度

医療費助成制度とは、医療機関を利用する際に支払う医療費の自己負担額に対して助成を受けられる制度のことです。指定難病を患っている方の場合は、主に以下2種類の制度を利用するケースが多くなります。

  • 指定難病医療費助成制度(特定医療費助成制度)
  • 自立支援医療制度

各制度の内容や対象者、負担割合などを以下で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

指定難病医療費助成制度(特定医療費助成制度)

指定難病には、診断基準と難病の特性に応じた重症度分類が、各疾病に設定されています。重症度分類と患者の症状を照らし合わせたうえで、以下の対象に該当する方は、指定難病医療費助成制度が適用可能です。

指定難病医療費助成制度の対象者

    • 重症度分類と照らし合わせた病状の程度が一定程度以上
    • 重症度分類には満たないものの、難病の治療における医療費総額が月33,330円を超える月が年3回以上ある方(軽症高額該当)

出典:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」

一般的な医療費は3割負担(健康保険組合に加入している場合)ですが、指定難病医療費助成制度を利用すれば、難病の治療にかかる医療費が2割負担になります。また、所得ごとに1ヶ月にかかる医療費の上限が定められており、それが以下のとおりです。

階層区分 階層区分の基準※()内は夫婦2人世帯の場合における年収の目安 自己負担上限額(外来+入院)患者負担割合 合:2割
一般 高額かつ長期※ 人工呼吸器等 装着者
生活保護 0 0 0
低所得Ⅰ
市町村民税 非課税(世帯)
本人年収
~80万円
2,500円 2,500円 1,000円
低所得Ⅱ
市町村民税 非課税(世帯)
本人年収
80万円超~
5,000円 5,000円 1,000円
一般所得Ⅰ 市町村民税
課税以上7.1万円未満
(約160万~370万円)
10,000円 5,000円 1,000円
一般所得Ⅱ 市町村民税
7.1万円以上25.1万円未満
(約370万~810万円)
20,000円 10,000円 1,000円
上位所得 市町村民税
25.1万円以上
(約810万円以上)
30,000円 20,000円 1,000円
入院時の食費 全額自己負担

※月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年6回以上ある方
出典:難病情報センター「医療費助成における自己負担上限額(月額)」

医療費の助成制度を適用したい場合は、都道府県または指定都市の保健所や区役所の窓口へ申請して認定を受ける必要があります。まずはかかりつけ医にご相談の上、お住まいの地域の窓口で申請しましょう。

各都道府県・指定都市の担当窓口は難病情報センターのホームページをご確認ください。

自立支援医療制度

自立支援医療制度とは、精神疾患や身体障害のある方が、継続的な治療を受ける際に医療費の自己負担額の軽減が受けられる制度のことです。自立支援医療制度が適用された方は、受給者証を提示することで、医療費の負担割合が原則として1割負担となります。

また、主な対象者は、指定難病の方で以下に該当する場合です。

  • 通院による精神医療を継続的に要する方
  • 身体障害者手帳の交付を受けており、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる方 ※18歳以上
  • 身体に障害をもつ児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者 ※18歳未満

出典:厚生労働省「自立支援医療制度の概要」

なお、自立支援医療制度の適用を受けるための申請手順は、以下を参考にしてください。

自立支援医療制度の申請手順

  1. かかりつけ医から診断書をもらう
  2. 申請書をまとめて各自治体の担当窓口に申請

生活支援制度

生活支援制度とは、失業や病気などさまざまな要因によって自立した生活が困難になってしまった方が受けられる支援制度のことです。指定難病を抱えている方も生活支援制度を利用でき、主に以下の種類があげられます。

  • 障害者手帳
  • 障害基礎年金・障害厚生年金
  • 介護保険制度

それぞれの内容について以下で詳しく解説するので、申請方法などもあわせて確認してみてください。

障害者手帳

障害者手帳の対象となる方は他のサポートなどと併用して、障害者手帳を取得することができます。身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類あり、該当する場合は複数取得することも可能です。

障害者手帳を取得すると、障害者医療費の助成制度の対象になることができたり、就労支援や税務的な支援を受けられたりします。また、電車の乗車賃や公共料金の割引が受けられるなど、日々の生活で経済的な支援が受けられるのも特徴です。

障害者手帳の交付申請手順

  1. 各自治体の障害福祉課にて申請
  2. 審査が行われた後に障害者手帳を受け取れる

障害基礎年金・障害厚生年金

障害年金とは、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取れる年金のことです。障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の主に2種類があります。

受給できるのはどちらか一方で、対象となる条件はそれぞれ以下のとおりです。

  • 障害基礎年金:病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに「国民年金」に加入していた場合
  • 障害厚生年金:病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに「厚生年金」に加入していた場合

出典:日本年金機構「障害年金」

【障害基礎年金・障害厚生年金の申請手順】

障害基礎年金の場合

    • 所在住所を管轄する市区町村役場の窓口にて年金請求書(国民年金障害基礎年金)等の書類を提出

障害厚生年金の場合

    • 所在住所を管轄する市区町村役場の窓口にて年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付)等の書類を提出

