ホスピス型住宅のReHOPE | ReHOPEだより | ReHOPEではたらく人 | 「看取り」について、ホスピス型住宅 ReHOPEではどう考えているのか
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私たちReHOPEは、ホスピスを「人生の最後まで、その人らしく生きる場所」だと考えています。この記事では、私たちが看取りをどう考え、ご入居者さまやご家族と日ごろどのようにお話ししているかをお伝えします。
ReHOPEには、ご入居者さまの希望を、ご家族と一緒に伺うための4冊の冊子があります。

左から「わたしのノート」「わたしのこれからノート」「わたしの意思表示 〜Living Will〜(リビングウィル)」「医療処置の説明書」。※施設によって冊子の活用状況が異なります。
「わたしのノート」は、生まれた場所や仕事、好きなものなど、これまでの生き方や人となりを書きとめるもの。「わたしのこれからノート」は、病気への思い、これから大切にしたいこと、ご自身で決められなくなったときに誰に託すかなど、これからのことを書くものです。
「わたしの意思表示 〜Living Will〜(以下、リビングウィル)」は、医療処置をどこまで希望するかを伺う書類。「医療処置の説明書」は、リビングウィルに出てくる言葉や処置の内容を、イラスト入りで補足する冊子です。
4冊とも、ご本人のことを書く冊子です。ご本人がご自身で話せる間は、ご本人を中心に、ご家族からも元気だった頃の様子などを伺いながら進めます。
病状が進んでご本人の意思を確かめることが難しくなると、ご家族が代わりに選択する場面が出てきます。そのときも、ご本人がそれまでに話していたことをもとに、ご家族とReHOPEスタッフが一緒に考えます。
もしものときのために、望む医療やケアについて前もって考え、ご家族や医療・ケアの担い手と繰り返し話し合い、共有していくことを、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)といいます。厚生労働省は2018年に「人生会議」という愛称をつけて普及を進めています。4冊の冊子は、ReHOPEでこのACPを実践するためのツールの一部です。
ACPについてご本人・ご家族・スタッフで話し合うとき、ReHOPEが大切にしていることが4つあります。
希望を書面に残すだけでは、気持ちが変わったときに追いつきません。だから一度決めて終わりにするのではなく、日を置いて改めて聞いたり、体調や症状の変化を見ながら聞き直したりして、繰り返し話し合っていくプロセスそのものを大切にしています。
病気で心や体が弱っているときの選択は、その人らしい決断になりにくいものです。「一度決めたことは変えてはいけない」と思っていらっしゃる方も多いのですが、変えていいこと、何度でも話し合えることを、こちらからお伝えしています。

ReHOPEで使用している「わたしの意思表示 〜Living Will〜(リビングウィル)」※活用状況は施設によって異なります。
リビングウィルは、急変に備えるため、原則入居から一週間ほどのあいだで看護管理者や施設長、担当の看護師が説明しながら伺います。一方、生き方や大切にしていることは、一度には書ききれません。日々のケアのなかで少しずつ伺っていきます。
ある施設のスタッフは、ご入居者さまについて「旅行が大好きで、配偶者さまと金婚式でイタリアに行かれたんですよ」と話していました。ノートに書かれていなくても、日々の会話のなかで伺った内容も書き留めます。状態が変われば、もう一度伺います。
病状が進むと、ご本人の意思を確かめられなくなり、ご家族が代わりに選ぶ場面が出てきます。ReHOPEでは、そのときの状態や選択肢はきちんとご説明しますが、決定をご家族に一方的にゆだねることはしません。ご本人がそれまでに話していたことをもとに共に考え、ご家族が悩みながら決められたことを、そのまま支えます。

参考:厚生労働省「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)してみませんか?」(広報誌『厚生労働』Web版)