出典:日本年金機構「障害年金を請求する方の手続き」

介護保険制度

指定難病患者で40歳以上の場合は、介護保険制度の対象となります。介護保険制度とは、2000年に施行された介護保険法に基づいて制度化された、介護が必要な方がきちんと介護サービスを受けられるような仕組みのことです。

介護保険制度では、患者の医療依存度に応じた「要支援・要介護度」が定められ、等級に応じて介護サービスの負担額の軽減が受けられます。

出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」

介護保険制度の申請手順

  1. 所在住所を管轄する市区町村窓口で、要介護認定の申請を行う
  2. 認定調査、主治医意見書の確認を行う
  3. 審査判定が行われ、認定を受ける
  4. 介護サービス計画書を作成する
  5. 介護サービスを利用する

出典:厚生労働省「サービス利用までの流れ」

なお、介護保険制度の詳細は以下の記事で詳しく解説しているため、あわせて参考にしてみてください。

【関連記事】
ホスピスの利用に介護保険や医療保険は使える?利用条件や注意点について解説

就労支援制度

就労支援制度とは、何らかの理由によって働くことに困難を持つ方が、就労のサポートを受けられる制度のことです。指定難病の方は就労支援制度を利用でき、主に以下の支援が受けられます。

  • 就労移行支援(障害者総合支援法)
  • 障害雇用促進法

各支援(法律)の内容や覚えておくべきポイントついて詳しく解説するので、参考にしてみてください。

就労移行支援(障害者総合支援法)

就労移行支援は、2006年に施行された「障害者自立支援法」に基づいて制度化され生まれました。障害を持った方や難病のある方に、「一般企業での就労に必要な知識や能力を身につけるために必要なサポート」を提供する福祉サービスのことです。

受けられるサービスとしてあげられる主なものとしては、以下があります。

  • 就労に必要な訓練の実施
  • 適正に合った職場探しの支援
  • 就労後には職場定着のための支援

なお、就労移行支援が利用できる期間には標準期間が定められており、基本的には24ヶ月となっています。

出典:厚生労働省「就労移行支援」

障害雇用促進法

障害雇用促進法とは、障害者の職業の安定を図ることを目的としている法律です。障害雇用促進法の内容としては、主に以下があげられます。

  • 障害のある方(難病を患っている方)が職業生活において自立できるよう、職業リハビリテーションの推進をすること
  • 事業主が障害者を雇用する義務を負うこと
  • 事業主が、差別を禁止し合理的配慮の提供を行う義務を負うこと

障害雇用促進法によって、40人以上(2026年7月以降は37.5人以上)の常用労働者数がいる企業においては、障がい者の雇用義務が発生することとなっています。

このように、障害を抱える方でも、健常者の方と比較して差別なく手に職をつけやすい環境が整備されているのです。

出典:厚生労働省「障害者雇用促進法の概要」

指定難病の方が利用できる施設

指定難病の中には症状の進行度によって医療依存度が高くあり、施設での介護が必要になるケースもあります。指定難病の方が利用できる主な施設としてあげられるのは、以下のとおりです。

  • 住宅型有料老人ホーム
  • 介護付き有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 介護医療院
  • ホスピス型住宅

入居条件や自由度、料金、提供されるサービスなどについては、各施設ごとに異なります。また、介護職の常駐や看護師の配置義務のない施設もあるため、必要な医療的ケアが受けられる施設を選ぶようにしましょう。

各施設の詳しい内容ついては以下記事で紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。

【関連記事】
サービス付き高齢者向け住宅とは?ホスピスや有料老人ホームとの違いについて解説
ホスピスとは?施設の特徴や病院との違い・対象者や費用について解説

なお、がん末期・難病を専門としたホスピス型住宅を全国に展開しているReHOPEでは、多くの指定難病の方が入居されています。具体的な症状や疾患により対象としていない疾病でも受け入れ可能な場合がございますので、詳しくは直接お問い合わせの上、ご相談ください。

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まとめ

指定難病は、原因が明確に分かっておらず治療法が確立していない、希少な疾患です。指定難病と診断された際には、今後の生活や経済的な面などにおける心配ごとが増え、心身共に疲弊してしまうこともあるでしょう。

必ずしも寝たきりになってしまったり、通常通りの生活が送れなくなってしまうわけではありませんが、完治が難しく長期的・継続的な管理が必要となります。ひとりで悩まず、かかりつけ医に相談したり、国の公的支援制度やサービスを積極的に利用したりしましょう。

よくある質問

指定難病とは?

指定難病とは、難病の中でも「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」に定められた医療費助成の対象となる疾病です。詳しくは記事内「指定難病(難病)とは?」をご確認ください。

指定難病の方が受けられる公的支援は?

指定難病の方は、医療費助成制度や生活支援制度、就労支援制度といった公的支援制度が利用できます。詳しくは記事内「指定難病の方が利用できる公的支援制度」をご確認ください。

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