ALSで人工呼吸器を装着し、身体を動かすのがだんだん難しくなる中でご入居されたSさま。呼吸状態が悪化し救急搬送となったとき「どんな形でも生きていたい」とご本人の希望のもと、気管切開、人工呼吸器を装着され、足先のみ動く状態で退院され再び入居されました。
かつて弟さまの看取りで自身が治療の選択を委ねられ、今も「正解だったのか」と悔いが残っている。だから自分の最期は、誰にも委ねず自分で決める。そのような強い意志をお持ちでした。苦痛が強まる場面では治療や療養の方針について心が揺れ続けました。
スタッフはそのたびにできること、できないことを提示し、何度も話し合いを重ね、意向が変わればそのまま受け止めました。ご本人が納得できる形を共に探し続け、最期の瞬間までご入居者さまらしさに寄り添いました。

肺MAC症(肺非結核性抗酸菌症)と闘病された80代のKさま。居室で転倒。救急搬送後、生死をさまよう状態に。そんな中、娘さまから「病院では面会も短く悲しい。先生もあと1週間くらいと。最後は大好きな施設に帰してあげたい」と相談を受けました。
退院後、再度入居される際はスタッフ全員で「おかえりなさいKさま、待っていましたよ」と呼びかけました。意識レベルも落ちていましたが、聞き慣れたスタッフたちの声に「あぁ」と反応されていました。残された時間は、好きなお風呂にも入れることをお伝えし、訪問入浴を導入されました。
お看取り後、ご家族から「最後の時間を温かい場所で過ごすことができて、母はとても幸せでした。感謝の気持ちでいっぱいです」とお手紙をいただきました。

70代のSさまは、進行性核上性麻痺を患いながらも「食べたい。点滴はしない」と非常に強い意思をお持ちでした。強く常食を希望していましたが、嚥下機能低下に伴い言語聴覚士の評価を受け、ムース食へ変更することになりました。
言語障害や眼瞼下垂があっても、単語での会話やリアクションで意思疎通し、いつも笑いが絶えなかったSさまからいつしか笑顔が消えていました。これで良いのだろうか。スタッフの中で葛藤が生まれました。そして、本来『楽しむもの』であるはずの食事が『頑張るもの』になっていることに気がつきました。
そんな中「しょっぱくて食感のあるものが食べたい」と希望が聞かれました。少しでも食事を楽しんでほしい一心で検討を重ね、食感があり溶けやすいサラダ煎餅などのスナック菓子を食事の上に乗せると、しっかりと咀嚼し食べることができました。
ご本人とご家族が納得して最期の時間を過ごせるかどうかの体験は、施設によって大きく変わってはいけないと考えています。そのため、ACP、終末期、お看取り等についての考え方や冊子の使い方は、新しく開設する施設向けの研修や、各施設のスタッフが受講する研修に組み込んでいます。
看護だけでなく、介護スタッフも同じ内容を学びます。話し合った内容を施設のスタッフ全員で共有する仕組みも、施設ごとに整えているところです。


赤羽朝香さん
CUCホスピス 運営本部 運営支援部
ケア技術向上推進チーム 緩和エキスパート/緩和ケア認定看護師
最期のことを一度で決められる方は、ほとんどいません。迷うのが当然で、気持ちは必ず揺れ動きます。だからこそ私たちは、決めることを急かさず、揺れる気持ちにそのつど付き合いながら、話し合いを重ねること自体を大切にしています。
ReHOPEは「『前を向いて生きる』を支える。」を掲げています。ホスピスでその人らしく過ごしていただくには、何を大切にしてきた方なのかを知らなければ始まりません。現場のスタッフは、日々の介護や看護での関わりの中で、思い出や好きだったこと、こだわりなどご本人の価値観について自然に聞き取っています。ノートや書類の有無にかかわらず、それがReHOPEのケアの土台となっています。
ご本人の意思を確かめられなくなる時期は、多くの方に訪れます。そのとき「本人はこう言っていた」と思い出せるかどうかで、ご家族のその後の心持ちは大きく違います。話し合っておくのは、ご本人のためだけではありません。ご家族が「これで十分だった」と納得するためでもあるのです。
全国でホスピス型住宅を展開しているReHOPEでは、重い疾患や障がいがあっても誰もが自分らしく、前を向いて生きられるように心をこめてご入居者さまの毎日に寄り添っています。
全国の施設でご入居を受け付けておりますので、見学のお申し込みやお問い合わせなど、お気軽にご相談ください。